中東情勢が住宅建築にも影、シンナーや塗料が品薄・高騰…業界団体「政府発表と現場の供給網には大きな乖離」
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中東情勢の影響が国内の建設現場でも拡大し始めた。ナフサ(粗製ガソリン)由来のシンナーを中心に、資材の品薄や価格高騰に直面する塗装業界団体は14日、政府に支援を求める要望書を提出した。中長期化すれば、住宅建設やインフラ整備の遅れに波及しかねない「危機的な状況」としている。(田辺研吾、下里雅臣)

「発表と乖離」
「政府発表と現場のサプライチェーン(供給網)には大きな
塗装工事の現場ではシンナーや塗料、ビニール、プラスチック製品の入手が極めて困難となり、「(石油の)備蓄放出や代替調達の効果がメーカーや販売店、工事業者まで確実に行き渡る」ように求めた。
同工業会が今月6~10日、会員に行ったアンケート調査(回答850社)では、シンナーが「手に入らない」と答えた事業者は55・1%に上った。塗料も8・3%、シートやテープなどの副資材も15・9%の事業者が入手できていない。とりわけ価格高騰が際立つシンナーは、「1・5~2倍」に値上がりしたとの回答が半数を占めた。

シンナーは、塗料の粘度を下げて塗りやすくする希釈や、道具洗浄などに使われ、塗装には不可欠な素材となる。同工業会の加藤憲利会長は14日の記者会見で、「状況が悪化し、死活問題だ。小規模事業者も多く、早急な対応が必要だ」と強調した。
流通目詰まり
政府は現状、国内でのナフサやシンナーの供給量自体は足りているものの、流通段階で目詰まりが生じているとの立場だ。赤沢経済産業相は14日の会見で、供給網の「上流域」にあたる石油化学メーカーがシンナーの原料となるトルエンやキシレンを、前年実績並みに供給できると強調した。
一方で「中流域」となる一部のシンナーメーカーが卸売業者向けの出荷を4月に半減し、「下流域」の建設現場で不足が顕在化したと説明。赤沢氏は「日本全国に(解消に向けた)『お触れ』を出した。これで解消すると見込んでいる」と自信を示した。
受注停止も
だが、住宅業界では、TOTOが13日からユニットバスの新規受注を停止している。LIXILも14日から「納期未定」と顧客に回答しているという。塗料やユニットバスが調達できなければ、住宅建築の工程自体が滞りかねず、塗装工業会のアンケートでも回答社の8割以上が「工期遅延」への懸念を示した。

戸建て住宅大手幹部は「元から在庫が1か月程度しかない製品もある。供給制限が続けば、5月中旬以降に工期の延長などが生じる可能性がある」と話す。
塗装工業会の会員企業の多くは、年間の完成工事高が1億円未満の中小規模事業者で、元々、在庫を持つ余裕がなかったことも裏目に出ている。塗料は、橋や道路、鉄塔などのサビや腐食、ひび割れなどを防ぐ機能も持つ。加藤氏は「塗装できないことで、住民の安全や安心にも大きな影響が出てくる」と話す。
ニッセイ基礎研究所の渡辺布味子氏は「工事が完了しなければ売り上げが立たず、長期化すれば倒産の危険性も出てくる。事業継続のために石油製品の安定供給を急ぐべきだ」と指摘している。


























