トイレの不安に社会の理解を!…「炎症性腸疾患」患者の悩みは深刻だ
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実は、私には悲しい過去があります。
と言っても、今では笑い話のたぐいです。ただし、お食事中の方は読むのをお控えください。
昔の小学生「トイレでうんこをするのはカッコ悪い!」 その結果……
福岡市で暮らしていた小学校低学年の時、学校で便意をもよおしました。おなかもシクシク痛みます。でも当時は、学校のトイレでおしっこはしても、大きい方をする勇気がありませんでした。他のクラスメートもほとんどがそうで、あのころはなぜか、「学校のトイレでうんこをするのはカッコ悪い!」という、あしき“文化”があったんです。
で、必死に我慢して授業を受けていたのですが、おさまる気配がありません。休み時間に先生に申し出て、早退することになりました。いま思えば、トイレで排便さえすれば、あっさりと問題は解決したのですけど……。
学校から自宅まで、徒歩10分ほどの距離。経験された方は分かると思いますが、便意には波があるんですよね。波が落ち着くと、「あ、大丈夫そうだ」とホッとするのですが、ヤツは無常にも繰り返し襲ってきます。そのたびに、額に脂汗が浮かんでくる。一刻も早く家に帰りたい。でも、走ると漏れてしまいそうだから、内股ぎみに、競歩の選手のような歩き方で帰路を急ぎました。
でも……ダメでした。家まであと50メートルぐらいだったでしょうか、ついに我慢の限界が来たのでした。当時は一年中、冬でも半ズボンで通していましたから、詳細はあえて書きませんが、もう周りの人にはバレバレ。見事なまでの「可視化」です(涙)。声にならないような小さな声で「え~ん」と泣きながら、そのまま家まで歩きました。
途中、お寺の前で立ち話をしていたおばさん2人が、こちらを見ているのが分かりました。あの時の2人の会話は、今でも耳にこびり付いています。
「かわいそうにねえ」「我慢できんやったっちゃろうねえ……」
私が大きい方のお漏らしをしたのは、人生でこれが最初で最後。おなかを壊しやすい体質は大人になってからも変わっていませんが、今はいいサプリメントもあり、生活に支障はほとんどありません。
「炎症性腸疾患」…外出する度に何度も便意を催すことも

しかし、もし「病気」が原因で、外出する度にあのような不安や恐怖にしばしば襲われるとしたら、どうでしょうか。生活の質がとても落ちてしまい、笑い事では済まされません。
「炎症性腸疾患」(Inflammatory Bowel Disease、略してIBD)は、そうした病気です。5月17日、バイオ医薬品企業「アッヴィ」の主催で、5月19日の「炎症性腸疾患(IBD)を理解する日」に合わせたオンラインの記者発表会がありました。それをもとに話を進めましょう。
病気の解説をしたのは、慶応大名誉教授で北里大北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター特別顧問の日比紀文さんです。


























