AI(人工知能)時代のスーパーコンピューターと何か――。2030年ごろの稼働を目指す次世代スパコン「富岳NEXT」が正面から向き合う命題です。特集「AI時代に富岳NEXT」では、「世界で使われる計算機」を目指す開発の最前線や中核技術に全4回で解説しました。
開発の中核を担うのが、理化学研究所と
富士通、米NVIDIA(
エヌビディア)です。富士通は、開発するCPU(中央演算処理装置)の製造をRapidus(ラピダス・東京・千代田)に委託することを検討。メモリーは
ソフトバンクと米Intel(
インテル)が開発を主導します。
注目プレーヤーの取り組みを含め、富岳NEXT開発の全体像をつかむための記事を8本選びました。
【第1回】富岳NEXT、世界一より「使われる」 理研・富士通・NVIDIA
理化学研究所と富士通、米NVIDIA(エヌビディア)が2030年ごろの稼働を目指し開発する次世代スーパーコンピューター「富岳NEXT」が、最初のマイルストーンを迎えた。アーキテクチャーの基本設計を2026年3月に終え、詳細設計へ移った。性能世界一へのこだわりを捨て、AI(人工知能)時代に「使われる計算機」の実現に比重を置く。
…続きを読む【第2回】富士通の次期CPU、ソブリンAI狙い世界へ ラピダス味方に
富士通はAI(人工知能)市場の開拓に向けた次期CPU(中央演算処理装置)の開発に乗り出した。理化学研究所と開発するスーパーコンピューター「富岳NEXT」に搭載するが、AIサーバー分野の世界の顧客にも売り込む。1.4nm(ナノメートル)世代技術や3次元実装技術を盛り込み、Rapidus(ラピダス、東京・千代田)への生産委託を優先的に検討する。半導体とAIの両輪で日本の産業競争力を高める。
…続きを読む【第3回】省エネ志向の富岳NEXT、温水で冷やす 800Vは見送りか
理化学研究所は次世代スーパーコンピューター「富岳NEXT」で、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)を搭載するサーバーの冷却技術を刷新する。「富岳」に使った冷水ではなく、30℃を超える温水でサーバーを冷やす。冷凍機(チラー)を不要にし、冷却電力を富岳比で2割減らす。AI(人工知能)時代に求められる省エネ型の計算基盤構築を狙う。
…続きを読む【第4回】ソフトバンクとインテル、新メモリーの相関図 富岳NEXT
2030年ごろに稼働するスーパーコンピューター「富岳NEXT」では、メモリーでも新機軸を打ち出す。GPU(画像処理半導体)やCPU(中央演算処理装置)との連係に向けて、HBM(広帯域メモリー)よりも大容量で低消費電力、低コストを狙える新型メモリーの採用を検討する。ソフトバンクと米Intel(インテル)が開発を主導し、日本にとっては将来にわたるAI(人工知能)メモリー確保の試金石となる。
…続きを読む何者「SAIMEMORY」 斬新なAIメモリー、ラピダス似の構図
ソフトバンクと米Intel(インテル)のAI(人工知能)メモリー開発が動き出す。半導体チップを立てて並べるという斬新な技術を使い、HBM(広帯域メモリー)代替に向けたメモリーを2029年度に製品化することを狙う。米国発の技術を日本が取り込み、国も支援する構図はRapidus(ラピダス、東京・千代田)に似る。DRAM企業を持たない日本にとって悲願のメモリー新会社だが、成功はたやすくない。
…続きを読む富士通「モナカ」、27年初代品は3D構造 AIサーバー用MPU
コンピューティングと通信の会社からAI(人工知能)の会社へと脱皮中の富士通。その原動力となるのが、データセンターのAIサーバーに向けて開発中のマイクロプロセッサー(MPU)「FUJITSU-MONAKA(モナカ)」シリーズである。初代品(以下、MONAKA)を2027年にリリース予定だ。2nm(ナノメートル)世代の製造プロセスを適用する。
…続きを読むアームの深謀、初の自前AI半導体 顧客との摩擦を考察
ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英Arm(アーム)は、初めて自前で開発したIC(集積回路)「Arm AGI CPU」(以下AGI)を発表した。AI(人工知能)データセンターを狙ったサーバー向けマイクロプロセッサー(MPU)で、最初の顧客となる米Meta Platforms(
メタ・プラットフォームズ)と共同開発した。AGIを搭載したサーバーは2026年後半から広く提供される。
…続きを読む スパコン富岳の量子アプリ開発、自由裁量で突破 Quemix
量子コンピューターの社会実装が視野に入りつつある中、その活用に欠かせない「量子アルゴリズム」の開発が世界で加速している。化学計算や構造解析、流体解析など様々な問題に量子計算を当てはめる際に重要な役割を担う。この開発競争で強い存在感を示しているのが量子スタートアップのQuemix(キューミックス、東京・中央)だ。
…続きを読む