紅茶製品の原料となる茶葉をスリランカから輸入し、歴史的にも長く深い関係を築いてきた。土壌や水源、生物多様性と人々の暮らしの調査を現地で実施し、サプライチェーンの課題解決に取り組む。
キリングループとスリランカとの関係は長く深い。1986年に発売した飲料製品「キリン 午後の紅茶」はスリランカ産紅茶葉を中心に使ってきた。現在、日本が輸入する紅茶葉の約4割がスリランカ産で、そのうち約2割が「午後の紅茶」に使われている。キリングループはスリランカと日本をつなぐ紅茶サプライチェーンにおいて極めて大きな存在だ。
紅茶葉は18〜25℃程度が生育に望ましく、気温上昇は芽の生育サイクルを乱して収量・品質が落ちることがある。平均気温が1℃上がると生産が減る可能性があり、干ばつや豪雨で土壌の水分量が変動すれば生育ストレスになる。
地球温暖化による気候変動で洪水や暴風が頻発して紅茶農園やインフラが破損する事態も起きている。2025年の大型サイクロンでは、紅茶葉など主要作物の被害が報じられた。スリランカは22年以降、外貨不足による深刻な債務危機と物価高騰に見舞われて破綻状態に陥り、国際通貨基金(IMF)の支援下で財政・ガバナンス改革と債務再編を進めている。災害が重なれば復興財源がさらに逼迫して、貧困が深まりかねない状況だ。
キリンホールディングスCSV戦略部の美鳥佳介氏は「原料の紅茶葉の持続可能性が揺らげば事業にも影響が出かねない。安定的に紅茶葉を調達し続けるには、現地の農園の持続可能性が重要だ」と話す。
紅茶農園の認証取得を支援
キリングループは13年から、紅茶農園がレインフォレスト・アライアンス(RA)認証を取得するための支援を始めた。RA認証は森林保護や生物多様性の保全、農園労働者の人権向上など、自然と作り手を守る農法に取り組む農園を認証するものだ。

21年からはスリランカ産茶葉を100%使用し、そのうちRA認証茶葉を90%以上使用した「キリン 午後の紅茶 ストレートティー 250ml紙(LLスリム)」も販売している。販売規模は小さいが、RA認証の取得推進を象徴する商品だ。
22年に発行した「キリングループ 環境報告書」では、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が提唱するLEAPアプローチに基づき、スリランカの紅茶農園を含む自然資本の開示を世界で初めて試行した。
LEAPアプローチは企業が事業活動を通じて自然資本への依存度やどの程度の影響を与えているかを把握し、リスク管理と開示に取り組むプロセスだ。Locate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存関係やインパクトの診断)、Assess(リスクと機会の評価)、Prepare(報告の準備)というステップを踏む。







