ライダー出身、押田岳さんが特設テントで芝居
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俳優の押田岳さんが寺山修司のお芝居で主演する、しかも上演場所は特設のテントと聞いて興味を引かれ、話を聞いてきた。押田さんは、2018年放送の「仮面ライダージオウ」で2番手のライダー、ゲイツに変身する明光院ゲイツを演じた。その後、日本テレビ主催の舞台「西遊記」や「巌流島」に出演された際に何度かインタビューをした。彼の角度から見た物語についての語りは、芝居の奥行きを感じさせてくれて、刺激的で面白い。今回も楽しみに稽古場に伺った。

上演されるのは、赤坂芸術祭2025のメイン公演として、5日に赤坂サカス広場特設紫テントで幕を開ける「血は立ったまま眠っている」(演出・中屋敷法仁)だ。1960年に浅利慶太演出で初演された寺山の「処女戯曲」で、安保闘争が激化した時代を背景に、革命を夢見る若者たちの姿が描かれる。この芝居で押田さんは主役の青年、良を演じる。
押田さんは「戯曲もテントでの芝居も初めて。役者としてのチャレンジです」と語る。長い

60年安保の時代のテロリスト志願の若者という役どころは、平成生まれの20代にとって遠い存在に見えるが、「時代は違えど、若い男が『何かを成し遂げたい』『自分の存在感を示したい』と切望してもがく姿は、今に通じる」と分析する。「SNSで誰もが発信する現代は、自己表現がうまくできずにコンプレックスを抱く人が、むしろ増えた。今、この作品を上演するのには意味があると思う」と力を込める。
役が決まる少し前に、たまたま学生運動の経験がある人に話を聞く機会があった。大変だった経験を語ると思いきや「(運動への参加は)楽しかった」と総括され、「え、そうなの?」と拍子抜けしたそうだ。その経験を踏まえ「実は、良もイデオロギー的なことはよくわかっていないのではないか。『祖国を愛している』という台詞があるけれど、むしろ『祖国を愛していると話す自分が好き』ということのような気がする。そんな部分は大事にしたいし、かわいいな、と思う」と話す。

寺山作品をリアルタイムで見た世代にはもちろん、自分と同世代の若い人たちにぜひ芝居を見てほしい。「テントで、寺山作品で、タイトルに『血』が入っているから、重くて仰々しい芝居、と思われがちだけれど、いい意味での『アングラ演劇』を、気軽に楽しめる機会だと思うので」と笑顔を見せる。テントの会場では、舞台と客席の距離も近い。「お客様の反応がダイレクトに伝わる。お客様も一緒に芝居に参加している気持ちが味わえるはず」と前向きに語る。
初演の60年、高度経済成長の道をひた走る日本には、まだ高層ビルも高速道路も、そして新幹線もなかった。時間は、今よりゆっくり流れていたのかもしれない。皆がスマホを片時も離さず、情報を追い、情報に追われ続ける令和の時代に、あの時代の若者たちの物語は何を伝えるのか。平成生まれの若者たちが、ひりひりするようなあの時代をどう表現するのか。幕が開くのが楽しみである。なお、「アングラ演劇」は「長い」というイメージがあるが、本作の上演時間は1時間半程度とのこと。芸術の秋に、スマホを切ってテントで芝居を見るのも一興ではないか。特撮党的には、共演が映画・ドラマ「牙狼」シリーズで魔戒法師カインを好演した武子直輝さんであることも書き添えておく。上演スケジュールなど詳しくは こちら 。





























