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宮城大学 名誉教授
稲カメムシや果樹カメムシの急激な被害増加が農業生産の予測を狂わせている。 カメムシの増加には、温暖化による越冬個体数の増加や産卵時期の早期化などが上げられるが、なんとなく熊被害の増加にも似ている。 幸い、カメムシの人的被害はないので、まだ他人ごとととらえられているが、農業には結構深刻。最近は住宅地にも広がっていていやなにおいを出している。駆除方法が書かれているので早速実験してみたいと思う。
このタイトルは、農水省がまた「減産から増産に変わった」かの様な印象を受けるがそうではない。あくまで主食用米は減産。増産するのは転作作物のコメ。 主食用米の高値で農家は主食米を作りたがり、価格の安い加工用米や輸出米や飼料米、さらに価格は高いが収量の低い酒造好適米等が足りなくなったというもの。そこで「転作補助金をやるからもっと作ってよ」というのがこの記事の趣旨。 同じコメでも主食用米と転作米があるのが農業界の不思議さ。同じコメなら流通段階で価格で用途を調整すればすむのにと思うが、そうはしたくないのが農水省。
米価の高止まりを反映し、入札は通常より3ヶ月遅れた。落札6%弱というのは低い数値だ。様子見で応札数が少なかったのか、あるいは入札予定価格が低かったのか、どちらかの要因か、あるいは両方なのか。 農水省や業界周辺ではこれまで60㎏2万円強という雰囲気を醸成していたが、希望的観測としては、予定価格はそれより低かったと思いたい。今回落札した業者の価格を聞きながらおよその見当をつけ28日の2回目に再チャレンジすることになるが、記事にあるように2回目以降の落札率は向上すると思われる。
この落札価格が主食用米の最低価格水準になる。政府が決める予定価格はもちろん公表されないものの、いままでは60㎏1.5万円を超えたことはない。 だが、業者は、先頃政府が出した2万円強の「コメのコスト指標」なるものを意識しているとの記事内容で、2万円台前半になる可能性を匂わせている。 政府米(備蓄用米)は基本的に主食に回らないので2万円が予定価格になることはないと思う。ただ、先祖返りした農政のこと、米価を上げたくて仕方ない様だからあり得なくはない。もしそうなら消費者無視もいいところ。一体何円で落札するか、関心を持って監視してみてはどうだろうか。
植物工場のネックは、農産物価格が通常栽培の物より高くなってしまうこと。ただ、植物制御しやすい分露地より有利で、生産性や生産の回転数、収量は高く、増収分でコストダウンは可能になり、最近は採算ベースにのる経営が増えてきた。ただ、人工光だとまだコストが高く、自然光等でやっと採算があうといったところだろう。 植物工場の最大のメリットは、気候変動に強いこと。そこに太陽光発電も組み合わせればますます採算ベースに乗りやすくなる。いろいろな仕掛けができるのが植物工場のメリットで、まだまだ可能性は広がると思う。
「国公認のコメ生産コスト」とのタイトルは、コメ政策が如何に計画経済で運営されているかを示している。 コストまで国が公認するというのだが、そのコストは零細農家でもやれる高い水準が示されている。それでもおそらく零細農家は離農していくだろう。離農はコストが保障されないから進むのではなく、兼業化や、高齢化、後継者不足といった要因で進むからだ。 また、高いコストが公認されると当然店舗価格も高くなる。この間の高価格の副作用は、消費者の米離れと海外産の輸入量の増大だった。当然稲作産業は縮小する。国はこれ以上稲作を縮小させてどうするつもりなのだろうか? 誰のための高いコストなのか聞いて見たい。
業者は価格下げを真剣に考えざるをえなくなった。 記事の図を見ると分かるが、昨年8月には「向こう3ヶ月」は、「需給逼迫」、「価格上昇」と読んでいた。過剰になるとは9月になってもゆめゆめ思ってなかった。 潮目が代わったのが、10月以降。実際の生産量が747万㌧という数字が出てから。コメが売れず「しまった」と思ったのが10月から11月頃。それでも高値で買った価格を下げるわけにはいかなかった。 それが、消費者のコメ離れが進み、需要が下振れし、在庫が急増し過剰感が漂ったのが3月。価格はもっと下げないとと慌てはじめた。その結果、3月の需給見通し指数は4年半ぶりの低水準となった。
多くの漁業資源は国際的な管理のもとにおかれていますが、掟を破ると資源の枯渇だけでなく、業界もシュリンクしてしまうという良い事例と思います。 中国は日本向けにウナギ稚魚の輸出を産業として育ててきましたが、資源保護より儲けを優先してしまったようです。この間規制量上限の三倍も捕獲した上、昨年は日本でも豊漁だったため、中国の稚魚は行き場を失ってしまったという記事です。 資源管理は、ウナギに限らず、サンマやマグロなどにもおよんでいますが、鯨の例があるように捕鯨国と非捕鯨国の対立になってしまうこともあります。資源調査に基づく納得の上での資源管理には皆従うという慣行にすべきと思います。
日本の稲作の多くを担う大規模経営者は、多かれ少なかれ乾田直播に関心を持っている。埼玉の大規模稲作経営「ヤマザキライス」は、乾田直播のパイオニアの一人で、小泉元農水大臣が視察し感嘆した一人だ。 彼が言うには「最近は水温が上がりすぎて、水田のザリガニが全滅することもあるが、節水型乾田直播だと地表はひんやり保たれ、カエルもザリガニも元気」というから、農水省の心配も杞憂かもしれない。 直播は、技術としては昔からあったが、収量が安定しなかった。近年バイオスティミュラント併用で安定するようになった。民間の経営者がイノベーションに前向きに取り組んできたのに、農水省は及び腰の構図か?
キーワードは「育成者権」です。出願が公表された段階で「育成者権」に相当する権利が認められ、無断輸出を差し止められるというのが種苗法改正の目的。出願から登録まで、記事にあるように3.3年から6年かかり、これまでのように、この間の品種持ち出しができなくなります。また、育成者権の存続期間も10年間延長するというのだから、世界でも最長になると思う。 ただ、これには、日本の品種開発技術が市場ニーズに合って人気を博するという大前提が必要。品種開発競争で先端を行くことが重要になると思います。
陸上養殖が少し日の目を見るようになっているのはうれしい事。 日本の漁業は、沿岸・沖合・遠洋ともに衰退で、養殖が唯一の成長部門としてクローズアップしている。 海上養殖には餌や粉糖による海洋汚染の課題があるが、陸上養殖は技術で回避できる。ただ、設備投資や運転資金が大きく、通常の漁家や水産関係者が容易に参加できるものではない。幸いにして複雑な漁業権問題が存在しないので、企業の参加が自由になり、可能性は広がる。 実はこのスキーム、2011年の東日本大震災の復興支援にノルウエー政府の支援を受けて三陸地帯に導入しようと考えたが挫折していた。オカムラ食品工業は希望の星だ。
納得の記事です。 野村監督の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」が思い出されます。負けたときこそいろいろ考えるものです。 相手は落ちる球対策など日本を研究していたということです。ダルビッシュが日本のピッチャーの高めのフォーシームは通用しない、と注意を喚起していた球で打たれています。飛ばないボールで日本の選手に「ハードヒッター」が少なくなっているという指摘も納得です。 日本とMLB中継のベンチを見て気になっていたのは、大谷はいつもタブレットを見てますし、山本はいつもコーチとノートを見ながら会話してます。日本はデータ利用や選手の能力を発揮させる組織力に課題があるというのも納得です。
やはり、石油、石油、石油である。原油高の影響は経済活動全体におよぶが、こうなると改めて農業や水産業の石油依存が白日のものとなる。 農業の中でも依存度の高いのが、高市総理が力を入れろと指示している植物工場。原油不足に最ももろい。植物工場は、本来ならエネルギーを自前で作り利用する「園芸・エネルギー」産業を目指すべきなのだろう。 脱石油や調達先の多様化は昔から言われてきたが、皆が「そうだね」といいつつなかなか実行されずにきた。そして今皆が「やっぱりこうなったか」と思っている。でもまた「なんとかなるだろう」と思ってる様な気がする。転換のチャンスは今しかないと思うのだが。
規制改革と新規参入を模索する「水産特区」は当初難航した。地元漁協の反対も強かった。推進できたのは記事中にある島貫会長や石森専務の仙台水産の未来展望と意地。途中、デマなどに惑わされ推進役だった知事が踵を返したこともあった。仙台水産は火中の栗を拾った感じになった。 漁業や水産業、さらには中山間地農業やそれらに限らないローカル産業は、現状に任せれば衰退するより他ない。退出による集約化を如何にスムースに進めるかが肝要と思う。ムラの人材は流動的なので法人は生産性向上によって賃金上昇に勤め次世代に繋いでいくのが現実的。それには漁家だけ農家だけという「主体規制」を早く改革する必要がある。
随意契約米放出量28万㌧の内900㌧がまだ業者の手に届かないというニュースだ。 既に「外食・中食・給食事業者へは完了した」とされてるので「大手小売店」向けが届かないということだろう。 記事は、随意契約米の到達遅れを話題にしているが、江藤大臣の入札備蓄米は31万㌧放出でまだ4万㌧弱が届いていない。量としてはこちらの方が大きく問題だ。 届かない理由として卸の問題を挙げているが、対策として民間備蓄制度を設けるという。ただ、コメの民間備蓄は産年だけでなく品種や産地の指定があるだけに運用はそう単純ではない。またまた卸業者にしわ寄せがいき、解決策になるかは様子見と言うことになりそうだ。
やっとコメ価格が下落しはじめた。過剰状況で米価が高いままのはずがない。特売が始まったと言うことは、下落が本格化した兆しである。7月に向けて3000円台前半まで下がっていくことだろう。 ところで農水省には分裂した二つのコメ政策がある。 一つは「需給見通し」によるコメ政策の本道。内容は、生産調整、米価は60㎏20400円台のコスト保障、輸出は4万㌧程度という政策。 もう一つは、「食料・農業・農村基本法」にもとづく「基本計画」。811万㌧まで増産、コストは60㎏13000円台を、輸出は34.5万㌧を目指すというもの。 これを矛盾と思っていない農水省が恐ろしい。
3月中の4000円割れは想定通り。7月まで3500円以下まで下がり続けるだろう。 だが一筋縄ではいかないのがこの世界。農水省は米穀機構という外郭団体に「コメのコスト指標」なるものを作らせ、価格への転嫁を推奨している。計算に使ったのが1~3㌶の零細農家の高いコストに将来の物価高を加えた340円/㎏というもの。 我が国のコメの半分を生産している10㌶以上層のコストは24年産でほぼ150円/㎏程度だから非常に高いコストを消費者に払わせることになる。 農水省は、米価を下げるな、零細農家でもやっていける価格にしろ、農業の構造改革に逆行しても、海外産が入ってきてもしょうがない、と言ってる様な気がする。
震災から15年目の今日、各地で追悼式や慰霊祭が開催される。 痛手は大分癒やされたとはいえ、傷が深いのが原発事故被害を受けた福島の高級農産物。 震災後、農産物の付加価値戦略、ブランド戦略に苦戦している。和牛や桃など、福島と名がついただけで高級品は避けられる傾向がある。 方策として考えられたのが、業務用や輸出と言った戦略である。実際25年産の福島コシヒカリは驚くような高値をつけた。業務用米にシフトしていたのが当たった。 福島は今後もブランド復興を狙う様だが、それもそうだが、むしろ生産性を上げ低コスト・低価格でシェアー拡大を狙うのが得策と思う。その先に輸出が見え、農産物市場に広がりが見えるからだ。
都市農業は農家の税金対策として利用されてきた。栗一本植えただけで農地と見なされ宅地並み課税が免除されるからだ。 だが、21世紀に入り、世田谷の農家直売所や、練馬の市民農園が話題になり、少額の管理費や資材費、授業料を払う体験農園が広がっていった。出入りは結構あったが、土や植物に触れる効果の大きさを実感する人や菜園仲間も増えていった。 この間都心から郊外へ移動しながら増えているようだ。このビジネスをチョコザップのように、誰かがチェーン展開すれば良いのにと思っていたが、今のところ誰も手を上げていない。 都市農地はいつ宅地転換するか分からず、不確定要素が多いからかもしれない。もったいない気がする。
わさび人気うれしいことだ。 わさびの新規産地の支援をしたことがあるが、水質などから栽培地が限られなかなか大量生産大量消費とはいかなかった。唯一の道は、「わさび茶屋」や直売所「山の幸センター」など、観光との結びつきや六次産業化による高付加価値化だったが、生産規模がなかなか拡大しないことに変わりはなかった。 記事では、世界的ニーズが高まり価格高になっているというのだから、拡大するには冷涼地での大規模わさび圃場の造成や植物工場による生産が考えられるだろう。ただそれがわさびの生産スタイルに合うのか、わさび一作物だけで採算があうのか等、気になるところは多い。
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