正倉院に伝わる宝物、繊細な「古代のグラデーション」…彩色技法「暈繝」を15件で詳しく分析

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 奈良・正倉院に伝わる宝物で、段階的に色を塗って濃淡を表現した彩色技法「 暈繝うんげん 」について、宮内庁正倉院事務所(奈良市)が色の種類やパターンを15件の宝物で詳しく分析し、調査結果をまとめた。青色に赤紫色を重ねて濃くするなど、繊細な「古代のグラデーション」が施されていることが明らかになった。

天板側面や脚部分に暈繝が施された「粉地彩絵八角几」=正倉院紀要第48号より
天板側面や脚部分に暈繝が施された「粉地彩絵八角几」=正倉院紀要第48号より

 同事務所が22日、「正倉院紀要第48号」で発表した。暈繝は、色をぼかさず同系統の色を塗り分けて華やかに装飾する奈良時代の代表的な彩色技法。正倉院宝物にも多く用いられ、これまで個々の宝物で調査されたことはあったが、複数の宝物を総合的に調べるのは初めてだという。香炉台「 漆金薄絵盤うるしきんぱくえのばん 」や献物用の台「 粉地彩絵八角几ふんじさいえのはっかくき 」など工芸品15件の暈繝計約80か所を対象に、顕微鏡による観察や赤外線撮影、蛍光X線分析などで彩色材料や配色を確認した。

「粉地彩絵八角几」の脚部分の拡大写真。花模様の青色部分に赤紫色が重ねられている=正倉院紀要第48号より
「粉地彩絵八角几」の脚部分の拡大写真。花模様の青色部分に赤紫色が重ねられている=正倉院紀要第48号より

 調査の結果、暈繝は1か所あたり2~5段階の色で構成され、青、赤、緑、紫の系統色ごとに顔料や染料など7、8種類の色の彩色材料が使われていた。「粉地彩絵八角几」の脚部分に描かれた花模様や天板側面の暈繝は、青い鉱物から作られた絵の具にラックカイガラムシの分泌物を使った赤紫色の「ラック」を塗り重ねて濃い青色を表すなど、肉眼では見分けにくい繊細な色遣いで表現されていた。

「粉地彩絵八角几」の天板側面の拡大写真。青い部分に濃淡がみられる=正倉院紀要第48号より
「粉地彩絵八角几」の天板側面の拡大写真。青い部分に濃淡がみられる=正倉院紀要第48号より

 調査を担当した正倉院事務所保存課保存科学室の職員、鶴真美さん(38)は「細かいグラデーションを丁寧に塗り分けている。暈繝は仏像や建築などに幅広く用いられたが、 剥落はくらく や退色が進んでいるものも多く、調査結果は今後の文化財の修理や復元に役立つ基礎資料になる」と話す。

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