北陸電力の27年3月期、主力火力停止で純利益54%減「投資は厳選」

北陸電力は28日、2027年3月期の連結純利益が前期比54%減の250億円になりそうだと発表した。25年12月に停止した七尾大田火力発電所(石川県七尾市)2号機の停止が続き、電力調達コストがかさむ。中東情勢による燃料費の高騰も想定する。
売上高は3%減の7600億円、経常利益は59%減の350億円を見込む。七尾大田火力2号機(出力70万キロワット)は落雷で主変圧器が損傷し、部材の取り換えのため復旧が27年春ごろになる見通しだ。
同日、記者会見した松田光司社長は「主力の電源であり(稼働が停止することで)夏場や冬場に電気を調達する必要が出てくる」と説明した。市場からの調達コストなどで経常損益段階で前期比200億円の減益要因になると想定する。

中東情勢の影響による燃料価格の高騰も響く。主力の石炭価格が1トンあたり150ドル程度と26年3月期の実績より29ドル高くなると予想する。燃料価格の変動が遅れて業績に反映される「期ずれ差損」が発生し、前期比で120億円程度、利益を下押しする。
燃料に関して松田社長は「収支面では影響が出るが、調達面では限定的」と話した。同社は電源構成に占める石油火力発電の比率が1%と少なく、液化天然ガス(LNG)や石炭は中東から調達していない。「需給・収支対策本部」を立ち上げて中東情勢の影響や対策について議論を進めている。
26年3月期の連結決算は、売上高が前の期比8%減の7865億円、純利益は16%減の544億円だった。もっとも、財務体質の改善は進んでいる。ロシアによるウクライナ侵略で資源価格が高騰して884億円の最終赤字となった23年3月期に自己資本比率が12.9%まで低下したが、26年3月期には24.4%まで回復した。28年3月期末までの3カ年の経営計画で掲げた目標である25%に近づいている。
同社は現在よりも純利益の水準が低かった2010年代の中ごろまでは50円の年間配当を出していたが、26年3月期と27年3月期は25円にとどまる見通しだ。松田社長は23年3月期に財務状況が大きく毀損したことに触れ「内部留保と株主還元の両立を図る必要がある」と説明した。
慎重な姿勢をとる背景には、大型電源への投資と金利の上昇もある。電源への投資では富山新港火力(富山県射水市)で34年3月期にLNG2号機を稼働させる計画を打ち出している。28日には出力が63万キロワットになると発表した。
同社の有利子負債は26年3月期末で「1兆1000億円を少し切る水準」という。23年3月期末の1兆2800億円に比べると減少してきたが、今後の金利の上昇を考えると重荷になる。松田社長は「さらなる利益の上積みを図る」と話すと同時に「投資を厳選する」とも述べ、本格的な金利上昇時代に備える考えも示した。
ウクライナ侵略後、料金の引き上げもあり財務基盤は安定してきた。今後は中東情勢のような不確定要素に対応しつつ、成長へ向けた電源などへの投資、株主還元、金利負担などにバランス良く資金を振り向けていく経営が必要になる。
(藤本真大)

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