克服した堀ちえみさんも後悔 見逃しがちながんの初期症状とは
人気アイドルがたくさんデビューした「花の82年組」の一人として知られ、ドラマ「スチュワーデス物語」で人気を博した堀ちえみさんが舌がんを公表したのは2019年でした。堀さんが最初に異変に気がついたのは、18年春です。舌の裏に小さなできものができており、痛みを感じましたが、関節リウマチ治療薬の副作用による口内炎と思い込み、深刻に考えなかったそうです。通常1~2週間で治る口内炎が1カ月以上続き、かかりつけ歯科でレーザー治療を受けたものの症状は悪化し、体重も4kg減少しました。19年1月中旬、大学病院口腔(こうくう)外科を受診し、左舌扁平(へんぺい)上皮がんステージ4、左頸(けい)部リンパ節転移と診断されました。その後約12時間の手術で舌の半分以上とリンパ節を切除し、太ももの組織で舌を再建しました(注1)。
本人が語った後悔
24年に「完治」を報告した堀さんは当時を振り返っていくつかの後悔を語っています。それは以下のようなことです。
①初期症状を軽視し「薬の副作用」と思い込んだ、②痛みに慣れて我慢してしまった、③2週間以上治らない時点や硬く盛り上がった時点で専門医を受診していれば早期発見できた可能性があった、④「専門医ならもっと早く分かった」と言われた(注1)。
だれしも自分ががんになるなんて考えたくありません。しかし、人生の災害としてがんは起こりえます。せめて知っておいたほうがいい初期症状を解説しましょう。
なぜ早期発見が重要なのか
「がんは早期発見、早期治療」とよく言われますが、なぜでしょう。初期症状に早く対処した方が良いのは、がんが発見された時点の「進行度(ステージ)」によって、その後の経過が劇的に変わるからです。ステージとは、がんの大きさや広がり具合を示す指標で、一般的にステージ1~4で表します。図のようにほとんどのがんには、ステージ1で発見されれば、5年後の生存者の割合は非常に高くなります。しかし、遠くの臓器に転移したステージ4で発見されると、その数字は著しく低下します(ただし決してゼロではありません)。
がんは自動的に大きくなる「飛び火するいぼ」ですから、時間との勝負です。そこで専門医である筆者の経験から、つい放置しがちながんの初期症状10個をリストアップ…
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おしかわ・しょうたろう 1995年宮崎大医学部卒。国立がんセンター東病院を経て、宮崎善仁会病院非常勤医師。専門は抗がん剤治療と緩和療法。YouTubeでがん防災チャンネルを開設している。