自然災害は、気象条件だけでなく、周囲の自然環境の健全性によってその被害の度合いが変わります。また森林や藻場といった自然が失われると温暖化が加速します。このように、気候変動と自然資本の問題は相互に関連しており、MS&ADグループは気候変動への対応と自然資本の持続可能性向上や生物多様性を統合的に取り組む課題と位置付け、社会との共通価値を創造するCSV取組を進めています。
私たちの暮らしや事業活動は自然の恵みに依存しており、自然資本の持続可能性は、これらのレジリエンスにとって重要です。また、自然の多面的な機能を防災・減災、脱炭素や地方創生に活かす取組みを「グリーンレジリエンス」と称して取り組んでいます。これらの取組みは、気候と自然に関するリスク・機会と、対応・取組みについてまとめた「TCFD・TNFDレポート2025( MS&ADグリーンレジリエンスレポート)」に掲載しています。
自然関連リスクは企業経営に深刻な影響をおよぼし、生態系サービスの喪失は地域の持続可能性を揺るがします。だからこそ、自然資本の保全と向上は、企業・地域双方にとって戦略的な課題です。当社は、この課題に関わるコストやリスクをカバーし、生態系サービス維持や環境保全活動を支える保険商品・サービスを提供しています。
|
海洋汚染対応追加費用補償特約 |
船舶の衝突や座礁などは広範囲にわたる海洋汚染を引き起こし、生態系に深刻な影響を与えます。従来は補償の対象外であった自然環境への損害に対する保全・回復活動等の費用の補償を提供することで、船舶運航者の社会的責任を補完しています。 |
|---|
|
再造林等費用補償特約 |
最近の日本における森林火災は、気候変動による乾燥化の影響もあり、発生件数が増加しています。森林火災は経済的損失でもあり、また罹災した森林の放置は土砂崩れにもつながります。本特約は罹災した森林の保全と再生に向けた再造林費用を補償しています。 |
|---|
|
野焼き保険 |
熊本県阿蘇地方の草原維持に欠かせない「野焼き」による延焼リスクを補償する保険制度を提供することで、自然や歴史に密接に結びついた伝統の維持、農畜産物の育み、豊富な水資源の保全などに貢献しています。 |
|---|
|
企業緑地支援パッケージ |
「駿河台緑地の視察案内」「企業緑地コンサルティングサービス」「企業緑地保険」をパッケージ化した保険・サービスを提供し、自然資本・生物多様性に配慮した企業の緑地取組を支援します。企業緑地保険では、不測かつ突発的な事故により生じた企業緑地における損害や費用等を補償しています。 |
|---|
|
ADLabとNatCap共同開発 |
Aioi R&D Lab-Oxford社はNatural Capital Research社と資本業務提携を行い、自然資本・生物多様性リスクにかかる共同研究や生物多様性リスクソリューションの開発を強化しています。新たに「自然資本・生物多様性リスク開示支援サービス」の提供を始め、1,000種類以上のリスクについて国内外の事業所ごとに分析し、企業の情報開示とリスク管理をサポートしています。 |
|---|
|
TCFD/TNFD開示支援サービス |
企業が気候変動や自然資本に関するリスク・機会を把握し、国際的な開示フレームワークに沿って情報を整理・公開するためのコンサルティングサービスを通して、企業価値の向上・持続可能な社会の実現をめざしています。また、淡水資源、都市不動産、金融機関、地域金融機関向けに特化した専門的なサービスも提供しています。 |
|---|
2022年にTNFD日本協議会を設立し、TNFD開示枠組みへの理解促進と普及啓発に取り組んでいます。当社グループ、経団連自然保護協議会及び農林中央金庫が日本のConvenor(招集者)として協議の場を提供し、TNFDに参画する企業・団体のサポートを行っています。またTNFDのミッションと活動の進捗状況についての意識向上を図るため、ウェビナーや対面イベントを積極的に開催し、グローバルなキャパシティビルディングイベントへの参加を奨励し、地域における情報共有を行っています。更に、TNFD事務局と連携し、自然関連の問題に関する情報発信を行っています。
自然資本を守り、活用し、課題を解決するためには、さまざまな企業や団体とのパートナーシップが欠かせません。当社グループはこれまでのネットワークを活かすとともに、新たなネットワークを作りながら取組みを進めています。
2008年のJBIB発足以降、当社グループは会長(現:代表理事)会社として、生物多様性保全の推進を目的に活動しています。情報開示や影響評価の研究、ツール・ガイドラインの作成を進めるとともに、COP参加や省庁との連携を通じて、日本を代表する生物多様性のイニシアティブとして先進的な取組みを行っています。また、国際的な視点から生物多様性の保全に関する共同研究を実施し、その成果を基に他の企業やステークホルダーとの対話を図り、生物多様性の保全に真に貢献するための活動を展開しています。
当社グループと株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社日本政策投資銀行、農林中央金庫の4金融機関グループで、企業のネイチャーポジティブに向けた取組みへの支援と国内の機運醸成を目的に2023年に設立しました。ソリューションカタログの発行やネイチャーポジティブ移行に向けた企業との対話や連携を図ります。
企業生物多様性イニシアティブで作成した「いきもの共生事業所®推進ガイドライン」にもとづき、企業緑地等の認証(ABINC認証)事業など、いきもの共生社会に向けた事業の推進を目的に2013年に設立しました。2025年8月で認証件数は200件にのぼります。
当社は「企業が語るいきものがたり」シンポジウムを2023年まで毎年開催しています。本シンポジウムは企業の生物多様性の取組みに関する情報提供の機会として、2007年に開始し、2025年2月に17回目を開催しました。「生物多様性民間参画ガイドライン」等に取り上げられ、高く評価されています。
自然の状況は地域によって多様であり、したがって自然資本の持続可能性向上の取組みは、地域ごとに自然を評価するとともに、地域の自然に関わるさまざまなステークホルダーと協働して対応することが求められます。例えばAI産業の隆盛に伴い、特に水資源に大きく依存する事業が集積する地域では、流域における水資源の持続可能な管理が重要となります。
当社グループは、半導体工場等の新設など開発が進む熊本地域で、グリーンインフラを用いた流域のウォーターポジティブをめざすマルチステークホルダーによるコレクティブアクションに参画しています。地下水の水位といった自然の状態を分析しながら、整備したグリーンインフラによる地下水の涵養や洪水リスクの低減、暑熱の緩和といった多様な生態系の機能を評価し、こうした評価にもとづく新たな資金メカニズムで官民連携の投資を促し、ウォーターポジティブをめざします。
本アクションは、「研究開発と Society 5.0 との橋渡しプログラム(BRIDGE)」の委託研究事業として実施しています。研究活動上の不正行為の防止、公正な研究活動の推進に向けた取組みを行います。詳細は、「不正行為の防止に関する基本ポリシー」を参照ください。
-
「不正行為の防止に関する基本ポリシー」
(215KB)
「MS&ADグリーンアースプロジェクト」は自然環境の保全・再生や環境負荷低減、防災減災・地方創生にグループ一体で取り組むプロジェクトです。ペーパーレス等による資源利用そのものの削減・リサイクルによる資源循環や、自然環境を保全することによって自然のもつ防災減災や脱炭素などの機能を引き出し、自然の力を活用した社会課題の解決(Nature based Solutions)につなげるなど、気候変動への対応と自然資本の持続可能性向上に統合的に取り組む”グリーンレジリエンス”を推進しています。
湿地、里山、藻場などの保全・再生活動を研究機関と連携し、地域の事業者、NPO などを巻き込み、ネイチャーポジティブに向けたコレクティブアクションを推進しています。ネイチャーポジティブの実現と自然を活用した防災 ・減災、水資源の涵養などの課題解決を進め、安心・安全で活力ある地域モデルの構築をめざしています。

- 拡大
- 地元小学校の子どもたちによるパトロール
2005年度よりインドネシア政府と連携し、ジャワ島のジョグジャカルタ特別州において野生動物保護林の修復・熱帯林再生プロジェクトを20年にわたり推進しています。植樹により劣化した森林を再生させ、持続可能な地域社会の形成に向け、保護林の維持管理を行うと同時に周辺住民に植林や育林の技術指導を行って住民協働型植林を展開していくなど、地域経済の活性化にも努めています。
「健やかな地球環境を未来につなぐ」ための活動として、2019年度より北海道美幌(びほろ)町で「あいおいニッセイ同和損保の森」植林活動をスタートしました。お客さまの「ペーパーレス保険証券・Web約款」等の選択による当社の環境寄付取組が植林活動へ役立てられています。植林地の土壌の特徴に合わせ、水気に強い3種類(ミズナラ・シラカバ・ヤチダモ)の広葉樹を15.5haの土地に植樹しました。
三井住友海上の駿河台ビル・駿河台新館周辺の緑地(駿河台緑地)は、生物多様性に配慮した企業緑地として高い評価を得ています。2023年10月に環境省の「自然共生サイト」に認定、2025年9月には「生物多様性増進法」に基づき改めて「自然共生サイト」に認定されました。当社グループは「30by30」実現への貢献をめざしていますが、これにより駿河台緑地が国際データベースに登録されました。
三井住友海上とインターリスクは、両社の知見・経験を活かし、「企業緑地支援パッケージ」を提供し、企業緑地保険と関連サービスで企業の緑地取組を支援しています。
- 駿河台の緑地
-
企業緑地保険と関連サービスで企業の緑地取組を支援
(197KB)
-
三井住友海上 駿河台ビル・駿河台新館の周辺緑地が環境省「自然共生サイト」に認定
(220KB)
当社グループは、「MS&ADインシュアランス グループ 環境基本方針」において主要課題の一つに「生物多様性の保全」を掲げています。この他にも自然資本の持続可能性向上に寄与するさまざまなイニシアティブに参画し、取組みを推進しています。



