特集
シネマの週末
ベテラン映画記者が一本の映画をさまざまな視点から論評を加えます。チャートの裏側も紹介。
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シネマの週末・この1本
サンキュー、チャック 一人一人にある“宇宙”
2026/5/1 13:07 1435文字希代の恐怖作家、スティーブン・キングは「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」といった“泣ける映画”の原作者としても名高い。中編小説「チャックの数奇な人生」に基づく本作もその系統に属するが、見る者の想像力が試される摩訶(まか)不思議な一作だ。 世界各地で巨大地震などの災害が発生。アメリカでもカリ
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シネマの週末・トピックス
ラプソディ・ラプソディ
2026/5/1 13:07 626文字夏野幹夫(高橋一生)はパスポート更新のために取得した住民票に、身に覚えのない「妻」の表記を見つけがくぜんとする。探し出した謎多き繁子(呉城久美)は自暴自棄になり幹夫を振り回すが、何をされても怒らない幹夫にいら立ちを感じる。幹夫はその理由を明かすが、繁子は再び姿を消してしまう。 穏やかだが人に深くか
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シネマの週末・トピックス
ドランクヌードル
2026/5/1 13:07 625文字叔父の家で留守番をするため、ブルックリンにやって来た美術学生、アドナン(レイス・カリフェ)。インターンとして働き始めたギャラリーには、去年の夏に出会った刺しゅうアーティストの作品が展示されていた。アドナンは夜に繰り出した近所の公園のクルージングスポットで、フードデリバリーの配達員、ヤリエル(ジョエ
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シネマの週末・特選掘り出し!
幸せの、忘れもの。 ろうの妻の不安と焦燥
2026/5/1 13:07 547文字ろう者のアンヘラ(ミリアム・ガルロ)と聴者の夫、エクトル(アルバーロ・セルバンテス)は、自然に囲まれて穏やかな生活を送っていた。しかし2人の間にできた娘オナが聴者だと分かって、関係がギクシャクし始める。 アンヘラとエクトルの関係が2人の間で完結している間は、対等で調和が取れていた。しかしオナが生ま
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シネマの週末・チャートの裏側
続編の立ち位置
2026/5/1 13:07 563文字上映前の場内の雰囲気が対照的だった。「スーパーマリオ」の前作と新作である。前作は、幕あいからガヤガヤした話し声が聞こえたものだ。ゲームファン以外の層を含め、新たなファンタジー活劇への期待感の表れであったと思う。新作は静かだった。これが興行にどう出るか。 新作は、3日間の興行収入が16億円。前作の8
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シネマの週末・この1本
オールド・オーク 人間性、真っすぐに信頼
2026/4/24 13:33 1378文字2015年の難民危機後の英国。北東部の小さな町に、シリア難民がやってくる。古いパブ「オールド・オーク」を営むTJ(デイブ・ターナー)は彼らに同情的だが、店の常連たちは反発を隠さない。TJは難民の一人、ヤラ(エブラ・マリ)と親しくなり、閉め切っていた店のホールを難民と地域の恵まれない人たちのための食
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シネマの週末・特選掘り出し!
トゥ・ランド 人生の“着地点”はどこ?
2026/4/24 13:33 552文字米インディーズ映画が活況を呈した1980年代末にデビュー。「トラスト・ミー」「シンプルメン」などで日本でも多くのファンを獲得したハル・ハートリー監督、実に11年ぶりの新作だ。 58歳のジョー(ビル・セイジ)は、かつてラブコメ映画で名をはせた人気監督だが、最近は引退同然の日々を送っている。そんな彼が
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シネマの週末・トピックス
人はなぜラブレターを書くのか
2026/4/24 13:33 606文字2000年、17歳の高校生ナズナ(當真あみ)は、同じ電車で見かける富久信介(細田佳央太)に恋心を抱いていた。信介は進学校に通いながらボクサーを目指し練習に打ち込んでいたが、3月8日、地下鉄日比谷線脱線事故に巻き込まれ亡くなる。24年、結婚し定食屋を営むナズナ(綾瀬はるか)が書いた手紙が、現在と過去
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シネマの週末・トピックス
ARCO/アルコ
2026/4/24 13:33 618文字気候変動によって荒廃した、2075年の地球。10歳の少女イリスは、虹色に光りながら落下してきた物体を目撃する。それは2932年からやって来た少年アルコだった。ふたりはアルコの虹色のスーツに隠された謎を解き、未来に戻るための道を探し始める。 ナタリー・ポートマンが製作総指揮、フランスのアニメーション
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シネマの週末・映画、ある風景
「秋のソナタ」異聞
2026/4/24 13:33 559文字イングマール・ベルイマン監督の「秋のソナタ」(1978年)を見直したくなった。芸術家の母娘の確執を描いた名作だ。映画監督の父と俳優の娘の愛憎劇「センチメンタル・バリュー」を見て、思い出したのだ。 手元になかったから、いくつか契約している動画配信サービスを探したけれど、ない。宅配レンタルで届いたDV
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シネマの週末・この1本
LOST LAND ロストランド 息遣い伝わる逃避行
2026/4/17 13:02 1315文字ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの幼い姉弟の逃避行を、ドキュメンタリーのように描く。視点は姉弟にぴったりと張り付いて、彼らが見たものだけを映し出す。「海辺の彼女たち」の藤元明緒監督の新作。死と隣り合わせのロードムービーだが、時に詩情も漂わせ、遠い国の見知らぬ子どもたちの息遣いを生々しく伝え
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シネマの週末・特選掘り出し!
オー・パン・クぺ 喪失の痛み、高い純度で
2026/4/17 13:02 556文字ヌーベルバーグ勃興期のフランスで映画監督のキャリアを踏み出しながらも、興行的な成功に恵まれなかったギィ・ジル。映画史の主流において長らく忘れ去られていた彼の初長編「海辺の恋」と、長編第2作「オー・パン・クペ」が公開される。どちらも詩的なロマンチシズムをたたえた良作だが、とりわけすごいのはパリに実在
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シネマの週末・トピックス
FEVERビーバー!
2026/4/17 13:01 572文字雪の森に放り出された主人公(名前がない)が、サバイバルのために猟師になり森の小動物相手に格闘するドタバタ喜劇。人を食ったギャグを連打しつつ、モノクロ、サイレント時代のスラップスティックコメディーの様式を踏襲。愛すべきおバカ映画だ。 主人公(ライランド・ブリクソン・コール・テューズ)の前に現れるウサ
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シネマの週末・トピックス
大丈夫、大丈夫、大丈夫!
2026/4/17 13:01 611文字高校生のイニョン(イ・レ)は母親を交通事故で亡くして家賃が払えなくなり、所属しているソウル国際芸術団の練習室に寝泊まりしていた。ある日、完璧主義の芸術監督ソラ(チン・ソヨン)に練習室での生活がばれてしまい、ソラの家で一緒に暮らし始める。一方、芸術団の60周年記念公演を前に団員同士のトラブルが起こり
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シネマの週末・チャートの裏側
すっきりはしたけれど
2026/4/17 13:01 563文字風物詩は揺るぎないように見えた。「名探偵コナンハイウェイの堕天使」だ。スタート3日間の興行収入は35億円。これは前作(最終147億円)の約102%にして、シリーズ中では歴代最高の出足となる。この数字を押さえた上で、今後の推移を探る。つまり、中身に触れる。 今回、特徴的なことがいくつかある。神奈川県
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シネマの週末・この1本
ハムネット 野性と理性、対照鮮やか
2026/4/10 13:12 1392文字シェイクスピアの「ハムレット」は古い伝説が原形で、1600年前後に初演されたという。「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督がマギー・オファーレルの小説を映画化した本作では、シェイクスピアの息子の死が創作のきっかけになっている。とはいえ名作の誕生秘話ではない。人が運命といかに向き合い、互いに結びつくか
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シネマの週末・特選掘り出し!
ヴィットリア 抱きしめて 思いがけないほどの感動
2026/4/10 13:12 480文字イタリア、ナポリ南部の町。美容師のジャスミン(マリレーナ・アマート)は、夫のリーノ(ジェンナーロ・スカーリカ)と3人の息子とともに、安定した暮らしを送っていた。しかし、亡き父から金髪の幼い女の子を託される夢を、何度も見るようになる。自分の人生には娘が必要だという思いに執着するジャスミンは、養子縁組
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シネマの週末・トピックス
1975年のケルン・コンサート
2026/4/10 13:12 625文字1970年代半ばの西ドイツ。音楽好きの少女ベラ(マラ・エムデ)が、ひょんなことからミュージシャンのツアーをブッキングする仕事を始める。やがてアメリカの天才ピアニスト、キース・ジャレット(ジョン・マガロ)の演奏に魅了されたベラは、幾多の苦難を乗り越え、地元ケルンにジャレットを招く企画を実現。ところが
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シネマの週末・トピックス
炎上
2026/4/10 13:12 614文字樹理恵(森七菜)と妹は幼い頃から、カルト宗教信者の父と母から虐待されていた。ある日、樹理恵は母の目を盗んで家を飛び出し新宿・歌舞伎町に行く。「トー横」と呼ばれる若者がたむろする広場で“じゅじゅ”という名前、寝場所、食べ物、スマホをもらう。一時保護施設で親しくなった三ツ葉(アオイヤマダ)ら仲間たちと
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シネマの週末・チャートの裏側
共同性と共感性
2026/4/10 13:12 563文字今年の春興行は話題性に少々乏しかった。大本命の「ドラえもん」新作が独壇場の強さを発揮した一方、そこに肉薄していく作品がなかった。その中では「超かぐや姫!」というアニメがヒットしたことが目を引く。映画業界も驚いたのだが、それは作品のあり方による。 すでに配信されたあとに劇場公開された異色作品である。
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