「再発しても」って言わないで…前立腺がん患者と医師の対話
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「再発しても…」に違和感

講演の中で、私が泌尿器科医の先生方に最も訴えたかったのは、前立腺がんと診断された患者さんが治療法を決める際、泌尿器科医がよく言う次の言葉への違和感です。
「お勧めは全摘手術です。もし再発しても放射線を照射できる。でも放射線治療後は、手術で前立腺を摘出することはできません」
前立腺がんの患者会「腺友倶楽部」のメーリングリストへの投稿を読んでも、こう言われて手術を受けた人は多いのです。実際、私も言われました。
前立腺の全摘手術後に再発した場合、放射線を照射できるのは事実です。でも、すでに前立腺がないわけですから、明確なターゲットが存在しません。他臓器への悪影響を避けるためにも、結局、弱い線量の放射線をぼやっと照射することしかできないのです。これで再発を根治できるのか、はなはだ疑問です。
一方、放射線治療後に再発した場合、前立腺を摘出できない、ということはありません。癒着などがあるため高度な手技が必要ですが、現に慈恵医大病院では全摘手術を行っています。この摘出も、どの程度の治療効果が見込めるのか、私にはよく分かりません。
ただ、私はこうした医学的な問題のみに違和感を抱いているわけではなく、それよりも、 最初の治療選択の説明時に、「もし再発しても……」と、なぜ再発を前提とした話をするのか 、ということに疑問を感じるのです。
セミナーの会場は“アウェー”

実は、事前に講演のスライドを作っている時、最初はこんなことを書いていました。
「泌尿器科の先生方は、ひょっとして、『とりあえず、手術だ。前立腺がんは再発してもすぐには患者さんは亡くならないから、再発したらその時にまた考えればいい』って思っていませんか?」
「前立腺がんの生存率の長さに、『甘え』はないでしょうか」
でも、やめました。こんな刺激的・挑発的なことを書いてしまうと、「なんだと~? 甘えてなんかいないぞ!」と反発されてしまいます。まして、私は泌尿器科医による手術の予定をキャンセルして、放射線治療とホルモン療法を選択した患者ですから、セミナーの会場は、いわば“アウェー”の場所、と言えなくもありません。
胃がんと前立腺がんを比べてみた

そこで、私が過去に最もよく取材した胃がんと比べることにしました。
最初に診る医師と治療法
【胃がん】
最初に診た内科医が「手術が妥当」と判断して外科医を紹介することもあれば、最初の外科医が「ごく早期だから内視鏡治療で切除できる」と判断して内科医に回すことも多い。
【前立腺がん】
最初に放射線科医が患者を診ることはほとんどなく、泌尿器科医が手術を勧めることが多い。


























