資源・エネルギー エネルギー13の盲点

原油より天然ガスの高騰がドイツ製造業を圧迫 熊谷徹

ガソリンや軽油の価格が上昇し、家計や企業に影響が広がる。写真はドイツのガソリンスタンドの価格表示(筆者撮影)
ガソリンや軽油の価格が上昇し、家計や企業に影響が広がる。写真はドイツのガソリンスタンドの価格表示(筆者撮影)

 ドイツの中東原油への依存度は6%と低いが、それでもエネルギー価格の高騰に悩まされている。日本の危機ははるかに深刻にならないか。

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 パリに本部を持つ国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は3月20日、「イラン戦争は原油供給の歴史において、最大の危機を引き起こしている。早急な解決策はなく、今後世界のエネルギー市場と世界経済への影響は深刻化する」と警告した。ビロル氏は「多くの国の政治家が、危機の深刻さを理解していない」と不満を漏らした。

 ビロル氏は世界各国に対し、石油需要を減らす対策を始めるよう勧告した。具体的には、在宅勤務の強化、高速道路の制限速度を少なくとも時速10キロ引き下げること、公共交通機関の利用促進、カーシェアリングの強化、旅客機の使用を減らすことなどを求めた。

独はガソリン1リットル=405円

 もっともEU加盟国では、現時点で日常生活に大きな混乱は生じていない。筆者は36年前からドイツに住んでいるが、2020年のコロナ禍、22年のウクライナ戦争勃発時に比べると、社会は平穏だ。目に見える唯一の変化は自動車燃料価格の高騰だ。

 軽油は1リットル当たり、開戦前の2月27日の1.746ユーロ(約323円、1ユーロ=185円換算)から4月7日には2.447ユーロ(約453円)へと40.1%上昇し、過去最高値を記録した。ガソリン(バイオ燃料を最大10%混ぜた「スーパーE10」)も、同じ時期に23.1%増えて2.188ユーロ(約405円)となった。いずれも、国際的な原油市況の高騰の影響を受けている。

 政府は4月1日、給油所に対し、ガソリンや軽油の値上げを1日1回に限るという法律を施行した。だが価格が大幅に下がらないため、フリードリヒ・メルツ政権は、5月から2カ月間にわたり自動車燃料の鉱油税を1リットル当たり17セント(約30円)…

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