
日本マイクロソフト株式会社
代表取締役社長
津坂 美樹氏
ハーバード大学卒業後、ボストン・コンサルティング・グループへ入社。シニアパートナー&マネージングダイレクターとして東京(約10年)およびニューヨーク(約25年)に勤務し、エグゼクティブ・コミッティ(経営会議)メンバー、CMOを務める。2023年2月から現職。

日本オラクル株式会社
取締役 執行役 社長
三澤 智光氏
1995年、日本オラクルに入社。専務執行役員テクノロジー製品事業統括本部長、副社長執行役員データベース事業統括、執行役副社長クラウド・テクノロジー事業統括などを歴任。2016年、日本IBMに移籍。2020年12月に日本オラクル執行役社長に就任。21年8月より取締役を兼務。
「AIファースト」で最適な環境を
整えることが経営者の責務

生成AIが社会に大きなインパクトを与えています。これまで培ってきた強みをAI時代の競争力に変えるために、企業は今、AIとどう向き合うべきでしょうか。
津坂「生成AI元年」と私たちが呼んでいる2023年からわずか数年で、マルチモーダルAI、AIエージェント、フィジカルAIなど新しいテクノロジーが次々生まれています。業務にAIを取り込んで労働生産性を上げれば、慢性的な人手不足への対策になります。AIがあって当たり前の時代、テクノロジーの進化の波をキャッチアップすることは必須であり、それが日本企業の成長のアクセラレーターになると思います。
三澤AIに文章を要約してもらったり、壁打ちや相談の相手になってもらったりすることは既に多くの人がやっていると思います。一方、今後は業務プロセスを自律的に駆動するAIエージェントが主流になるでしょう。「AIエージェントが複数の基幹システムのデータを直接更新し、決算報告などを自動で作成する」といったことが一般的に行われるようになり、人の仕事は確認・承認がメインになっていくはずです。
当社では、文章の要約や質問、相談といった使い方を「情報系AI」、より本格的にAIが業務に入り込む使い方を「基幹系AI」と呼んでいます。情報系AIから基幹系AIへステップアップする際には、組織内の重要データをAIで扱うことが必要になります。ガバナンス、アクセス管理、セキュリティーを意識した環境を構築することが不可欠です。

使い方が進化するにつれて、AIを支えるシステムの要件も変わるのですね。この状況を踏まえて、経営者にはどのようなことが求められるのでしょうか。
津坂AI時代に企業競争力を高めるためには、経営者自身のマインドチェンジが必要です。既存の業務にAIを足すのではなく、AIありきで考える「AIファースト」の認識を強く持ち、システムやプロセスの見直しも含めて、ガバナンスや安全性の強化に取り組むことが肝心だと思います。こうした考え方のもと、マイクロソフトでは、業務を自律的に支援するAIエージェントを、セキュリティーとガバナンスを前提に活用するための新しい取り組みとして、「Microsoft Agent 365」の提供も今後予定しています。
三澤そもそも日本企業がAI活用を加速するためには、IT投資の構造を見直すことが必要で、この意思決定を行えるのは経営者のみです。
現在は日本企業の多くが、複雑化した基幹系システムの運用に多くのIT予算を割り当てています。この基幹系システムをクラウド化すれば、標準化・内製化・自動化によって、人件費、運用コストなどを大幅に抑制できます。これによりAI投資の原資をつくり、取り組みを加速することができるはずです。
津坂また、システムを見直す際には「データ」の整備を意識することも必要です。データが組織内に分散している状態では、AIが本来の価値を発揮できません。データを集約し、加工してAIが使いやすい形で保持することが非常に重要です。なお、データの加工はAIが得意とするところなので、そこでAIを活用することも有効だと思います。
三澤その意味で、現在は「SoR(System of record:記録するシステム)」の重要性に再び注目が集まっている時代だといえます。SoRの中核を担うのがデータベースであり、オラクルはそこで大きな役目を果たします。コンテキスト(文脈)と信頼性を備えたデータを蓄積し、適切なアクセス管理のもとで安全に利活用する。そのための環境を、マイクロソフトと共に提案したいと考えています。
両社の強みをクラウド上で融合した
「Oracle AI Database@Azure」
2024年からグローバルで提供している「Oracle AI Database@Azure」は、まさにそのような両社の価値を具現化したサービスです(図1、2)。概要や強みを教えてください。
図1 Oracle AI Database@Azureの概要

長年オンプレミスで稼働・運用してきたOracle AI DatabaseをMicrosoft Azure内で稼働できる。組織の重要データを多様なクラウドアプリケーションで活用できるようになるだろう
図2 「Oracle AI Database@Azure」の画面イメージ

「Oracle AI Database@Azure」の利用画面
三澤マイクロソフトの優れた開発環境とオラクルのデータベースで基幹系システムを構築・運用してきたお客様にとって、これまでクラウド移行の選択肢はあまり多くありませんでした。それが、Oracle AI Database@Azureの提供開始以降は、既存のデータベースをそのままAzure上に移行できるようになり、戦略の自由度を高められるようになりました。この点が最大の価値だと思います。
津坂データ領域におけるオラクルのプレゼンスは圧倒的です。また、マイクロソフトもデータの加工や分析を担う統合基盤「Microsoft Fabric」を提供することで、お客様のデータやAIの活用を強力に支えています。両社が組むことで、三澤さんがおっしゃる基幹系AIの実装をさらに加速できると考えています(図3)。
図3 マイクロソフトとオラクルの強みを融合

Microsoft Azureの多彩なアプリケーションやサービスとOracle AI Databaseが低遅延かつシームレスに接続されることで、多様なビジネス価値を生み出す
両社の連携により、Microsoft Copilot の提供価値も大きく高まったのではないですか。
津坂もちろんです。マイクロソフトのプラットフォームではGPT、Claudeなどの1万1000以上のAIモデルを利用可能で、Microsoft Copilot はそのインターフェースとなります。Oracle AI Database内の重要データを容易に扱えるようになったことで、お客様が得られる価値はさらに増大しています。
ただ、改めてお伝えしたいのは、お客様の重要データをAIが勝手に学習することはありません。あくまでデータはお客様のものであり、安全・安心に使えることを最優先に考えています。
クラウドジャーニー、
そしてAIジャーニーを強力に支援する
今後、両社の連携で目指すことをお聞かせください。
三澤まず目指すべきは、現在オンプレミスでオラクルをご利用いただいているお客様のクラウドジャーニーを支援することだと私は考えています。その後、AIエージェントの利活用をはじめとしたAIジャーニーの支援に移行していくのがベストだと思います。そのための最適な方法を両社で考え、チャレンジしていきたいですね。
津坂まずはお客様あってのビジネスですから、市場のニーズをしっかり見つめながら両社の強みを生かす提案をしていきたいと思います。
また、マイクロソフト自身もAIに関わる様々な新サービスを随時リリースしています。2025年秋にはメール、ファイル、会議、チャットなどの業務データから組織の仕事の進め方を把握する「Work IQ」を発表しました。このような新しいサービスもどんどん導入しながら、オラクルとのコンビネーションの効果を一層拡大していければと思います。
最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。
三澤まずは両社のテクノロジー、サービスを長年ご利用いただいていることにお礼を申し上げたいと思います。Oracle AI Database@Azureの提供開始後は、マイクロソフトと共にお客様を支援する事例も増えています。今後も、AI時代のお客様ビジネスの進化を支えるための取り組みを続けていきたいと思います。
津坂マイクロソフトのコーポレートミッションは「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」です。お客様企業の成長を、コパイロット(副操縦士)となって支えるために、これからも様々な活動を継続していきます。
おかげ様で、日本国内においてマイクロソフトのプラットフォームは、日経225構成企業の94%(2026年3月現在)にご利用いただいています。より一層多くのお客様に価値をお届けする上で、オラクルの存在は非常に心強いものだと感じています。ぜひ、これからの2社の取り組みにご期待ください。

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マイクロソフト認定パートナー:https://www.microsoft.com/ja-jp/partner/




