たった1週間の寝たきりでパワーが2割も減少?! 健康長寿をもたらす筋肉の効用
私たちの体の健康を維持するには、筋肉の役割がとても重要です。元気な高齢者にどんな生活をしてきたのか尋ねると、本人は意識こそしていませんが、軒並み体を動かしてきた経験を語られます。特に100歳まで元気で体のよい状態(ウェルビーイング)を保てるかどうかは、筋肉が十分残っているかが大きなカギです。いまからでも遅くありません。日常生活の中で、今よりもちょっとでも体を多く動かす習慣をぜひ取り入れてみましょう。
1週間の安静で歩行困難になることも
最近でも、食欲がないと3日間何も食べず、「意識がはっきりしなくなった」と救急外来にやってきた70代女性がいました。入院し、食事は取れるようになったのですが、足腰が弱り、トイレにも自力で行くことができなくなったため、自宅ではなく、リハビリ病院に転院となりました。
他にも同じ時期にこの女性と似た患者さんが2人入院したのですが、普段からよく動いていた90代の女性はその後、退院し自宅に戻ることができたのですが、あまり動いていなかった80代の女性は自宅に戻ることができませんでした。
最新の研究によると、常日ごろから筋肉を鍛えているアスリートは、深刻な病気にかかり筋力トレーニングができない期間があっても、再開しさえすれば筋力がいち早く回復し、競技に復帰できるほど元の健康な状態に戻るといわれています。また、筋肉量が多いことが、若さと長寿のカギであることも明らかになっています。(※1、2)
高齢者の場合、たった1週間でも入院して安静にしていると、足の筋肉が衰えることで筋力が20%前後も減少するといわれ(※3)、多くが歩行困難になります。入院直後から筋肉が落ちて歩くことができなくなることを予防するため、どこの病院でも廃用(使わなくて衰えていくという意味)予防のリハビリテーションをします。筋肉を維持・強化するための適切なリハビリや運動の継続は回復を促進させ、再入院のリスクを減らすことにもつながります。
筋肉は体を支えるだけでない
昔は、手術をした後は傷が治るまで何週間も安静にしていました。しかし今では、足の手術以外は翌日から歩くことを促されます。
健康リテラシーが備わっていない患者さんの中には「手術した後なのに、動くように言ってくるなんて……。なんて厳しいんだ」などと文句を看護師さんたちにおっしゃられることがあります。しかしそれは、筋肉が落ちないようにすることはもとより…
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かねこ・しずか 医学博士。高槻赤十字病院を経て現職。日本糖尿病学会、日本内分泌内科学会の専門医・指導医。日本糖尿病学会の第4次「対糖尿病5カ年計画」の作成委員。小中学校での出前授業や大人向け健康講座を開いている。