[LEADERS]新社名 100年先の海を見据え…ウミオス会長最高経営責任者(CEO) 池見賢氏 68
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水産大手マルハニチロが3月、社名をUmios(ウミオス)に変更した。本社も移転し、「生まれ変わり」と位置づける変革に取り組んでいる。池見賢会長に聞いた。
マルハとニチロ 縦割り意識を解消
<かつて捕鯨事業も手がけ、プロ野球チーム「大洋ホエールズ」を所有していた業界最大手のマルハ。冷凍食品の「そばめし」、さけ缶詰などのヒット商品で知られるニチロ。歴史ある両ブランドの幕引きを決断した>
当社の売上高は1兆円あまり。そのうち半分くらいを水産物で稼いでいます。水産物は良質なたんぱく源として注目されており、世界の1人当たり消費量は50年間で約2倍に伸びています。
ただ、温暖化や乱獲などで天然資源の先行きは心配な状況です。人口増に伴い、需要もさらに伸びる可能性が高い。「地球環境を視野に入れ、会社を運営しなきゃいけない」という認識を浸透させるため、社名変更の検討を始めました。
マルハとニチロが経営統合したのは2007年ですが、縦割りの意識が残ったままで、力を生かし切れていないという問題意識もありました。本当の意味で一つになるため、社名から両社の名前をなくそうと考えたのです。
取締役からは「費用に見合う効果が得られるのか」という反対意見もありました。でも、全国の拠点を回って従業員と話をする中で「会社を変えなきゃいけない」という思いを共有でき、社名を変える決意が固まりました。
社外取締役からは「新社名には日本語を入れよう」と提案されました。面白いアイデアだと思い、候補の言葉を色々並べてみると「海」が一番ピッタリきた。そこに社会と一体になる意志を示す「One」、食を通じて人も地球も健康にしていこうという決意を込めた「Solutions(解決)」の頭文字をつけてUmiosとしました。
なくなるブランドを惜しんでくれるお客様もいましたが「マルハもニチロも捨てたわけじゃない。全部『海』の中に入っているんです」と説明しています。
ソロモン赴任 缶詰が地域経済支える

<大学卒業後、後のマルハとなる大洋漁業に入社した>
とにかく「海外に行きたい」と思っていたので、就職活動では総合商社を回っていました。そんな時に大洋漁業に就職した1年上の先輩から「うちには(海外拠点が)いっぱいあるよ」と声をかけてもらいました。漁場確保のため、南米からアフリカ、南太平洋、アジアまで各地に合弁会社があるんです。人事面接でも「海外ならすぐ行けるよ」と言われ、すごく魅力的に感じて入社を決めました。
希望がかない、半年後には「ちょっと勉強してこい」と西太平洋のパラオに送り出されました。3か月くらいかけ、缶詰工場の仕組みなどを学びました。
1986年からは同じ太平洋のソロモン諸島に赴任しました。現地には、ジャングルを切り開いて水揚げの基地が作られていました。基地を拠点に、沖縄県の伊良部島から来てもらった100人ぐらいの船員さんたちがカツオを一本釣りでとってくるんです。それを輸出するため、かつお節工場や缶詰工場をつくる仕事に携わりました。
私たちの事業が、ソロモン諸島経済の3割くらいを支えているというシンボリックな取り組みでした。2回に分けて計7年現地に駐在しましたが、楽しかったですね。
タイにも駐在し、ペットフード事業を大きくしました。血液成分の多い筋肉を「血合い」と言いますが、この部位を活用したんです。
ペットは家族の一員で、良い物を食べさせてやりたいという飼い主は多い。安物ではなく、人が食べるのと同じ魚を使った商品が米国などでよく売れました。
ペットフードの方が、人間用のツナ缶より3割くらい高い値段がつくようになり、途中から全てペット用に切り替えました。トッピングにかつお節やシラス、エビなどを添えた商品も出しました。
どこで水揚げして、どこの工場で加工したか分かるトレーサビリティー(履歴管理)をきちっとしていたから、プレミアム商品として差別化できたのだと思います。


























