[週刊エンタメ]STORY・ASIAN KUNG―FU GENERATION ロックバンド<3>次代思う「新スタジオ」 社会への視線と行動

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 静岡県藤枝市。江戸時代、東海道の宿場町として栄えたこの地の一角に、今年3月、新しい音楽スタジオ「MUSIC inn Fujieda」がオープンした。

 「経済的に余裕のない若手ミュージシャンでも、気軽に使えて挑戦できる場を」。築130年の土蔵をリノベーションしたスタジオには、後藤の次世代への思いが込められている。プロジェクトは、後藤が設立したNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」が主導した。藤枝市は、後藤の故郷の島田市に隣接し、地元の友人も設立に協力した。喜多は「ゴッチ(後藤)は音楽の未来を考えて行動している。アジカンとして力になれれば」と心を動かされたという。

「MUSIC inn Fujieda」での制作のワンシーン。(奥から時計回りに)伊地知潔、喜多建介、後藤正文、山田貴洋
「MUSIC inn Fujieda」での制作のワンシーン。(奥から時計回りに)伊地知潔、喜多建介、後藤正文、山田貴洋

 このスタジオで作られたのが、4曲入りの新作「フジエダ EP」だ。<今日にも歩みを止めてしまえよ そういうわけには行かぬ>と歌う「膝栗毛」には、現実を受け止め、それでも行動することをやめてはいけないとのメッセージを込める。一方、「おかえりジョニー」では、「郷愁みたいなものを楽曲にしたい」(後藤)と、ミドルテンポで温かみのあるサウンドを鳴らす。藤枝での音楽制作について、後藤は「静岡で過ごした『後藤正文』と、アジカンを始めてからの『ゴッチ』の距離が縮まった感じ」と回想している。

 スタジオの特長は、天井が高い蔵の造りをいかした響きの良さ。伊地知は「ドラムの残響がちょうど良い。藤枝でしか れない音があるので、一度来たドラマーはまた録りたいと思うんじゃないかな」と称賛する。山田も「新スタジオでのレコーディングはなかなか味わえない。それでいて、いつものようなレコーディングもできる」と気にいったようだ。

 バンドとして、音楽を通じて社会と関わってきた。東日本大震災の被災地との交流は今も続く。宮城県で開催されている音楽フェス「アラバキ・ロック・フェスティバル」には何度も出演。来年に予定されているツアーでは、昨年にフェスで足を運んだ岩手県大船渡市も会場になる。

 4月のライブでは、2024年1月の能登半島地震で被災した木材を使って作られたギターを携え、ステージに上った。バンドを始めた当時に手にしたギターをモデルにしたという、思い入れのある1本だ。

 「いい大人になったわけだし、若い人がのびのび音楽をやる環境作りも含め、いろんな役割を担っていければ」と後藤は語る。社会にまなざしを向け、行動し続ける。それも、アジカンが作り出す音楽の一部かもしれない。(宍戸将樹)

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