増える「働く前立腺がん患者」 可能にした手法とは?
日本人男性の3人に2人が人生で一度はがんにかかります。なかでも最も多いのが前立腺がんで、およそ9人に1人が経験します。高齢者に多く、かつては年金生活者の病とされてきましたが、定年の延長に伴い、働く前立腺がん患者が増えています。
治療は手術か放射線治療が中心です。放射線治療は身体への負担が少なく、入院不要で通院で受けることができます。しかし、従来の方法では平日毎日、40回程度の通院が必要でした。この治療回数の多さが働き盛りの患者にとって大きな壁となっていました。
この問題を解決するヒントが「治療回数の短縮」と「通院時間の柔軟化」です。
患者が希望する治療時間はいつ?
東大病院では、5回の通院で完了する「定位放射線治療」を2016年から導入。患者数は今年3月末までに1200例を超えています。従来の40回の照射に相当する効果を、より短時間・少ない回数で実現しています。
私もアルバイト先の病院で、夜間の放射線治療を導入したことがありましたが、患者さんに「希望する治療時間」を尋ねるアンケートの結果、最も多かったのは「土日祝日」で、全体のほぼ半数を占めました。夜間照射を希望する患者の3倍に達する結果となり、週末に治療を受けたいという強いニーズが浮き彫りとなりました。
こうした声に応える形で注目すべき取り組みが始まっています。東北大病院による「週末放射線治療(ウイークエンド照射)」です。2週続けて土曜日のみ通院する前立腺がんの放射線治療が、今年1月から本格的に始まっています。
この取り組みでは「MRリニアック」と呼ばれる最新機器を用います。磁気共鳴画像化装置(MRI)と放射線治療…
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なかがわ・けいいち 1985年東京大医学部卒。同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。スイスポール・シェラー研究所客員研究員などを経て現職。がん対策推進協議会委員などを務めた。