間野裕一社長

新生「ロジスネクスト」 間野裕一社長に聞く

源流4社の強み生かし、物流の課題解決
2035年の「あるべき姿」めざす

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総合物流機器メーカーの三菱ロジスネクストは4月30日、「Logisnext(ロジスネクスト)」へ社名変更した。人手不足や労働環境の改善、脱炭素化など、物流業界を取り巻く環境が大きく変化する中、同社は事業を通じた社会課題の解決と成長をめざす。異なる強みを持つ4社を源流とする新生「ロジスネクスト」のめざす未来と、その実現に向けた戦略などを間野裕一社長に聞いた。

技術と製品ラインアップ、事業エリアを補完し合う理想形

―― ロジスネクストの成り立ちと、源流4社の強みを教えてください。

間野:ロジスネクストの源流は、日本輸送機、三菱重工業フォークリフト部門、TCM、日産フォークリフトという日本のフォークリフトメーカー4社です。これらが段階的な統合を経て2017年に経営統合した三菱ロジスネクストから、今回新生ロジスネクストとして新たな一歩を踏み出しました。源流4社は、技術や製品ラインアップ、国内外の事業エリアでそれぞれ強みを持ち、互いを補完し合う理想的な形で一つの会社になりました。

ロジスネクストのヒストリー

―― 新社名「ロジスネクスト」にはどのような思いが込められていますか。

間野:「ロジスネクスト」は「ロジスティクス(物流)」と「ネクスト(未来)」を組み合わせた造語です。2つの間にある「S」は「∫=インテグラル」で、物流現場の課題解決と新たな価値創造を一体化させることを意味し、社会課題の解決に貢献していくという強い決意を表しています。

「安心・安全」「自動化・自律化」「脱炭素」の3本柱で展開

―― 「長期経営ビジョン2035」で示した2035年の未来像を教えてください。

間野:「長期経営ビジョン2035」は、次世代の経営メンバーが中心となり、2035年のあるべき姿を描いたものです。「安心・安全」「自動化・自律化」「脱炭素」の3つの柱を掲げており、この方向性は揺るぎません。具体的には、「安心・安全」ではオペレーターの危険予知や作業支援を行う先進安全技術など、「自動化・自律化」では無人化機器だけではなくAI(人工知能)やデータを活用した倉庫全体の最適化など、「脱炭素」では製品の電動化だけでなく、生産から廃棄までのライフサイクル全体での環境負荷低減を目指します。

―― どのような導入事例がありますか。

間野:例えば鴻池運輸様とは、トラックへの荷積み作業を自動化するAGF(無人フォークリフト)導入の実証実験を終え、2024年3月から本格稼働しています。最新センサーで荷物やトラック荷台の位置を正確に認識し、人が運転するのと同等の精度で作業を完了できる画期的なシステムです。これまで自動化が困難だった荷積み工程を無人化するので、夜間や空調のない暑い場所でも作業できます。人手不足の解消、作業効率の向上、労働環境の改善、脱炭素化という「一石四鳥」のソリューションだと自負しています。

左)荷積み作業を自動化する無人フォークリフト@鴻池運輸、右)マイナス25℃でも稼働。冷凍冷蔵倉庫型自動運転フォークリフト@ニチレイロジグループ本社
左)荷積み作業を自動化する無人フォークリフト@鴻池運輸、右)マイナス25℃でも稼働。冷凍冷蔵倉庫型自動運転フォークリフト@ニチレイロジグループ本社

ニチレイロジグループ本社様には、マイナス25℃の環境でも稼働する冷凍冷蔵倉庫型自動運転フォークリフトを導入いただきました。結露などセンサーの動きを阻害する要素が多く自動化が難しいとされた冷凍倉庫での課題を克服した技術は、海外からも多くの引き合いをいただいています。

電気車比率90%へ、トータルソリューションで世界競争に挑む

―― 2035年までにバッテリー車(電気車)の比率を90%に高める目標を掲げています。グローバルな競争環境について教えてください。

間野:現在の比率は約6割で道半ばです。しかし、リチウムイオン電池の登場による急速充電の実現やパワーの向上により、これまでエンジン車が使われていた現場でも電気車への置き換えが進んでいます。欧州や中国では電動化が急速に進んでおり、特に中国メーカーのリーズナブルな電気車が市場に流入し、競争は激化しています。

左)リーチ型バッテリーフォークリフト「プラッター」。右)アフターサービス用トラブルシューティングシステム「L-SAS」
左)リーチ型バッテリーフォークリフト「プラッター」。右)アフターサービス用トラブルシューティングシステム「L-SAS」

我々の強みは単に製品を売るのではなく、アフターサービスを含めたトータルソリューションを提供できる点です。例えば、車両の稼働データを分析した最適な運用、充電インフラの整備、エネルギーマネジメントまで含めた提案が可能です。国内では9割が直販、海外でも地域ごとに販売拠点を設けお客様との関係を深めています。自社技術だけでなくスタートアップとも協業しながら最適なソリューションをタイムリーに提供できるのは、お客様の課題をよく知る我々だからこそできることです。

世界4極体制と人材育成で「真のグローバル経営体制」構築

―― 「真のグローバル経営体制」構築を掲げています。どのように推進していきますか。

間野:海外売上高が7割を占める実態に合わせ、日本中心だった組織を、「日本」「米州」「欧州」「アジアパシフィック」の4極に分けました。各地域をフェアな目線で捉え成長戦略を描いていきます。同時に地域ごとの縦割りになり過ぎないよう本社に地域横断的なグローバル機能を設け、横串を通しシナジーを生み出すマトリックス型の組織に改編しました。海外企業のM&A(合併・買収)も有効で、例えば2008年に買収したフィンランドのRoclaは優れた自動化技術やインダストリアルデザインの力を持っており、「レーザー誘導方式」のAGFを日本に導入したのも彼らです。互いの強みを持ち寄り、高め合っていく関係が理想です。

世界4極体制

「真のグローバル経営体制」構築には、国籍や性別、経歴に関わらず、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境も不可欠です。地域や部門を越えた人材交流を活発化させ、グローバルな視点を持つリーダーを育成するプログラムにも力を入れています。さまざまな国や地域に根差す多様な価値観を尊重し、オープンな議論ができる風土を醸成することが、イノベーションの源泉になると考えています。挑戦意欲のある人材には、世界を舞台に活躍できるチャンスが数多くある会社です。これから社会に出る学生の皆さんにも、働きがいのある会社であることを知ってもらいたいですね。

多様な文化と個性を結集し、1兆円企業をめざす

―― 最後に、ロジスネクストの強みと今後の展望をお聞かせください。

間野:当社の最大の強みは、多種多様なバックグラウンドや技能、視点、価値観を持った人材の多様性です。同じ目標に向かってそれぞれの強みを持ち寄れば、もっともっと成長でき、「長期経営ビジョン2035」で示した売上高1兆円も実現できると信じています。

間野裕一
間野裕一(まの ゆういち)1986年一橋大社会卒、三菱重工業入社。国内外でフォークリフト事業に携わる。2013年ニチユ三菱フォークリフト取締役上席執行役員、22年同社長。26年4月社名変更とともにロジスネクスト社長に。東京都出身

社名は変わりますが、我々がめざす方向は変わりません。「安心・安全」「自動化・自律化」「脱炭素」という3つの柱を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な物流の未来を創造していきます。「三菱フォークリフト」ブランドは大きな財産でしたが、我々には多様な企業の集合体として成長してきた企業価値があります。これからは「ロジスネクスト」を前面に掲げ、ビジネスパートナーの皆さんとともに成長していく決意です。新生ロジスネクストにご期待ください。