塩野義新薬とイベルメクチン…臨床試験結果の明暗
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新型コロナウイルス感染症の治療薬に関して、先週、注目すべき臨床試験の結果が3件、発表されました。
イベルメクチン「効果確認できず」、ゾコーバ「症状改善」

2件は、 前回9月20日付のコラム で取り上げた抗寄生虫薬「イベルメクチン」、もう一つは、塩野義製薬が開発した新薬「ゾコーバ」の臨床試験です。
医薬品メーカーの興和(名古屋市)は9月26日、新型コロナ治療薬への転用を目指していたイベルメクチンについて、「治験の結果、効果を確認できなかった」と発表しました。
安全性と有効性を確かめる治験は、昨年11月~今年8月、日本とタイの軽症患者1030人を対象に実施。患者を無作為に分け、イベルメクチンと、効果のない偽薬(プラセボ)を経口投与(服用)しました。
どちらのグループも投与開始から4日前後で発熱や筋肉痛などの症状が改善しており、統計的な有意差は認められませんでした。つまり、薬を飲んでも飲まなくても同じだった、ということです。一方、安全性は確認できたとしています。
興和は、現時点でコロナ治療薬としての承認申請は考えていない、と言います。
信頼できる海外の複数の臨床試験では、重症化や死亡を防ぐ効果が確認できませんでしたが、今回は軽症患者の症状改善効果も確認できなかったことになります。厚生労働省はコロナ治療薬の開発のため、興和に約61億円の支援を行っているだけに、関係者は非常に残念だとは思いますが、この結果は
さらに、9月30日には、医師主導の臨床試験を行っていた北里大学病院が、病院長名で「主要評価項目において、イベルメクチン単回投与群とプラセボ投与群との間に統計学的有意差を認めなかったことをお知らせいたします」とホームページ上で発表しました。
ホームページには、「本試験の詳細な結果につきましては、現在論文投稿中であることを併せてお知らせいたします」とも書いてありますが、記者会見を開いた興和に比べ、あまりに説明不足と言っていい内容です。そもそも、今年の早い段階で治験の結果は出ていたはずですが、この時期に発表したのは、残念な結果だっただけに、興和の発表から間を置かずに発表した方がいいと考えたからでは、と、うがった見方をされても仕方ないと思います。
治験の計画によると、「主要評価項目」は、PCR検査が陰性化するまでの期間です。つまり、イベルメクチンを飲んでも飲まなくても、新型コロナが陰性化するまでの期間が変わらなかった、という結果です。イベルメクチンの新型コロナへの有効性については、これでもう議論する必要はない、と言ってもいいでしょう。
さて、興和の記者会見から2日後の9月28日、今度は塩野義製薬が記者会見を開きました。

開発中の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、最終段階の臨床試験で、オミクロン株に特徴的な発熱などの症状を改善する効果が確認された、という内容です。
塩野義によると、最終段階の治験は今年2~7月、日本と韓国、ベトナムの12歳以上70歳未満の軽症から中等症のコロナ患者1821人を対象に実施。ゾコーバを1日1回、5日間服用したグループと偽薬を服用したグループに分けて、症状の改善効果を調べました。
その結果、ゾコーバを服用したグループでは、せきやのどの痛み、鼻水・鼻づまり、
ゾコーバの承認を巡っては、厚労省の審議会で継続審議となっています。塩野義は今後、新たなデータを厚労省に提出する予定です。
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