「能登に元気を」箱根路から届けた…順天堂大・井上朋哉、走りで示した故郷への思い
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青学大が大会新記録で3年連続9度目の優勝を飾った第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)。王者が圧巻の強さを示したレースの裏側で、能登半島地震からの復興途上にある故郷に元気を届ける決意を胸に好走したルーキーがいた。また、大企業を退社して箱根路出走の夢を実現したランナーもいた。箱根駅伝のもう一つの物語「アナザー・ストーリー」を紹介する。

順天堂大3区・井上朋哉(1年)
故郷は、能登半島地震で被災した石川県中能登町。「みんなに元気を与えられるような走りがしたい」と誓い、3区へ飛び出した。沿道に駆けつけた地元の同級生らの声援を後押しに、2人抜きの区間4位で6位に浮上。チームの総合3位に貢献し、「すごく楽しかった」と笑顔がはじけた。
石川・中能登中3年時にエースとして全国中学駅伝3位の立役者となり、卒業後は地元を離れて京都・洛南高に進んだ。当時2年生だった2年前の元日は帰省中で、中学時代の仲間と自主練習に励んでいた公園で、激しい揺れに襲われた。
周辺では大きな被害がなかったが、当日は近くの友人宅に避難した。一夜明けて迎えに来た家族とともに帰宅すると、近隣では多くの家屋が倒壊し、自宅前でも地割れが発生するなど、風景が一変。「忘れられない経験になった」と振り返る。
衝撃の大きさに沈みかかった心を奮い立たせたのは、テレビ観戦した3日の箱根駅伝復路で、城西大の6区を任された石川県出身の久保出雄太(当時3年、現中国電力)の力走だった。
同好会から途中入部を認められ、区間13位ながらチームの3位を死守した同郷選手の奮闘に、「すごく『頑張れ』って応援したくなる走りをしていた。やっぱり箱根駅伝は影響力があり、多くの人に感動を与えられる大会なんだと改めて感じた」。同じ舞台を目指す決意はおのずと固まった。
翌日には公共交通機関がまひする中、中学時代の外部コーチ(当時)だった守山大介さん(47)に車で京都まで送り届けてもらい、チームに合流した。3月の世界クロスカントリー選手権U20の部で日本勢最上位の16位に入り、夏の全国高校総体5000メートルでは4位入賞。守山さんは「あの地震の経験が、井上を一回り強くした」と感じている。
念願の箱根路で見せた堂々の走りにも、5区区間新記録で青学大を優勝に導いた黒田朝日(4年)を引き合いに出し、「あれだけすごい走りをして、テレビにもいっぱい映っているので、自分はまだまだ。2、3、4年目と、もっといい走りをしていきたい」。箱根から故郷へ、さらなるエールを届ける。(西口大地)
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