7月12日 アナログスキルが前提
Windows用日本語スクリーンリーダーなどの支援技術を開発してきた石川県の視覚障害者、斎藤正夫さんと1年ぶりに電話で話した。話題は、お互いに愛用するBlindSquareなどのiPhone用ナビアプリ。歩きながら周囲の施設情報などがリアルタイムに分かるのは安心だし、楽しい。目的地だけを目指してひたすら歩くためのナビではなくて、遊歩も楽しめるナビ機能を「銀ブラモード」と名付けたことがある。BlindSquareやVoiceVistaは、晴眼者がウインドーショッピングをするように、歩きながら周囲の情報を手に入れることができる。そういうものをずっと私は求めてきた。
斎藤さんとは、Googleマップなどの地図アプリには、飲食店など目的地を設定して行ってみるともう閉店していて存在しなかったなどという問題点があることを話しながら、メンテナンスの手厚いアプリでないとダメだねということになった。
現在、国産でもiPhone標準搭載の読み上げ機能のボイスオーバーで使えるとうたっているナビアプリや信号機の色認識アプリなどが出てきて注目されている。だがカメラを正しく信号機に向けているのか分からない使用者が受け取った信号情報を安易に信じてよいのか、私たちは正直疑問に感じている。
「車が通る大通りなら、車の音の変化や周囲に歩行者がいれば人の動きで青か赤かはかなり判断できます。まずそういう力を身に付けることが大切でしょう」。斎藤さんが力説した。
一方、開発された支援技術の力を過大に評価するマスメディアにも大きな責任があると思う。まだまだ多くの課題があることまできちんと報じるニュースは少ない。歩行支援などの移動に関わる技術は、正しく利用できなければ命も落としかねない。当事者にはまずきちんと白杖(はくじょう)を、または盲導犬を使えるアナログスキルを習得してほしい。間違っても普段単独歩行をしていない視覚障害者がスマホを頼りにフラフラ外出するようなことはやめてください。【岩下恭士】