銃を全く知らない創作者向けにと思って表題をテーマにしたく、2万字くらい書いたけど途中からまとまりがなくなり、まだ本題である処の「オタクの好みそうな銃のチョイス」については書かれていません
@Doe774
■銃火器のおおまかな分類
まず分類は国・地域、各軍隊・警察組織、運用思想、言語ごとに異なっており、そこまで厳密に定義するつもりがないことをご了承ください。ただひとつの銃は万能な魔法の杖ではなく、用途によって様々な種類がある。拳銃で限定的な狙撃をしようと思うのなら50mがいいところであろうし、だいたい大きければその分長大な弾薬を使うので射程も伸びる。交戦距離や使用状況をどのように想定するかで携行すべき火器が変わると思うので、最初に選定すべきポイントとして参照されたい。
【大きさによる分類】
↑小型・軽量・短射程
・拳銃/ハンドガン、ピストル ……片手で扱えるサイズの銃器 更に小型、中型、大型の分類がある
・機関拳銃/マシンピストル ……およそ拳銃大のサイズで全自動(フルオート)を可能としたもの
~50m
・短機関銃/サブマシンガン ……拳銃弾を使用し機関銃を小型化したもの 三つの世代に区分される
~200m
・(突撃)騎兵銃/(アサルト)カービン ……突撃銃や小銃を短機関銃サイズまで短縮したもの
・突撃銃/アサルトライフル ……短小弾・中間弾薬を使用する全自動火器、冷戦期~現在の主流
~500m
・(自動)小銃/(バトル)ライフル ……フルサイズ弾薬を使用する歩兵用火器の基準
・分隊支援火器、軽機関銃/SAW、LMG ……二脚で据えて使う機関銃 多くは歩兵用火器と同じ弾薬
~800m
・汎用機関銃/GPMG ……二脚で据えれば軽機に、三脚で据えれば重機になる機関銃
・重機関銃/HMG ……大口径弾薬を使用する、三脚で据えるような機関銃 対軽車輌にも使用
~1,800m
↓大型・重量・長射程
【弾薬によるその他の区分】
・個人防衛火器/PDW ……拳銃弾とアサルトライフル弾薬の中間の弾薬を使用するもの
・散弾銃/ショットガン ……散弾を発射するもの。多くは中折式、ポンプアクション式、自動式など
・マグナム ……通常より装薬量が多くなるよう薬莢長が延長された弾薬を使用するもの
・擲弾発射器/グレネードランチャー ……擲弾や榴弾を発射するもの。突撃銃に付けて使うものもある
・ロケットランチャー ……概して装甲車両などに対してロケット弾を発射するもの
・携帯式地対空ミサイル ……低空の航空目標(ヘリコプター等)に対して誘導ミサイルを発射するもの
【その他用途による分類】
・狙撃銃/スナイパーライフル ……狙撃に使用するもの。多くはボルトアクション式など
・選抜射手ライフル/DMR、マークスマンライフル ……選抜射手が使用する狙撃銃。自動式が多い
・対物ライフル ……大口径弾を使用するライフル。古くは対戦車ライフルだった
■年代および作動機構による分類
作動機構は大まかに言えば銃の発展史でもある。歴史ものを書くのであれば「当時のトレンド、最先端技術」を把握する必要があるし、劇中の年代からしてその銃(と、その機構)が古いのか新しいのかくらいは知っておくと、その銃を使用するキャラクター、あるいはその組織の性格まである程度表現できるのではないかと思っている。冶金や化学的性質まで把握できると強いが専門性が高いので難しい。
【概史】
・9~10世紀ごろ ……中国(唐)で黒色火薬の発明
・12~13世紀ごろ ……中国(宋)で火槍、アラブ世界でマドファなど指し火式の使用
・14世紀ごろ ……中国で手銃(ハンドキャノン、handgonne)の普及
・15世紀ごろ ……火縄銃(マッチロック式);火種を必要とし雨や水に弱かった
・16世紀ごろ ……ホイールロック式;ぜんまい仕掛けで作動したが機構が複雑だった
および初期のフリントロック式、回転式連発銃、施条(ライフル)の発明
・14~16世紀ごろ ……紙製薬莢(早合)の発明;マスケット銃の再装填を効率化した
・17世紀ごろ ……フリントロック式の完成;火打ち石を叩き付けて発射する単純な機構を持つ
・19世紀初頭 ……雷管の発明、パーカッションロック式の普及
・1823年 ……流線型のプリチェット弾(椎の実弾)の発明
・1836年 ……サミュエル・コルトがシングルアクション機構のリボルバーを開発
プロイセンのドライゼが紙製薬莢を使用するボルトアクション式のドライゼ銃を発明
・1846年 ……初期の無煙火薬(ニトロセルロース)の発明
・1849年 ……施条銃(ライフル)に装填しやすい流線型のミニエー弾、およびミニエー銃の発明
・1850年代 ……中折式水平二連散弾銃の発売 初期の多銃身斉発砲ミトラィユーズの発明
・1853年 ……後装式のエンフィールド銃が高い精度を示し、小銃の有効射程が伸びる
・1857年 ……S&W社が金属薬莢の発明、およびレバーアクション式ライフルの販売開始
57年から68年までに同社は、中折式回転式拳銃モデル1、モデル2、モデル3などを発売
・1860年代 ……アメリカ北軍が後装式連発銃スペンサーライフルやガトリング銃を使用
・1862年 ……英軍が初期のダブルアクション式リボルバーを採用
・1866年 ……スナイドル銃が今日のセンターファイア式金属薬莢の原型を作る
・1869年 ……金属薬莢のパテントが失効
・1873年 ……『西部を開拓した銃』コルトSAAやウィンチェスター銃が軍・官・民で広く普及した
・1884年 ……コルト社が初期のポンプアクション(スライドアクション)式ライフルを販売
・1886年 ……無煙火薬(B火薬)の発明、89年にコルダイトの発明
・1889年 ……コルト社が現代のものに近いスイングアウト式ダブルアクションリボルバーを発売
・1893年 ……最初期の自動式拳銃ボーチャートC93、96年にはモーゼルC96が発売
ポンプアクション式散弾銃ウィンチェスターM1893が発売、97年に無煙火薬向けに改良
・1884,95,96年 ……マキシム、ブローニング、ヴィッカースなどの全自動式重機関銃の登場
・1898年 ……フランスが初の尖頭弾(スピッツァー)を採用し、銃の有効射程が伸びる
【20世紀以降】
・1900年代 ……ジョン・ブローニングがコルト社やベルギーのFNハースタルと提携し、半自動式散弾銃オート5、およびコルトM1903やFN M1910といった自動拳銃のベストセラーを次々と発売
・1904-05年 ……日露戦争において初期の近代的手榴弾が使用される
・1908年 ……ボーチャートC93をゲオルク・ルガーが改良しP08としてドイツ軍に採用、このときに作られた9mmパラベラム弾は今日まで主流の軍用ピストル弾薬となる
・1911年 ……ブローニングの設計したM1911が米軍に採用され、今日までの自動拳銃の基礎となる
・1914-18年 ……黎明期の自動小銃や手榴弾などが各国で試験的に開発・運用される。例として、フェドロフM1916は弱装の6.5mm南部弾を使用し最初期の突撃銃と解釈される場合もあり、またショーシャ軽機関銃はプレス加工技術を使用し当時としては非常に軽量な自動小銃であった。大戦末期には拳銃弾を使うドイツのベルグマンMP18やアメリカのトンプソン短機関銃など、第1世代のサブマシンガンが登場する。またブローニングもライフル弾を使用するブローニングM1918自動小銃を開発する
・1926年 ……チェコスロバキアがブルーノZB26を開発、『無故障機関銃』としてベストセラーに
・1934年 ……ブローニングの遺作FNハイパワーが完成、この改良ブローニング式は現在までの主流
およびドイツ軍が初の汎用機関銃であるMG34を採用(のちにMG42を後継として採用)
S&W社やウィンチェスター社がリボルバー用弾薬として.357マグナム弾を開発
・1936年 ……米軍がM1ガーランド小銃を採用。同製品間での『規格』を採用し信頼性を高めた
・1938年 ……ドイツ軍がワルサーP38を採用、このダブルアクション機構とデコッキング・メカの運用思想は銃とともに広く伝播する(後年のベレッタ92FSなどに強い影響を与えている)。また同時期に採用されたMP40短機関銃はプレス加工技術を使用し生産性を高めた第2世代のサブマシンガンとされ、英軍のステン短機関銃や米軍のM3グリースガン、ソ連のPPSh-41及びより生産性を高めたPPS-43などもこれに影響されている。(戦後これらの銃器は旧植民地などに広く供与されることになる)
・1941年 ……米軍が後方部隊や将校向けに.30カービン弾およびM1カービン銃を開発、採用
・1942年 ……ドイツ軍がMKb42に使用する7.92mmクルツ弾を発明。従来の8mmモーゼル弾を短小化したもので、平野での銃撃戦から市街地などでの機動戦に移行しつつあった戦場において必要十分な効力を発揮し、今日のアサルトライフルの原型となる。(のちにStG44として改良)
・1945年 ……ソ連軍がSKSカービン用として7.62x39mm弾を開発、のちにAK-47やRPD軽機関銃の使用弾薬となる。47年にAK-47が採用され、カラシニコフ型突撃銃の構造は各国で模倣・コピーされる。この銃や弾薬はワルシャワ条約機構(WTO、WPO)のデファクトスタンダードとなる
・1948年 ……チェコスロバキアがvz.23短機関銃にてL字型ボルト(テレスコーピングボルト)を使用、これを真似て50年にイスラエル製UZIサブマシンガンや64年のイングラムMAC10など、全長の短いコンパクトな2.5世代と呼ばれる短機関銃が登場する
・1950年代 ……フルサイズ弾薬である7.62x51mm NATO弾が採用、これを使用するM14、FN FAL、H&K G3といった自動小銃や、サコーM60やFN MAGのような汎用機関銃などが採用されるが、アサルトライフルの採用に西側諸国が一歩遅れを取ることとなる
・1955年 ……S&W社が.44マグナム弾とそれを使用するマグナムリボルバーS&W M29を発売
・1956年 ……中国のノリンコ社が56式自動歩槍や56式半自動歩槍など、ソ連製のAK-47やSKSカービンのライセンス生産品あるいはデッドコピー品を生産し、第三世界に供与・売却し始める
・1961年 ……チェコスロバキアで戦車兵や運転手などの自衛用・護身用としてVz.61スコーピオン短機関銃が採用、またソ連で対戦車ロケットランチャーであるRPG-7が採用
・1962年 ……米空軍がアーマライトAR-15をM16として採用、64-67年にかけてM16A1として陸軍や海兵隊でも採用された。このM16用の弾倉はSTANAGマガジンとして北大西洋条約機構(NATO)の標準規格となっている
・1963年 ……アーマライト社がAR-18を開発。高度な設備を持たない工場でも生産可能なAK-47に対抗する意図で開発されたが、この銃それ自体よりその構造が西側諸国で模倣され、普及する
・1964年 ……ソ連でマークスマンライフル的な運用として、ドラグノフSVD狙撃銃が採用される。また69年にはPK汎用機関銃の改良型であるPKMが採用
・1966年 ……西ドイツのH&K社がG3自動小銃のローラー遅延式ブローバック機構をスケールダウンした短機関銃としてMP5を発売。当初は振るわなかったが77年のハイジャック事件において閃光音響手榴弾(フラッシュ・バン、スタン・グレネード)と共に効力を発揮し、射撃精度の高い対テロ特殊部隊の標準的銃器として広く採用されることとなった。それまでのオープンボルト式で近距離での制圧力を重視していたサブマシンガンに対して、このように自動小銃と同じあるいは似た機構を持ち、精度を重視するタイプのサブマシンガンは、第3世代の短機関銃として分類される
・1970年 ……M79グレネードランチャーの後継として、M16ライフルの下部に装着するアタッチメント型のM203グレネードランチャーが採用される
・1972年 ……『黒い九月事件』が発生し、その反省から西ドイツで対テロリスト用セミオート狙撃銃であるH&K PSG-1やワルサーWA2000などが開発される
・1976年 ……ベルギーのFN社が5.56x45mm弾を改良、80年にSS109としてNATO標準になる
・1978年 ……オーストリアのステアーAUG、フランスのFA-MASなど、機関部を後方に移しコンパクトながらも長い銃身を兼ね備えたブルパップ方式のアサルトライフルが採用される
・1980年 ……オーストリアのグロック社がポリマーフレーム、ストライカー式、複列弾倉のグロック17を発売。85年には米軍が正式採用の拳銃をM1911A1からベレッタ92FSに更新し、この時期に数多く登場した、およそ「ダブルアクション式、9x19mm口径、複列弾倉」といった要素を持った9mm拳銃は『ワンダー9』などと呼ばれる(例:ブローニングハイパワー、S&W M59、Cz75、ベレッタ92FS、グロック17、スタームルガーP85/89/90/94/95、H&K P7、H&K USP、SIG P226など)
・1984年 ……FN ミニミ軽機関銃が開発され、NATO各国で採用される
・1988年 ……79年にイスラエルのIMI(IWI)社が開発したデザートイーグルに.50AEモデルが追加
・1990年代 ……FN P90やH&K MP7といった個人防衛火器(PDW)の登場。これは拳銃弾サイズながら短機関銃よりも長い200m程度の射程と防弾チョッキへの貫通性能を高めた、専用のPDW弾薬を使用する。後方部隊向けとして開発されたがむしろ対テロ特殊部隊の採用が多い
・1994年 ……M4カービンの登場。およびそれに使われる(スコープなどアタッチメントを付けるための)レール規格MIL-STD-1913が、広く普及するようになる
・2003年 ……S&W社が.500 S&Wマグナム弾とそれを使用するS&W M500を発売
・2005年~現在 ……S&W社がグロックの影響を受けたM&Pピストルを発売、ポリマーフレームのストライカー式拳銃がデファクトスタンダードに
■創作に銃器を出す際のTIPS
【文章表現上のポイント】
銃の特徴や特異な構造を描写して、名称を極力出さない(名前を列挙するのは、なんとなく素人っぽいから)。「二つ名」「アダ名」があれば、それを使うのも良い。有名作を挙げて「〇〇の銃」とかも良いだろうと思う。銃それ自体の物語性もあるし、そういった文脈も加味されてお得になることもある。
例えば「M1911」だとただの記号だが、「.45口径の8連発」は弾の種類・威力と装弾数といったステータスが分かる。銃をよく知らない人でも8回撃てるのだろうなと分かるし。銃を知っている人ならたぶん延長弾倉付きの1911かP220の.45口径バリアント辺りだろうと推察できる(もし1911だと同定させたければ「アメリカ製の」とか付け加えればよい)。他にも「.22」「.25」「.32」「.380」と口径だけ書けば恐らく民生用の、小型のオートマチックであろうと銃オタクは勝手に読み込む。
また、もし舞台背景の年代とキャラクターの所属が明らかであるなら、わざわざ銃の名前を出す必要はない。60年代中盤ごろの米軍なら「ライフル」でM16、「マシンガン」でM60、「ピストル」ならM1911A1辺りだろうと分かるからだ(重ねて言うが、銃を使う人間がその銃の名称を覚えていたり、普段そのように呼んでいるとは限らない。ただ支給されただけの道具だからだ)。あえて特徴づけて書くなら、それは特殊性を帯びる場合に限定したい。「9mmピストル」と書くなら消音器付きのMk22ハッシュパピーか、「.30口径カービン」なら旧式のM1/M2カービン辺りと推察できると思う。ちなみにXM177カービン、コルト・コマンドーは当時の分類上サブマシンガンと呼ばれており、その辺りの国と地域と時代によって呼称が若干異なってくることは留意したい(フルサイズ弾薬を使う自動小銃がバトルライフルと呼ばれるようになったのも、レトロニムであって、比較的最近のことである)
・描写の例
M1911;.45口径の7連発。(.45とだけ呼んでもM1911のことだろうと推察できる)
AK47(56式自動歩槍);折り畳み銃剣の付いたカラシニコフ型突撃銃。
イサカM37;『フェザーライト』。その散弾銃は排莢口が装弾口も兼ねていた。
S&W M19;Kフレームのハンドイジェクターに.357口径を装填する。
M60;その銃は『豚』と呼ばれていた。/ランボーの銃だ。
M16A1;マテルのおもちゃ。/三叉のフラッシュハイダーが閃光をY字に分散する。
ウィンチェスターM70;ウィンチェスターのボルトアクション。もちろん64年以前のモデルだ。
M1887;『T2』でシュワちゃんが振り回してたやつ。
SMLE MkIII;マガジン・カットオフを引き出して、「マッド・ミニット」の速射をする。
M1ガーランド;8発目を撃ち終わると、ピン、と甲高い音を立てて挿弾子(エンブロック・クリップ)が排出される。
M1891/30 PU;槍のようなソ連製小銃はボルトハンドルがスコープに干渉しないよう曲げられていた。
Kar98K(中正式歩槍二式);中独合作のモーゼル銃。19世紀末の傑作だ。
ステンガン;パイプのような『臭い銃』(ステンチ・ガン)。
M1928短機関銃;『シカゴ・ピアノ』の50連発ドラムマガジンが音を奏でる。
MP40;『シュマイザー』/『ゲップ銃』らしい遅い連射音だ。
PPSh41;毎秒15発の『マンドリン(バラライカ)』の音だ。
【作画上のポイント】
銃には「撃てない状態」があって、いざ発砲せんとする場面でその状態を描くとまずい。例えば、
・安全装置が外れていない
・薬室やシリンダー撃発位置に弾薬が装填されていない(あるいはローディングインジケータが出ておらず、薬室に弾薬が入っていない事になっているなど)
・弾倉が空になってスライド(ボルト)ストップがかかり、スライド(ボルト)が後退している
・作動不良が起きている、あるいは作動不良などでスライドやボルトが完全閉鎖していない
・オープンボルト式の銃で、ボルトが(撃発可能な状態である)後退位置になっていない
・シングルアクション式の銃でハンマーが起きていない、またはハーフコック位置から撃発している
・マガジンセイフティのある銃で、弾倉が挿入されていないのに撃発している
・AFPB(オートファイアリングピンブロック)のある銃で、トリガーを引かずに撃発している(例えば撃針を直接何かで叩いて撃発するようなトリックなどを使用する場合の話)
・(ベレッタ92など)AFPBの状態が外部から分かる銃で、AFPBが解除されていない
などがある(例外はある。マガジンセイフティは「カスタムで外している」と言うこともできるし、外部露出型のAFPBやローディングインジケータまで見ている人間はほぼ居ないと思うが)。
また他に特定の銃などにおいて間違えやすい例としては、
・ダブルアクションオンリー(DAO)の銃で(撃発前、撃発後問わず)ハンマーが起きている
・南部14年式やツァスタバM70系カラシニコフ銃で弾倉を空にした状態でボルトが後退位置で止まり、弾倉を外してもボルトが後退したままになっている(これら一部の銃は弾倉のフォロワーにボルトが引っ掛かって弾切れを示すだけのボルトストップなので、銃本体にその状態を保持する機能がない)。同様にマウザー系ボルトアクションライフルで、弾倉を撃ちきりボルトを後退させたあとにそのままボルトを前進させている(ボルトアクションライフルも一部機種は弾倉を撃ち切ると、射手に弾切れを示すためにボルトを後退位置で停止させる構造になっているものもあるため、弾倉が空の状態でボルトを前進させるにはマガジンフォロワーを押し下げながらボルトを前進させる必要がある)
・スライドストップ、ボルトストップのない銃で弾切れになったときにスライドやボルトが後退位置で停止している(ライフルであればAK系、MP5/G3系、H&K G36、FN FAL、ピストルであればコルトM1903、コルト25オート、FN M1910など、弾倉が空になった状態で自動にスライドストップ、ボルトストップがかからない銃もある。また外部から操作できないがスライドストップ機能を内蔵している銃として、ワルサーPPシリーズなどがある)
・ボルトハンドルやチャージングハンドルが、ボルトの動きと連動してしまっている/連動していない(例えばブローニングM1918自動小銃、M3グリースガン、AR15/M16系、アーマライトAR10、H&K G3/MP5、FN FAL、ステアーAUG、FN F2000、FN P90、UZIサブマシンガン、ステアーTMP/B&T MP9、H&K MP7などはボルトの動きとチャージングハンドルは連結していないので、作動時に前後しない。逆にStG44、FA-MAS、95式自動歩槍、イングラムMAC10/M11、Vz61スコーピオンなどは連結しているので連動して前後する。なおAK系やSIG 550系、64式小銃や89式小銃などボルトハンドルが直接ボルトから生えている銃は当然前後する)
(補足ながら、スライドストップ/ボルトストップが搭載されている銃でも、火薬の量が少なかったりしてボルトの後退量が足りず、あるいはなんらかの原因で最終弾でもスライド/ボルトが後退位置で停止しない場合もある)
・安全装置をかけるとスライドやボルト、トリガーなどを動かせなくなる銃で、その状態で操作してしまっている(コルトM1911系、マカロフ拳銃、Kar98K、モシンナガン小銃など)
などがある。
この辺りの細かい描写は銃の構造を知っていくとある程度判別できるようになるが、銃によってそれぞれ異なるとしか言えないので、ミスを防ぐための簡単な方法としては、
・ハンマーが露出していない銃をチョイスする
・手動安全装置(マニュアル・セイフティ)のない銃を選ぶ、または安全装置をかけない
・または自動式のハンマーは戦闘時には常に起きているように描くことにして、DAO(ダブルアクションオンリー)のオートマチックやシングルアクションのリボルバーはチョイスしない
・スライドストップやボルトストップの描写を省くために、そもそも弾切れの状態を普段は描かない
・適当にごまかす、あるいはそこまで詳細に描かない、知らないことは描かない(銃がメインでなければ、それで充分なので)
といった事が挙げられると思う。
【銃を扱う組織の性格】
銃を扱うような軍・警察といった組織は、基本的には武器の更新に対して保守的だ。それは、
・全く違う構造や機構の銃を配備すれば、そのための再訓練が必要になるから
・弾薬や予備部品の備蓄があるから、それを全て廃棄するわけにはいかないから
・銃が故障した場合の修理設備や部品の供給のシステムも変更しなければならないから
ゆえに銃を更新する際には同じ弾薬や弾倉を使用したり、また似た操作体系や分解・整備方法を持つ銃が好まれる傾向がある(米軍が00年代ころに新型小銃を検討するトライアルを開いた際に、全く違う操作システムや構造を持つH&K XM8よりもFN SCARが好まれ、後年、限定的に採用されたのもそういった側面があるだろう)
また個人と違って、官吏や兵隊は自分の好みで銃をチョイスできるわけでもない(民間人でも銃を所有しやすい国なら、一部サイドアームとしての拳銃や、特殊部隊などであればある程度融通が効くであろうが)。軍も警察もある程度規格を統一したがるし、銃が器械的に故障した際の手続きもサポートする必要がある。個々がまばらな装備を持っていては、規律や統制を欠くし、軍や警察組織のような暴力装置の持つ銃たちを描く場合は、弾薬や弾倉、修理設備を共有できる、安全管理の方法が同じであるといった、ある程度統一した規格を持たせると説得力が生まれる。
■なぜ何もないのでなく、銃があるのか
銃は支配のための道具であり、暴力の具現でもある。植民地主義、帝国主義によって列強は各国に軍隊を配備するし、銃はそれに付随して伝播し、その生態圏を広げる。東西冷戦でも両陣営は自分たちの規格に合った銃器や製造設備を同盟国に供与したり、またそこからコピー品が生産されたりもする。兵士の死体は腐っても、銃は自然に還らない。銃はかつて存在した支配の残滓でもあり、また現存する抑圧の表現形でもある。その銃が使われている国と地域には必然性がある。
■銃の製造国とそのイメージなど
【アメリカの銃】
ハリウッドが作り上げた『正義』の銃。米軍採用の銃はメディア作品でもヒーローの銃として登場することが多く、またトイガンでのモデルアップも多いため資料が多い。一番人気だが、定番すぎるので逆張りの人間には好かれないという問題もある。ヨーロッパ各国の有名な銃器メーカーもアメリカに現地法人を持っている。第二次大戦の時代の旧式の銃は日本の警察予備隊、自衛隊にも供与されたことがあり、そういった歴史的背景を鑑みて日本を舞台にアメリカの銃を登場させることは妥当なチョイスでもある。
近年ではそのイメージがやや薄れたが、ライフルの7.62x51mm口径や拳銃の.45口径など大口径に強い拘りがあり、.45口径を使用する銃は基本的にアメリカ市場を意識したものである(ヨーロッパでは9mm口径が一般的)。コルトM1911やそのコピー、M16突撃銃(および派生のM4カービンシリーズ)、レミントンM870散弾銃やウィンチェスターM70、レミントンM700狙撃銃などは各国でも使用される王道のチョイスでもある。また「西部劇」のイメージとしてコルトM1873シングル・アクション・アーミーやレバーアクション式のウィンチェスター・ライフルなどを選ぶこともできる。コルト社、S&W社製のリボルバーも有名である。2020年現在、米軍のM16(AR-15)ライフルの操作体系に追従したような突撃銃が各国で採用される傾向があり、アメリカのAR-15かロシアのAK-47で人気を二分している。
【ロシア(ソ連)・チェコ(チェコスロバキア)・東欧の銃】
『悪役』の銃。カラシニコフ突撃銃などは旧共産圏や第三世界で広く供与・普及・コピーなどされており、反米・反資本主義・革命といったイメージが付与される。西側諸国ではほとんど情報が入らなかった経緯から、やや神秘的なイメージを持たれる場合も多い。
チェコ(チェコスロバキア)の銃は少し文脈が違っており、工業国であった歴史から例外的に、ソ連製とは違った(そして精度などにおいてより優れている)武器兵器が採用されるケースもあり、近年はトイガンでのモデルアップも次いで多い。Cz75ピストルは当時共産国で国外でのライセンスが取れなかった関係もあり、各国でコピーされている。
ロシアの厳しい環境から作動性が重視されており、高度な設備のない地域でも生産できるような設計であることが多く、それが世界で広く普及した要因にもなっている。ソ連で設計されたAK-47突撃銃、SKSカービン、ドラグノフSVD狙撃銃、RPD軽機関銃、RPK軽機関銃、PKM汎用機関銃、RPG-7ロケットランチャーなどは紛争地域の定番である。またそれらの銃が東欧や中東でコピー・ライセンス生産されている場合も多く、ユーゴスラビア製ツァスタバM70突撃銃、ハンガリー製AMD-65、ルーマニア製PSL狙撃銃などが有名である。
ソ連崩壊後のロシア製銃器は、民間市場を見据えてポリマーやNATO規格のアクセサリーレールを採用する場合も多く、より西洋化・近代化したイメージが加わっている。
【アメリカ民間・ブラジルの銃】
米軍採用の銃に比べてアメリカの民生用の銃はややマイナーである。それでも米軍採用の銃に類似した機構や操作体系が採用されている場合が多く、操法や訓練方法の統一という観点で民間の銃を採用する警察機構や民間軍事会社などもある。物にもよるが民間市場に流通するため比較的安価である場合もあり、スタームルガー社など、マニアの間では受けが良いように思う。(私はスタームルガー推し)
ブラジル製の銃はタウルス社などイタリアのベレッタ社やアメリカのS&W社の影響が強く(一部の銃をライセンス生産している)、かつ安価であるためアメリカの民間市場で人気がある。「あえて」の外しとしてのチョイスとしてアリだと思う。
【ドイツ・ベルギー・スイス・オーストリアの銃】
高級志向、かつ高精度(ただしオーストリア製は安価な傾向がある)。またブルパップ式、ポリマーフレーム、独自弾薬など新規技術を採用するイメージがある。サブマシンガン(マシーネンピストーレ)、アサルトライフル(シュトゥルムゲヴェーア)はドイツの発明とも言えるし、PDW弾という概念の発明、また現在のポリマーフレームをいち早く採用したのもドイツのH&K社やオーストリアのステアー社、グロック社である。ドイツのH&K社はトルコなどでもライセンス生産が行われており、G3ライフルなどは紛争地帯でも割と普及している。ワルサー社の拳銃(P38、PPK)はルパンや007シリーズでも主人公の銃として登場している。ナチス時代の銃は冷戦期、東西のスパイが自身の身分を隠匿するために使われたという話もある。
ドイツのH&K社やスイスのSIG(SIG SAUER)社は特殊部隊での採用も多く、ベルギーのFN社の機関銃は西側諸国で広く採用されている(.50口径のブローニングM2など、ジョン・ブローニングが提携していた関係か)。日本の自衛隊もSIG P220といった拳銃を採用していたり、89式小銃はFN社のFN FNCに類似しているなど、ヨーロッパ製の銃器の影響も受けている。米軍でも採用される場合が多く、民間市場でも(高いが)人気がある。トイガンでのモデルアップも多く資料も充実しているだろう。
【イギリス・フランス・イタリア・スペインの銃】
ヨーロッパの中ではあまりパッとしない印象がある。なんとなく、独自路線を行く場合が多い。
イギリスの銃は英国面などと呼ばれ悪名高いものもある(SA80/L85シリーズなど動作不良がよくネタにされる)が大英帝国の名残・残滓もあってSMLE(リー・エンフィールド)ライフルやスターリング・サブマシンガン、FN FALのライセンス生産品L1A1などは広く見かける(旧植民地のインド周辺などでも、広く普及している)。宮崎駿作品に出てくるイメージもある。
フランスの銃は本当にマニアックで、FA-MAS突撃銃くらいしか広く認知されていない。トイガンでもモデルアップされることはなく(本当にない)、デザインも「オシャレなフランス」的なイメージと反して「なんでそうなった??」というものが多い。見慣れないうえに機構が面白いものも多いので、マニア受けはすると思われるが、作画するには資料が少なくやや厳しいかもしれない。
イタリアのベレッタ社などは最古の部類の銃器メーカーで、16~17世紀から存在している。米軍に採用されたベレッタ92シリーズは世界的な人気があり、先述のブラジルのタウルス社を初めとして、エジプトのヘルワン(Helwan)社などでもライセンス生産されている。またベネリ社の散弾銃、マテバ社のリボルバーなども有名である。デザインが優美なので、画面映えはするが、曲線を多用したデザインが多いので作画する場合はややコストが高めかもしれない。
スペインの銃はなんとなくドイツ製の銃器との連関が強い。ドイツ製のモーゼルC96はアストラ社でM900としてコピーされ、またスペイン製のセトメ・ライフルはドイツのH&K社G3ライフルの基になっている。トイガンとしてのモデルアップはほぼ無いが、上記の銃に関して言えばほとんど見た目は同じなので、外しとしてスペイン製ということにすればオタク受けしそうではある。
【イスラエル・中東・アフリカの銃】
列強各国の影響を強く受けている。イスラエル製の、カラシニコフ突撃銃を参考にしたガリル突撃銃、近接戦闘を想定し開発されたコンパクトなブルパップ式のタボールAR21突撃銃、チェコのvz.23を参考にしたUZIサブマシンガン、チェコ製のCz75拳銃を参考にしたジェリコ・ピストル、またマグナム弾を使用するデザートイーグルなどは有名である。紛争が絶えないことから質実剛健のイメージが強く、玄人好みと言えるかもしれない。
中東地域やアフリカではそれぞれの宗主国の旧式の銃(植民地時代の銃)が流れていることが多く、またソ連が反資本主義・反西洋の革命勢力として武器を供与した関係からソ連製の銃も多い(逆に西側陣営、民主主義・資本主義を採用した国家は西側の銃器の影響が強い)。安価で粗悪なコピー品の印象がほとんどだが(ダッラ村の密造銃など)、南アフリカのベクター社はイスラエルのガリル突撃銃やイタリアのベレッタ拳銃をライセンス生産しており、ダネル社のリボルバー式グレネードランチャー、ダネルMGLは米軍にも採用されている。
【中国・日本・アジアの銃】
アジア人は西洋人に比べ小柄であるから、欧米諸国に比べてコンパクトな銃が採用される(ブルパップ式など)傾向があるようにも思う。中国はもともと共産圏としてソ連製銃器のライセンス生産を行っていたが中ソ対立以降は独自路線に転向し、独自の5.8ミリ弾を使用するブルパップ式の95式自動歩槍などを生産、採用、輸出している。トイガン業界でも中国・台湾製のものが増えてきており、モデルアップも近年増えている。また共産党が本土を掌握する前は中独合作でドイツ製のモーゼル・ライフルやモーゼルC96の生産なども行っており、第二次大戦の頃は連合国であった関係からアメリカ製の銃(トンプソン・サブマシンガンなど)も生産した時期があった。日本統治時代は日本製の銃も製造されていた。
日本の銃は……よく分からない。現在では他国への武器輸出が厳しく制限されており、あまり外に出回ることがない。猟銃などは輸出されているものの、アーマライトAR-18のライセンス生産品ホーワAR-180などがアイルランドのIRAの武力闘争に使用された問題なども発生したことがあって、議論を呼ぶチョイスとなるように思う。旧日本軍の銃はアジア地域で広く使われていて、ベトナムがフランスから独立する際には旧軍の有坂銃が使われたという話もある。ただし当時の弾薬の規格(6.5mmおよび7.7mmアリサカ弾、8mm南部弾など)は今では廃れているうえ、湿気った火薬が撃発不良を起こすことも考えられるし、むしろ希少なのでアメリカなどではコレクターアイテム化している。
アメリカがフィリピン、朝鮮戦争、ベトナム戦争、インドシナ戦争に関与した関係で韓国、ベトナムなどではアメリカ製の銃が残っていることがある。アメリカ製のM1カービン銃やAR15(M16)突撃銃、M3グリースガンなどは小型で軽量なのでアジア人に人気があったとも言われる。日本軍もM1カービン銃やトンプソン短機関銃などを鹵獲して好んで使用していた(戦後、警察予備隊・自衛隊にも供与されている)。旧西側陣営に所属している日本や韓国はNATO標準の弾薬を使用しているので、機構・操法的には西側のものに寄るが、旧東側陣営の中国やベトナムはソ連のものに寄っている。
概して、トイガンとしてモデルアップされることも多いが、そういった意味で政治色が強まってしまうことが多いので、創作に登場させるにはある程度政治的な知識・文脈も要求されるように思う。
■広く使われる弾薬とそのイメージなど
オタクは数字の比較が好きだ。銃が伝播するのと一緒に、その使用弾薬も広まっていく。弾薬が無くては銃は役に立たず、弾薬が分かれば、大まかな銃の性能が分かる。使用目的からチョイスしやすくなる。
【ピストル弾薬】
・.22LR ……射撃訓練用、プリンキング(射撃趣味)用、害獣駆除用、暗殺用など。スタームルガー社のMkI、MkIIピストルや10/22ライフル、アーマライトAR-7ライフル、コルト・ウッズマンなど民生用のベストセラーがある。非力とされるが薬莢長は長いため.25ACPよりも初速とエネルギーは高い。もちろん銃であるから殺傷能力を有している。サプレッサー(消音器、抑声器)との相性もいい。
・.32ACP、.380ACP ……小型拳銃に広く使われる。上記の.22LRはリムファイア・カートリッジ(縁打ち式とも。薬莢底部の外周=ヘリに撃発用の火薬が詰められており、それを叩いて激発する)でやや不発が多いとされるのに対して、これらはセンターファイア式(薬莢底部の真ん中に雷管がある)なのでその点ではやや信頼性に優るか。古くはブローニングM1903/08、M1910、ワルサーPPK、ベレッタM1934などに使用される。.32ACPの銃は、より威力に優れた.380ACPのバリアントが提供されることも多い。フルオート射撃時の安定性を考慮し、マシンピストル用として運用されることも(イングラムM11、スコーピオンVz61など)ある。アメリカの民間市場では自衛用として.380ACPの小型拳銃の人気も高い。近年ではスタームルガーLCP、S&W ボディガードなど。ちなみにACPとは「オートマチック・コルト・ピストル」の略であり、かのジョン・ブローニングの設計した弾薬でもある。
・7.62x25mm ……旧共産圏で一般的な弾薬。元々はドイツのモーゼルC96用に設計されたが、それを好んだロシア(ソ連)がコピーして使用した。有名な銃に、モーゼルC96(フルオートモデルのM712)、トカレフTT-33、PPSh41短機関銃、PPS43短機関銃など。ボトルネック形状の装薬量の多さから初速が高く、またソ連製の弾薬には材料費を抑える目的で鉄芯が使用され、結果として貫通力が高まっている。ソ連が9mmマカロフ弾を後継に採用したが、中ソ対立があったため中国共産党ではそのまま広く使用され続けた。
・9mmマカロフ ……旧東側諸国で一般的な弾薬。銃の機構を閉鎖機構の不要な単純なブローバック式にできるよう、やや少なめの装薬量に抑えている。マカロフ拳銃、スチェッキンAPSマシンピストル、PP-19ビゾン短機関銃、PM-63 RAK、スコーピオンVz65など。ちなみに西側の9x19mmパラベラム弾との互換性はない(こちらは弾丸径が9.2mm程度とやや大きめである)。.380ACPと同程度の威力。
・9x19mm ……ヨーロッパで一般的な弾薬。9mmパラベラム弾とも。NATOの標準弾薬。軍用ではこのクラスの弾薬が使用される事が多い。有名な拳銃にルガーP08、ワルサーP38、FNブローニングハイパワー、S&W M39/59、H&K P7、スタームルガーP85/95、ベレッタ92FS/93R、グロック17/18C/19/26、SIG P226、H&K USP、ワルサーP99、MP-443/446、S&W M&P、スタームルガーSR-9など、枚挙に暇がない。短機関銃での使用は、『シュマイザー』ことMP40、ステンMKII、UZI、スターリングSMG、MAT-49、カールグスタフ m/45、S&W M76、ベレッタM12、ワルサーMPL/MPK、H&K MP5、ステアーTMP/B&T MP9など多数。またコルト・コマンドーやステアーAUG、タボールX95などのアサルトライフルでは9mm仕様のバリアントが提供されていることもある。
・10x25mmオート、.40S&W、.357SIG ……9mmパラベラム弾の威力不足が叫ばれた時代に、より大口径または高初速の弾薬が求められ開発された弾薬。10mmオート弾の全長は長く、結局.45ACPを使用する拳銃クラスの大きさを必要としたため、9mm弾用拳銃が広く普及している情勢において、10mmオートは中途半端とされ普及しがたかった(結局.45ACPクラスの大きさの拳銃になるなら、わざわざ高価で、口径の小さい弾薬を使用する必要はないという判断)。そのため.40S&Wは9mm拳銃の銃身などを交換して使用できるよう、全長を短くする形で開発された。.357SIGはその.40S&Wを更にボトルネック化し、リボルバー用の.357マグナム弾と同等の威力を持たせる意味で作られた(一般に装薬量が同じなら、口径の小さい=弾頭が軽いほうが初速は高まり貫通力が増す)。ちなみにこの経緯から、10mmオートの銃では全長の短い.40S&Wをそのまま使うことができる(ようだ)。10mmオートはM1911系など.45ACPクラスの拳銃のバリアントとして、.40S&Wと.357SIGは9mmクラスの拳銃のバリアントとして提供されることが多い。.40S&Wは一時期、警察機関での採用が多かった印象。
・.45ACP ……米軍採用のコルトM1911の弾薬。米軍は19世紀末フィリピンでモロ族と対峙した際に、当時の9mm口径リボルバーを全弾発射したが薬物で麻痺した現地住民はそれでも攻撃をやめず、米兵たちに9mmの非力さを実感させた(命中しなかっただけとも言われるが)。そのトラウマがあり、西部開拓時代に採用されていた.45口径のリボルバー(コルトSAA)を引っ張り出し、その.45LC(ロングコルト)弾を自動拳銃用に設計し直したものが、.45ACPという弾薬である。アメリカで長らく使用されていることもあり、9mm弾より「マン・ストッピング・パワー」(銃弾のエネルギーを充分に伝え、突進する人間を止める力)に優れるという信仰がある。それは定かではないが9mmパラベラム弾よりも重い弾頭を持つことは確かで、9mmパラベラム弾の高初速・軽量弾頭と.45ACP弾の低初速・重量弾頭は計算するとほとんど同じではある(威力=重量×速度)。ただし音速以下の初速であることからソニック・ブームが発生せず、サプレッサー(消音器、抑声器)との相性はよい。H&K Mk23、USPの.45口径バリアント、H&K UMPの.45口径バリアント、KRISSヴェクター短機関銃など米軍採用を見越し、近年開発された銃も多い。古くはコルトM1911、コルト/S&W M1917リボルバー、トンプソン短機関銃、M3グリースガン短機関銃、イングラムMAC10など。
・5.7x28mm、4.6x30mm ……FN社、H&K社が開発したPDW(個人防衛火器)弾。軽い弾頭をボトルネックの薬莢から高初速で射出することによって、防弾衣への貫通性能を高めている。もともとは冷戦期に後方人員(非戦闘員)が拳銃弾を使用するピストルやサブマシンガンしか装備していなかった事を危惧した西側諸国が、空挺降下し後方を直接攻撃するような戦術に対抗できるよう、ライフル並みの射程と貫通能力を持たせる意図で開発された。実際にはそのような事態は起こらず冷戦は終結したが、その後は弾薬の特性を買われ特殊用途の銃・弾薬として一部普及した。代表的な銃にFN P90およびFN Five-seveN、H&K MP7。他社製の銃はFort-28、スタームルガー57、AR-57など数は少ない。
・5.8x21mm DAP92 ……92式手槍(QSZ-92)、06式微声手槍(QSW-06)、および05式微声冲鋒槍(QCW-05)、05式軽型衝鋒槍(QCQ-05)で使用される中国人民解放軍のピストル弾薬であり、西側のPDW弾に相当する性能の弾薬。
・.38スペシャル、.357マグナム …….38スペシャルは一般的なリボルバー用弾薬。.357マグナムはその装薬量を増やすため薬莢長の伸ばされた弾薬(正確には、.357マグナム弾によって.38スペシャル専用の銃を破壊してしまわないよう装填できないようにしている)。このため.357マグナムを使用するリボルバーは基本的に.38スペシャル弾を使用することが出来る。代表的なものとしてS&W M19、S&W M586、コルト・パイソン、スタームルガー・ブラックホーク、スタームルガー GP-100、マーリンM1894Cレバーアクションライフルなど。
・.44マグナム ……ダーティハリーいわく『世界最強の拳銃』。少なくとも71年当時民間で販売されている弾薬に限ってはそうだった。.357マグナムと.38スペシャルの関係性のように、.44スペシャルという弾薬も存在する。エルク(鹿)のサイズほどの狩りにも使用でき、狩猟時のサイドアームとして使われる場合がある。代表的な銃にS&W M29、コルト・アナコンダ、スタームルガー・レッドホーク、マーリンM1894レバーアクションライフルなど。
・.50AE、.454カスール、.500 S&Wマグナム…….50AEは.357マグナムや.44マグナムを使用するデザートイーグルの口径バリアントとして開発された。.454カスールは59年にコルトSAAなどに使われる.45LC弾を基に開発されたワイルドキャット・カートリッジ(ガンスミスが改造し、特定の性能に特化させたカスタム弾薬。多くの場合量産・市販されていない)であり、規格外の弾薬であった。.500 S&Wマグナムはそれらを超えるよう威力に特化して造られた弾薬であり、使用する銃にS&W M500、タウルス・レイジングブルなどがある。
【ライフル弾薬】
・5.56x45mm NATO(.223) ……米軍のM16ライフルを始めとするNATO加盟国で標準となっている弾薬。M16ライフルの弾倉自体も、STANAGマガジンとして標準化しており各国の小銃はM16ライフルの弾倉をそのまま、あるいはアダプターを介して使用することが出来るようになっている。コルトM16、スタームルガーMini 14(AC-556)、ステアーAUG、H&K G36、SA80、IMIガリル、タボールAR21など。軽機関銃(分隊支援火器)としてFN ミニミやストーナー63、CIS ウルティマックス100など。近年はロシア製のAKシリーズもAK-102など、この口径のバリアントを販売している。
・7.62x51mm NATO(.308) ……第二次大戦の米軍で使われていた7.62x63mm(.30-06)を短縮する形で作られたフルサイズ弾薬。砂漠地帯の戦闘で5.56mm弾の射程・威力不足が問題となった際(実際は照準器を搭載していない銃での射撃において命中していないだけだったが)、その射程・威力の高さが見直され復権している。狙撃銃や汎用機関銃でも使用される。代表的な小銃にH&K G3、FN FAL、スプリングフィールドM14、FN SCAR-H。汎用機関銃にサコーM60、H&K HK21、FN MAG、ラインメタルMG3など。狙撃銃としてはレミントンM700、ウィンチェスターM70、スプリングフィールドM21、H&K PSG-1、ステアー・スカウト、アキュラシー・インターナショナル L96A1など。武装ヘリなどに搭載されるM134ミニガンなどもこの弾薬を使用する。
・.30カービン弾 ……第二次大戦時の米軍において、小銃では重たすぎるが短機関銃や拳銃では心許ない後方人員や将校向けに、M1カービン銃と共に開発・採用された。上記のPDW弾の走りとも言える。現在ではリボルバー拳銃、レバーアクション小銃、一部の自動小銃でも採用されている。代表的な銃にウィンチェスターM1/M2カービン、IMI マガル、スタームルガー・ブラックホークなど。
・7.62x39mm(M43) ……AK-47で使用される弾薬。元々はSKSカービン用に作られた。トカレフ用の弾薬である7.62x25mmと同様に材料費の節約のため鉄芯が使用されており、結果的に貫徹力が高まっている。突撃銃にSKSカービン、AK-47、AKM、軽機関銃・汎用機関銃にRPD、RPKなど。
・5.45x39mm(M74) ……AK-74で使用される小口径高速弾。NATOの5.56mm弾に対抗する目的で開発された。鋼の芯に加え弾丸内に空洞を設けることで人体などのソフト・ターゲットへの着弾時に弾頭が横転する仕組みになっており、その殺傷力の高さから『毒の弾(ポイズン・ブレット)』とも呼ばれる。上記の5.56mmNATO弾SS109などもこれと同じような構造を持っている。AK-47と7.62x39mm弾に比べて、第三世界での普及度は低い(弾薬の製造ラインが共有できないため)。
・7.62x54mmR ……ソ連・ロシアが19世紀末から使用しているフルサイズライフル弾薬。自動式に向かないリムド弾薬ではあるが長く使用されている。モシンナガンM1891/30ボルトアクション小銃やDP28軽機関銃、トカレフSVT-40半自動小銃、ドラグノフSVD狙撃銃、PKM汎用機関銃など。
・7.92x57mm(8mmマウザー) ……ドイツが19世紀末から使用するフルサイズ弾薬。モーゼル小銃やZB26軽機関銃が各国でベストセラーとなったため、今でも使用されている。モーゼルKar98K小銃、ZB26軽機関銃、ワルサーGew43半自動小銃、FG42軽機関銃、MG42汎用機関銃などドイツ軍の銃器が多いが、戦後のユーゴスラビア製ツァスタバM76狙撃銃、エジプト製ハキム・ライフルなども存在する。
・7.92x33mm(8mmクルツ) ……ナチス時代のドイツが世界初のアサルトライフル弾薬として開発した短小弾。MKb42、MKb43およびMP43、StG44など一連のStG44シリーズで使用される。戦後はソ連の7.62x39mm弾に影響を与え、各国でもテスト弾薬として使われたが新規の小銃は(試作品を除いて)ほとんど開発されていない。ただし余剰品などが一部紛争地域で未だに使われている写真もある。
・5.8x42mm ……95式自動歩槍(QBZ-95)、03式自動歩槍(QBZ-03)、88式通用機槍(QJY-88)、95式班用機槍(QBB-95 LSW)、88式狙撃歩槍(QBU-88)等で使用される中国人民解放軍の標準ライフル弾薬。
・7.5x54mm MAS ……フランスのMAS 38ボルトアクション小銃、MAS 49自動小銃やAA-52 汎用機関銃に使用されるライフル弾。NATOが標準弾薬を5.56mm弾に定め、フランスも主力小銃をFA-MAS突撃銃に選定したことから旧式になったが、FR F1狙撃銃でも使用されている。
・9x39mm ……音速を超えない低初速・長射程の消音狙撃用弾薬としてロシアが開発した。重い弾頭を撃ち出すことで初速を抑えている。ヴィントレスVSS、AS Val、SR-3、9A-91など。
・7.62x35mm(.300 AAC BLK) ……ロシアの9x39mmと同様に重い弾頭によって初速を抑え消音効果を高めた弾薬。AAC ハニーバジャーと共に開発された。
・6.8x43mm SPC ……5.56mmの威力と射程が問題視された時期に、5.56mmNATO弾と7.62mmNATO弾の中間の性能を目指して作られた弾薬。STANAG弾倉をそのまま使える、銃身などの交換だけで換装できるなど配慮されていたが、普及しなかった。
・.338 ラプア・マグナム(8.6x70mm) ……7.62mmNATO弾よりも高威力・長射程を目的として開発されたマグナム・ライフル弾。
・6.5mmクリードモア ……7.62mmNATO弾よりも有効射程が長く高精度の狙撃用弾薬。
・12.7x99mm NATO(.50 BMG) ……重機関銃や対物ライフルに使用される大口径弾。M2ブローニング重機関銃、バレットM82A1対物ライフルなどで使用される。警察・特殊部隊用途としては、旅客機の防風ガラス越しに狙撃するような状況での運用などが想定されている。
・12.7x108mm ……東側諸国における.50BMGと同等の弾薬。DShK重機関銃、NSV重機関銃など。
【散弾】
・バードショット弾 ……小粒の弾を多数(数十個~数百以上)発射する。
・バックショット弾 ……6mm~9mm程度の弾丸を6~9個程度発射する。軍用では12ゲージ口径のダブルオーバック(00B、8.4mm弾を9粒)などがよく使用される。
・スラグ弾 ……一粒弾。口径が大きいため遠距離では威力が落ちる。蝶番などを撃ち抜いてドアを破る用途にも使われるため『マスターキー』とも呼ばれる(アサルトライフルの銃身下部に装着する散弾銃のことも、俗に『マスターキー』と呼ぶ。レミントンM870、M26 MASSなど)。
・フラグ弾 ……フルオート式散弾銃AA-12と共に開発された12ゲージ口径榴弾。FRAG-12とも。
【グレネード弾】
・40x46mmグレネード ……低腔圧で射出するグレネード。HE(高性能炸薬弾)、HEDP(多目的榴弾)などがある。対人や対軽装甲目的で使用される。代表的なものにコルトM79、H&K HK69、B&T GL-06、アンダーバレルグレネードランチャーとして(小銃の銃身下部に装着するもの)コルトM203、H&K M320、FN40GLなど。南アフリカのダネルMGLは六連装リボルビング弾倉を備える連発式である。
・40mmケースレス擲弾 ……ソ連・ロシア製のGP-25/GP-30などで使用される擲弾。
・22mmライフルグレネード ……NATOで標準化されている小銃擲弾。銃口に被せて擲弾を射出する。低腔圧の40mmグレネードより初速・対装甲性能において優る。
・25x40mmエアバーストグレネード ……かつて米軍で試験運用されていたXM25 IAWSグレネードランチャーで使用されていた空中炸裂弾。レーザーレンジファインダーで対象との距離を測定、グレネード弾自体に起爆位置を入力する。発射された擲弾は空中で炸裂しより広範囲に被害をもたらす。実戦での評価は高かったが、暴発事故により開発中止になった。