コロナを診る医師を増やすには…日本の医学教育に抜け落ちていること

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編集委員 山口博弥

 ほぼ四半世紀もの間、医療の取材を続けていると、医師って素晴らしい職業だなあ、ってつくづく思います。

 高校時代、私にもっと理系の頭脳があって、もっと努力家で、経済的に許されたなら、医師になりたかった――。そう考えることも、たまにあります。

「精神科医は向いているかも」

訪問診療で、寝たきりの90代男性に優しく声をかける田代和馬さん(2023年2月、東京都内で)
訪問診療で、寝たきりの90代男性に優しく声をかける田代和馬さん(2023年2月、東京都内で)

 で、妄想するのです。外科医はかっこいいけど、血を見るのは苦手だから絶対になれないよな。緊急事態には焦ってアワアワしてしまうタチだから、救急医も無理。記者という仕事柄、人の話をじっくり聞くのは好きだから、心と体を分けずに診る心療内科医か、心の病を治療する精神科医は向いているかも……。

 妄想は、さらに広がります。自分がもし医師だったとして、飛行機の機内で、「お客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんか?」というアナウンス(ドクターコール)が流れたら、どうするだろう? (それを医師に尋ねるアンケート調査は過去にいくつか実施されていますが、ドクターコールに「応じる」と回答したのは、おおむね2~4割程度にとどまります)

 もし私が医師なら、たとえアワアワしながらでも、すぐに急病人のもとに駆けつけたい。そのために、自分がどんな診療科の医師であろうと、プライマリーケア(初期診療)や救急医療の最低限の知識と技術は身につけておきたい。昨年7月のこの コラム で、ドクターコールのエピソードを紹介した精神科医の大西秀樹さんのように、「傍観しない」医師でありたい。

 あくまで妄想の中での話ですが、なぜ私がそう思うかと言うと、医師には人の命を救う「力」が与えられているからです。

 医師が手術のために他人のおなかをメスで切開するのは医療行為ですが、医師でない私がそれをやったら傷害罪に問われます。医師免許を持つ医師だからこそ、病気を治すため、あるいは命を救うために、注射や点滴、皮膚の切開といった様々な処置をする権限が与えられている。その医師が、急病人がいて助けを求められているその時に、せっかく持つことが許されている「力」を行使しないのは、「カッコ良くない」って思うんです。若者風に言えば、「なんかカッコ悪くね?」みたいな……。

パイロット志望から急転換

訪問診療先の患者のベッドのそばでカルテを書く。手前のノートは「交換日記みたいなものです」(田代さん)
訪問診療先の患者のベッドのそばでカルテを書く。手前のノートは「交換日記みたいなものです」(田代さん)

 さて、私は2月26日付朝刊コラム面「 広角多角 」で、このコラム「なるほど!医療」にも度々登場していただいている「ひなた在宅クリニック山王」院長で訪問診療医の田代和馬さん(33)の意見を紹介しました。いわく、「新型コロナウイルス感染症の患者を診ようとしない医師が少なくないのは、日本の医学教育に問題があるからだ」。この意味について、もう少し詳しく書きたいと思います。

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