カキ足りない年末、大量死の影響でお歳暮や飲食店は提供見合わせも…広島では影響額300億円規模か
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全国の生産量の8割を占める瀬戸内海のカキを巡り、大量死の影響が拡大している。お歳暮やふるさと納税の受け付けが相次いで止まり、提供を一時見合わせる飲食店も出ている。広島県での影響額は300億円規模に達するとの推計もあり、岡山、兵庫両県でも危機感が広がる。苦境を受け、生産者を支援する動きが始まっている。(広島総局 荒川紘太)

苦渋の決断
〈今後の産地の収穫状況により、商品の内容が一部変更になる場合がございます〉。広島市中区の百貨店「福屋」のお歳暮コーナーに12月上旬、「『
生産量日本一を誇る広島県では、カキは人気のお歳暮商品だが、同店では、生ガキの商品約25種の受け付けを12月11日までにすべて締め切り、現在は冷凍のカキフライなど加工品のみを扱う。十分な量の入荷が見込めないためで、同店は「楽しみにしていた方にご迷惑をおかけしている」としている。
飲食店にも影響が広がる。
神戸市兵庫区の洋食店「洋食の赤ちゃん兵庫南」では例年、広島市内の水産会社から生ガキを仕入れ、11~2月にカキフライを出していたが、今年は十分な入荷量が見込めず、提供を見送っている。岩朝弘道社長(55)は「広島のカキは身に厚みがあり、味もいい。広島の生ガキにこだわりたい」と理解を求める。
広島市西区で複数の養殖業者が共同で経営する「草津かき小屋」では、11月1日のオープン以来、生ガキだけでは足りず、冷凍のカキも初めて提供している。生ガキよりも焦げやすいため、鉄板の上で水をかけてふたをする「蒸しガキ」に調理法を変更して対応しているという。

さらに拡大も
カキの産地には、養殖業者だけではなく、養殖に使ういかだやワイヤなどを扱う業者など関連業者も少なくない。東京商工リサーチ広島支社は、今回の大量死により広島県内への影響額は300億円規模になると推計している。
兵庫県は、被害規模を把握するため、県内の8漁協を対象に聞き取り調査を実施中だ。県によると、生き残ったカキの生育も思うように進まず、被害がさらに拡大することも懸念されているという。県水産漁港課は「カキ存続のためにも、手を打たなければ」と危惧する。
岡山県も、各漁協に12月末までのカキの生産量の報告を求める予定だ。
ふるさと納税の返礼品で生ガキの取り扱いをやめる自治体も相次ぎ、広島県内では呉市や東広島市など5市町が12月16日までに中止した。広島市なども一部を停止している。呉市では、昨年度の寄付額約9億9000万円のうち、約3億円がカキを返礼品とする寄付だった。市収納課の西本英司課長は「今後、大きな減収につながる可能性がある」と語った。
支援始まる
広がる影響に支援の動きが出始めている。岡山県瀬戸内市は、12月8日から「かき養殖事業者応援プロジェクト」として返礼品のないふるさと納税の受け付けを始めた。1000円から寄付が可能で、事務経費を除いた額を市内のカキ事業者に分配するという。
農家や漁師などが出店する通販サイト「食べチョク」では、「瀬戸内海の牡蠣大量死被害支援プログラム」を10月末にスタート。出品している養殖業者からカキを購入すると、1点につき300円が生産者に寄付されるといった仕組みだ。
1か月間で広島、岡山、兵庫3県の7業者に計約70万円の寄付が寄せられた。同サイトを運営する「ビビッドガーデン」(東京)の広報担当者は「支援の取り組みが、産地の再建に向けた後押しになることを祈る」と話した。
瀬戸内海に被害集中
瀬戸内海では10月以降、本格的に養殖カキの水揚げが始まったが、殻が開いて死んでいるカキが目立っている。
都道府県別の生産量の上位5県は広島、宮城、岡山、兵庫、岩手で、トップの広島県のシェアは6割超になる。水産庁などによると、広島県では多い地域で9割、兵庫県はおおよそ5~8割が死滅。岡山県でも被害の大きい地域では死滅の割合が7割に達していた。
猛暑による海水温の上昇や、梅雨明けが早く海水の循環が乏しかった影響で海中の栄養が不足していたことなどが原因として指摘されているが、宮城県など瀬戸内海以外の産地では目立った被害は確認されていない。
11月に広島県内の養殖業者を視察した鈴木農相は原因の究明を進める考えを示している。


























