世界中の注目を集める米音楽界の最高峰の栄誉「グラミー賞」…自己申告制で米業界関係者が投票

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 米音楽界最高の栄誉とされる第68回グラミー賞の候補が発表され、ラッパーのケンドリック・ラマーさんが8部門、九つのノミネートを獲得した。古くはビートルズ、近年はビヨンセさんと、時代を象徴するミュージシャンたちが受賞してきた権威ある賞だが、そもそも誰がどのように選ばれ、米国1国のものでしかない音楽賞がなぜ、世界中の注目を集めるのだろう。

自己申告制 第一線のプロが投票

 「大衆が判断するのが音楽チャートなどに入る『売れている曲』、第一線のプロが判断するのが賞、ということになります」。2023年にグラミー賞の最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を受賞した作編曲家の宅見将典さん(46)は説明する。主に米国のミュージシャンや音楽制作者が投票して選出するため、大衆の支持を得た音楽はもちろん、プロの目にかなった質の高い音楽が選ばれることが最大の特徴であり、権威の源泉でもある。

 第1回グラミー賞は1959年。当時、映画にはアカデミー賞、テレビ界にはエミー賞があり、音楽賞も、という動きから新設された。ミュージシャンやプロデューサーら音楽関係者が会員の米国の団体「レコーディング・アカデミー」が主催し、グラミーという名前は、蓄音機の「グラモフォン」に由来する。

 選考中の第68回を例に選出までの流れを紹介すると、選考対象となる音楽はエントリー(自己申告)制で、グラミー賞の投票メンバーか、レコードレーベルなどメディア企業が昨年8月31日~今年8月30日の間に発表された作品から基準を満たすと判断した作品やアーティストを推薦する。10月3~15日には投票メンバー(第67回は約1万3000人)が1次投票を行い、各賞のノミネート作品を選出。11月7日に各賞のノミネート作品が発表され、12月12日~来年1月5日の最終投票で各賞の受賞者を決定。2月1日の授賞式で発表される。

突然の脚光も

 賞の部門は、時代に合わせてたびたび変更されている。主要部門だけを見てみても、従来の「最優秀レコード」「同アルバム」などに、第66回(授賞式は2024年)からは「最優秀プロデューサー(ノン・クラシック)」「最優秀ソングライター(同)」が追加され、主要6部門になった。

 ほかにもロック、ラップ、ジャズなどジャンルごとに賞があり、第68回は計90部門以上。世間にあまり知られていない音楽が、突然受賞して世間を騒がせることもある。

授賞式当日 スター共演のショー

 もう一つの魅力は、授賞式のパフォーマンスだ。今年2月の第67回ではビリー・アイリッシュさん、スティービー・ワンダーさんらそうそうたる顔ぶれが出演した。宅見さんが受賞を目指すようになったのも、11年の授賞式で大スターたちのパフォーマンスに圧倒されたからだという。「一人で東京ドームでライブができるアーティストが5分ごとに入れ替わり、日本では考えられない規模の演出で演奏する。人生を変える力があるショーだ」と力説する。

 米国のグラミー賞が世界から注目されるのはなぜか。宅見さんは「アメリカは移民が多いため競争も激しく、文化そのものがどんどん研ぎ澄まされていくという背景がある。どんな音楽にもジャンルや人種を超えて価値を伝えようとする姿勢が貫かれており、そんな音楽の頂点に立つことが、世界的権威につながっているのでは」と解説する。

 日本では今年、音楽関連5団体が「日本版グラミー賞」とも呼ばれる「MUSIC AWARDS JAPAN」を創設した。本家のような権威を得るためには、日本ならではの価値観を打ち出す必要がありそうだ。

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