JERAとの共同出資で「MUJI ENERGY(ムジエナジー)」を設立、2025年から発電事業に参入した。地域環境に配慮した小規模の太陽光発電所を設立し、年間12MWの再生可能エネルギー創出を目指す。

 良品計画が展開する「無印良品」は、1980年に西友ストアー(現 西友)のプライベートブランドとして誕生。良品計画は89年、西友の無印良品事業部から独立して設立され、SDGsやESGという言葉が一般的ではなかった時代から、環境に配慮した事業を展開してきた。事業を拡大し海外展開も進める中で、2021年には中期経営計画において「ESG経営のトップランナーになる」ことを明言した。

 広報・ESG推進部部長で再生可能エネルギー開発事業部部長の阿南理恵氏は「ESG経営のトップランナーになるためにどんな取り組みをすべきか具体化する中で、一丁目一番地はやはりCO2排出量削減だという結論に至った」と語る。

 まずCO2の排出量を正しく算定して可視化し、削減するための手段を話し合った。非化石証書やカーボンクレジット購入の案が出たが、「大量消費社会へのアンチテーゼとして立ち上がった会社が、こうした手法を採用していいのか」との議論が巻き起こる。ならば自社で電力を生み出すしかないと考え、無印良品の単独店舗の屋根に太陽光発電パネルを設置し、再生可能エネルギーへの切り替えを進めた。しかし、無印良品の店舗の約8割は商業ビルなどの中に入るテナント店舗であり、再生可能エネルギーの導入は思うように進められなかった。また、堂前宣夫社長(当時)からは「うわべの数字を求めるのではなく、本質的に取り組んでほしい」という強い意志が伝えられてもいた。

発電子会社を設立

 阿南氏が率いるプロジェクトチームは、再エネ発電所から環境価値だけを購入する「バーチャルPPA(電力購入契約)」のスキームに注目した。しかし、太陽光発電設備による景観や騒音、自然破壊などの問題が一部で取り沙汰されていることから「設置する場所の選定から発電まで一貫して責任を持つべきでは」と立ち止まった。

 とはいえ、発電事業者に委託しながら全てに責任を負うことは難しい。同社にとって発電事業は未知の領域だったが、自社で展開するしかないと考えた。そこで協力会社を探すことにしたが、異業種からの参入には懐疑的なところが多く、面会に至らないこともあった。そんな中、良品計画の熱意とビジョンに共感したのがJERAグループだ。

 25年9月に良品計画80%、JE­RA20%の共同出資で発電事業会社MUJI ENERGYを設立した。ムジエナジーが太陽光発電によって創出した電力は、JERAの子会社であるJERA Crossを通じて販売し、環境価値は良品計画が全量を取得する。発電と環境価値の購入のいずれにも良品計画が責任を持つ。再生可能エネルギー開発事業部課長の長山奨尉氏は「上場企業では国内初のケース。再生可能エネルギーの創出と環境価値獲得を自社グループ内で完結させることは大きな決断だった」と話す。

■ 発電子会社「ムジエナジー」のスキーム
■ 発電子会社「ムジエナジー」のスキーム
JERAとの共同出資で2025年9月に設立した。再生可能エネルギーの創出と環境価値獲得をグループ内で完結している(出所:良品計画)
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