2大スーパー戦隊が目の前で、変身前の俳優たちも…「聖地」でヒーローショー

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 アカレンジャーのマントが翻り、ゴジュウウルフがポーズを決める。スーパー戦隊が目の前で戦う姿に、こみ上げてくる感情があった。先日、東京ドームシティ・シアターGロッソで開催されている「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーショー第4弾『これが最後の戦いだ! ファイナルナンバーワンバトル! レディ、ゴー!』」を見に行った。2月8日のゴジュウジャー最終回をもって、50年の歴史にいったんピリオドを打ったスーパー戦隊シリーズ。50年間、戦隊があるのが当たり前と思って生きてきた1人の特撮ファンとしては、「戦隊がない世界」の始まりに少なからぬ「ロス」を感じていた。でも、ここヒーローショーの「聖地」では、カラフルな戦士たちが変わらぬ姿で戦っている。さらに今回のショーは「素顔の戦士特別公演」なので、ゴジュウジャー変身前の俳優たちも出演している豪華版なのだ。

名乗りをあげるゴジュウジャー
名乗りをあげるゴジュウジャー

 開幕と同時に、黒十字軍の大幹部、火の山仮面マグマン将軍らがいきなり舞台になだれ込んでくる。会場の子供たちを守るため「待て!」と登場するのは、初代「秘密戦隊ゴレンジャー」の5人だ。5人が名乗りをあげると拍手が湧き起こる。そこに、たたみかけるように素顔の戦士たちが登場してくる。ゴジュウウルフに変身する遠野吠(演・冬野心央さん)、ゴジュウレオンの百夜陸王(演・鈴木秀脩さん)、ゴジュウティラノの暴神竜儀(演・神田聖司さん)、ゴジュウイーグルの猛原禽次郎(演・松本仁さん)、ゴジュウポーラーの熊手真白(演・木村魁希さん)と、一河角乃が変身したゴジュウユニコーン(声の出演・志田こはくさん)の6人の登場に、客席のボルテージは一気に頂点に達する。さらに、ゴジュウジャーの敵、ブライダン特攻隊長ファイヤキャンドル(演・三本木大輔さん)も加わり、豪華な布陣に広いはずの舞台が狭く感じられる。

初代のゴレンジャーも登場する
初代のゴレンジャーも登場する

 素顔の5人がポーズをとって「エンゲージ!」と叫ぶ。光と影が一瞬交錯した後、明るくなったステージには変身後のゴジュウジャーが並ぶ。この変身場面には、子供たちだけでなく、大人たちからも、どよめきと拍手が湧き起こる。だって目の前で本当に「変身する」のだから。色々な戦隊のショーで何度見てきても、私はこの場面でちょっと涙がにじんでしまう。なぜならこの瞬間「戦隊は本当にいる」と思えるから。

素顔の戦士たちは大人気だ
素顔の戦士たちは大人気だ

 アクションシーンも、ゴレンジャー時代の小ネタがはさまれたり、高所から華麗に飛び降りたり、ワイヤーアクションがあったり、全く飽きさせない。ヒーローショーの神髄ここにあり、である。

 その後、 紆余うよ 曲折あって、舞台には厄災・パラドクスが出現する。この強敵はゴレンジャーを消し去り、ゴジュウジャーたちも大ピンチに陥る。となれば、場内一丸となって、追い詰められたゴジュウジャーに声援を送るしかない。こちらも子供たちの邪魔にならないよう、つぶやき程度の小声で「がんばれ-」と参戦してみる。

いつも明るい禽ちゃん
いつも明るい禽ちゃん
厄災と戦う真白
厄災と戦う真白

「テガソードさま!」の竜儀
「テガソードさま!」の竜儀
スーパーアイドルの笑顔を見せる陸王
スーパーアイドルの笑顔を見せる陸王

 旧後楽園ゆうえんちの野外劇場時代から番組とともに歩んできた、「ヒーローショーの聖地」ならではの演出もあいまって、応援していると自分がこれまで放送されてきた49のスーパー戦隊とともに戦っているような気持ちになり、また少し涙が出てしまう(笑)。なんだか泣いてばかりだ。でも、前向きな、自分も頑張って生きていこうと奮い立たせてくれる前向きな涙だ。

 色々あって、全員が勢ぞろいしての大団円には、会場から万雷の拍手が湧き起こる。お客さんもステージ上の素顔の戦士たちも、皆、笑顔満開である。

客席に呼びかける吠
客席に呼びかける吠
迫力あるアクションを見せるファイヤキャンドル
迫力あるアクションを見せるファイヤキャンドル

 「聖地」だなあ、と改めて思う。30分程度と短いショーだが、元気と勇気が詰まった物語と迫力あるアクションを、これほど間近で見ることが出来るのは、世界でも珍しいのではないか。戦隊が終わっても、ずっと先まで残していきたい大事な場所であり、大事なヒーローショーである。

 公演後にも、まだお楽しみはある。Gロッソのあるジオポリス地下1階には、テレビに登場してきたテガソードのコックピットが特設されており、有料で写真撮影ができる。撮影で使った本物を借りてきたそうだ。ポップアップショップでは限定商品も販売されている。さらに、公演日には劇場前で、ジャパンアクションエンタープライズ(JAE)所属のスーツアクター、藤田洋平さんが仲間たちと、番組にも登場した「フジタイヤキ」のキッチンカーで、たい焼きを販売している。私が訪れた日にはスーツアクター仲間の森博嗣さんも販売スタッフとして働いていた。こうしたアトラクションは、戦隊50年に感謝を込めて用意されたもの。そんな関係者の気持ちも、戦隊ファンとしてはうれしい。

 ショーは3月22日までの土、日、祝日に開催されている。子供や「大きいお友達」はもちろん、「戦隊はとっくに卒業した」という大人たちにもおすすめである。ぜひ、Gロッソで、ヒーローがまとう空気を体感してほしい。

プロフィル
鈴木 美潮( すずき・みしお
 読売新聞事業局記者。1989年入社。政治部、文化部、メディア局編集委員、教育ネットワーク事務局専門委員などを経て現職。日本テレビ「イブニングプレスdonna」(キャスター)「ラジかる!!」(コメンテーター)「PON!」(同)や、ラジオ日本「美潮シネマズ」などに出演。特撮ヒーロー(特に仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズ)が大好きで特撮関係者を招いてのイベント「340(みしお)Presents」を2003年より主宰。著書に「昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか」(集英社文庫)、「スーツアクターの矜恃」(集英社インターナショナル)。また、美空ひばりさんの大ファンで、2021年は33回忌法要ツアーの司会を務めた。読響アンサンブルシリーズプレトーク司会も担当している。

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