



榎戸3月28日に高輪ゲートウェイシティがグランドオープンを迎え、品川駅周辺では新たな都市の姿が見え始めています。このまちづくりにおけるUR都市機構の役割について教えてください。
石黒UR都市機構は、行政が策定する都市の計画と、それを実現する民間企業の間に立ち、公正・公平な立場で全体最適のまちづくりを総合的にプロデュースしています。品川駅周辺には、国際競争力の強化や地域課題の解決に向けた都市インフラの更新という重要なテーマがあります。
そのため、道路やガス、水道などのインフラ更新に加え、歴史あるまちの記憶を継承するため、遺構や文化財の保存・活用にも取り組んでいます。長期的にエリアへ関与し、戦略的なまちづくりを進めている点が特徴です。
品川駅周辺エリアでは「品川駅北周辺地区」「品川駅街区地区」「品川駅西口」の3つの土地区画整理事業を施行し、宅地や道路、歩行者ネットワーク、公園などの公共空間を整備しています。
榎戸歴史的な遺産も多く残されているのですね。あらためて当エリアの魅力について教えてください。
石黒品川は江戸時代においては東海道の江戸の玄関口として栄え、明治時代には日本初の鉄道開業駅が設置されるなど、旧来より多くの人が行き交う交通の要衝です。2003年の新幹線駅の開業や羽田空港の国際化を経て、今後はリニア中央新幹線の始発駅となる予定で、国際交流拠点としての進化が期待されています。
また、このエリアには寺院や皇族ゆかりの邸宅が残り、武蔵野台地の起伏が生み出す豊かな自然も魅力です。UR都市機構はこうした資源を生かしたまちづくりを進めています。






榎戸まちがこれまで抱えていた課題について教えてください。
小川最大の課題は車両基地や線路、国道15号などによる東西エリアの分断でした。そのため、ホテルなどの目的地と駅を往復するだけで、まち全体を回遊しにくい構造になっていました。車両基地の移転を契機に、UR都市機構は新たな道路整備などを進め、回遊性の高いまちへと進化させています。
具体的には、東西をつなぐ新設道路の整備や、高輪ゲートウェイ駅前交通広場のへのアクセスの確保、周辺の歩行動線の改善などを進めています。道路整備は人々の暮らしやまちの機能を止めずに行う必要があり、UR都市機構は事業者間の要望やスケジュールを調整しながら工事を進めています。
榎戸インフラ更新について、UR都市機構が担当する3つのエリアはどのように進化していくのでしょうか。
石黒「北周辺地区」では、高輪ゲートウェイ駅を核に、東西をつなぐ幹線道路や街区公園、品川駅の新たな北口改札前の駅前広場などの整備を進めています。特徴的なのは、鉄道上に人工地盤を設けて広場を創出する点で、交通結節点としての機能強化を図ります。
「駅街区地区」では多様な土地を集約・再編する手法を活用しながら、既存の京急線を2階から1階に下ろす連続立体交差事業が進行中で、その2階部分には東西市街地を結ぶ歩行者通路を整備しています。
「西口」地区では、宿泊施設が集積するエリアの国際交流拠点として必要な機能の更新が求められています。高輪森の公園の拡張や、宿泊施設の段階的な建て替えを支える道路整備を進め、都市活動を止めずに工事を行うという長期的な挑戦が続いています。
これら複数のスピード感の異なる民間開発を調整するには高度な調整力が必要です。UR都市機構は全国で培った経験を基に、異なる開発意向を調整し、合意形成を図っています。
榎戸様々な開発を進める上でどんな点が困難でしたか。
相樂道路空間の整備では、道路管理者の承諾範囲内で民間企業の提案を反映する必要があります。景観と一体化した道路デザインを採用するため、10社以上が関わる調整もありましたが、「まちびらき」に向けて協力し合い、開発を進めることができました。
榎戸多様な関係者が同じ方向に進むための工夫はありますか。
相樂民間と行政では意向が異なることも多いため、建築工事や道路工事との兼ね合いを丁寧に調整し、全体最適の工程を作成することが重要です。鉄道を止められないため夜間作業をお願いすることもありますが、「一体感ある新たなまちをつくる」という思いを共有し、強固な協力体制で工事を進めています。
榎戸まちが抱えていた課題を解決するための施策について教えてください。
小川東西動線の確保が大きな課題でした。唯一の通路だった「お化けトンネル」は天井が低く、車両も大型車は通れない狭さでした。幹線下水道の移設で不要となった暗渠(あんきょ)が近くにあったため、これを暫定通路として活用し、工事中も生活動線を確保できました。新たに整備する「第二東西連絡道路」は天井高や歩道幅を十分に確保し、車両も双方向通行が可能になります。


榎戸リニア開通後の発展も期待されます。UR都市機構はどのような使命感でまちづくりを進めているのでしょうか。
石黒UR都市機構の使命は、暮らしや働く場所、まちを利用する人々のビジョンを統合し、形にしていくことです。公民連携の中で調整課題が生じた際には、全体最適の観点から合意点を探り、関係者の方向性をそろえる役割を担っています。
中立・公正な立場から広域的・長期的な視点を持ち、民間企業の開発意向も踏まえた提案を行い、その実現を支援しています。すべての事業が完成するまで30年ほどを要しますが、ここにしかない都市機能や景観を創り出し、多様な活動や新たな価値を生み出すまちの発展に寄与したいと考えています。関係者の思いを一つにまとめ、形にしていくプロデューサーとして、今後も社会課題に挑み続けていきます。