米国社会を映す鏡「アカデミー賞」、時代とともに変遷

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 第98回米アカデミー賞の発表・授賞式が15日にロサンゼルスで行われる。世界最高の映画の祭典として知られるが、同時に現代の米国社会を映す鏡として、常に注目を集めてきた。アカデミー賞は、どのように変遷してきたのだろうか。

華やかな授賞式 テレビ中継きっかけ

 

 フラッシュを浴びてレッドカーペットを歩く着飾ったスターや監督たち。アカデミー賞と言えば、このシーンを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、1929年に開催された第1回授賞式は簡素なもので、わずか4分22秒で終了したと伝わる。

 この賞が世界的な注目を集めるようになるのは、53年、セレモニーのテレビ中継が始まって以降のことだ。演出は年々ショーアップされて華やかになり、60年代にはレッドカーペットも導入。現在まで続く賞のイメージが形作られた。映画の都ハリウッドの力を示す場でもあり、受賞作品は興行収入の増加が期待され、監督や俳優も高い名声を得られるという、名実ともに映画界最高峰の賞といえる。

 賞の決定は、「映画芸術科学アカデミー」の会員たちの投票による。アカデミーは監督や俳優、プロデューサーらで構成される同業者組織だ。ここが、審査委員による話し合いを経て賞が決定されるカンヌやベルリン、ベネチアなどの国際映画祭と異なる点だ。

「白すぎるオスカー」に多様化の波

 「カサブランカ」「ベン・ハー」「ゴッドファーザー」「タイタニック」……。過去の作品賞受賞作を見ると、映画史に残る名作がずらりと並び、うっとりとした気持ちになる。アカデミー賞に輝いた作品はエンターテインメントから社会派まで様々だが、最近は、作品の潮流に多様化の波が訪れている。

 映画評論家の渡辺祥子さんは、「受賞者が白人ばかりで、『白すぎるオスカー』と批判され、会員の多様化が求められたことが背景です」と解説する。

 「白すぎるオスカー」とは、2015、16年、俳優部門の賞にノミネートされたのが全員白人だったことに対する批判として生まれた言葉だ。当時、アカデミー会員は9割が白人、8割が男性という偏りがあったが、この一件をきっかけに改革がスタート。14年には約6000人だった会員を大幅に増やし、その枠の多くを女性や白人以外のマイノリティー、米国出身者以外に割り当てた。会員は現在、1万1000人を超える。

 その結果、賞の傾向は一変した。20年に韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)が作品賞を受賞したのが顕著な例だ。21、22年の作品賞受賞作の監督が女性だったことも目を引く。ハリウッド映画の賞だったアカデミー賞は、今や多様な世界の姿を反映する映画賞へと変容を遂げているのだ。

 賞の行方と共に気になるのが、受賞者のスピーチ。政権批判や、地球温暖化など様々な問題意識を表明するスピーチがセレモニーで披露されてきた。トランプ大統領の第1次政権時には、受賞者からの批判的スピーチが相次いだ。政権復帰後、議論を呼ぶ政策を次々に打ち出すトランプ氏に対して、受賞者たちが何を語るかも注目される。

動画配信が台頭

 近年は、ネットフリックスなど動画配信企業による作品の台頭が著しい。そのきっかけとなったのが、コロナ禍だ。

 映画館から客足が遠のき、この間に豊富な資金力を背景にした上質な配信映画が盛んに作られるようになった。22年の「コーダ あいのうた」は配信作品として初の作品賞受賞作だ。渡辺さんは、これからも配信作品の勢いは強まるだろうと予測し、「アカデミー賞の意味も、映画というものの意味も大きく変わっている。今はそんな時代といえます」と語る。

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