誰でも楽しくできる!誤嚥性肺炎を防ぐ意外な習慣とトレーニング
定年退職したら、外出が減り人に会うことがなくなった。最近、あまり人としゃべっていない、歩いていない――。身に覚えのある方は、要注意です。ひょっとして、「最近、食事中によくむせるな」と感じてはいないでしょうか。
実は、声を出さないことは嚥下(えんげ)機能の低下につながり、さらに歩かないと体力が低下して嚥下機能が低下します。私たちは、食べ物や飲み物を飲み込む時とほぼ同じ器官を使って、声を出しているからです。ノドは、使わなければ老化が進みます。ノドの老化が進めば、誤嚥しやすくなってしまいます。嚥下機能が低いグループは、高いグループと比較して、日常会話時間が少なかったという調査結果(※)もあります。
日常会話の少ない人は、おしゃべりな人と比べて、誤嚥のリスクが高いのです。
家族や友人と積極的におしゃべりをし、カラオケで大きな声で歌を歌ったり、毎日音読をしたりすることは、誤嚥性肺炎を遠ざけることにつながります。
まずはノドの筋トレ
毎年約6万人の方が誤嚥性肺炎で亡くなっています。
飲み込む力が衰えると誤嚥しやすくなりますが、飲み込む力はノドの筋肉を鍛えることで回復させることができます。そこで前回は、誤嚥を防ぐノドの筋肉のトレーニングとして「嚥下おでこ体操」「あご持ち上げ体操」「ボールつぶし体操」「シャキアトレーニング」をご紹介しました。
もうひとつ、みなさんにぜひご紹介したいノドの筋トレがあります。
まず、ノドをさわりながら、唾液を飲み込んでみてください。のど仏がぐっと上がるのがわかると思います。
今度は、舌を上あごに押しつけながら、唾液を飲み込みます。
のど仏が一番高くなったら、息を止めてその状態を3秒キープします。
難しければ、手指で支えましょう。また、慣れてきたらのど仏を上げた状態の時間を長くするのもよいでしょう。10回で1セット、1日3セットを目安に行いましょう。
これは、メンデルソン法(メンデルソン手技)と呼ばれるトレーニングです。いつでもどこでもできるので、例えば、電車に乗っている間などに行うのもよいと思います。
できれば、40~60代の若いうちから取り組んでほしいです。いつでもどこでもできると言いましたが、認知機能が衰えた頃に新たにこうしたトレーニングを始めるのは難しいからです。
呼吸筋も鍛えよう
飲み込む力と同様に大事になるのが、「吐き出す力」です。吐き出す力が十分あれば、食べ物や飲み物が気管に入りそうになっても、それを吐き出して、誤嚥を防ぐことができるからです。ここからは、呼吸筋を鍛え、吐き出す力を高めるトレーニングを紹介します。
まずは、意識的にせきをする「ハフィング訓練」です。
数回深呼吸をしたあと、ゆっくりと息を吸い込み、声を出さずに「ハッ、ハッ」と勢いよく息を吐き出します。この…
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にしやま・こういちろう 北里大卒。国立横浜病院医長、北里大臨床准教授など歴任。東海大医学部客員教授。藤田医科大客員教授。耳鼻咽喉科専門医。日本嚥下医学会相談医。日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士。横浜嚥下研究会代表