【この人に聞きました】鳴子で感じる森の魅力、旅のチカラ
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SomeSpice合同会社 代表 齋藤理さん

父も祖父もエンジニア、鳴子温泉郷(宮城県大崎市)で旅行ガイドを務める齋藤
卒業後、システム開発に携わった会社に辞表を出したのは、高専時代に東日本大震災を経験したから、なのかもしれない。あの夜、停電で真っ暗になった空の向こうが赤く染まっていた。津波に襲われた港で火災が起きたと知ったのは、翌朝になってからだ。自然は時に人に牙をむく。しかし、癒やしや喜び、生きる力も与えてくれる。だから、森を大切にしなければならない。そんな思いが芽生えていた。
渓谷に刻まれた鳴子峡の絶景、大地の息吹を思わせる間欠泉、神秘のカルデラ湖、山々を覆うブナの原生林、火山が生んだ多彩な景観に魅せられた齋藤さんは27歳の時、鳴子温泉郷に移住。宿の主人、こけしや漆器職人、林業者など住民の地域おこしネットワーク「もりたびの会」に参加し、森の仲間とともにグリーンツーリズム、エコツアーなど持続可能な旅づくりを目指すようになった。
俳人・松尾芭蕉が歩いた古道のトレッキング、未利用の地域産材を活用した木質バイオマスの視察ツアー。温泉が湧き出る沢をたどりながら、放置ごみ回収など自然保護を学んだり、雪の季節には子供たちと楓の樹液からメープルシロップを作ったり。旅を通して、森の奥深さ、素晴らしさを知ってもらう。彼は新しい道への第一歩を踏み出した。
「旅は人生を彩るスパイス」と言う。主役は自然や人の営み。ガイドがそこに色と香りを添えれば、旅はかけがえのない記憶となる。昨年、ひとりで立ち上げたツアー企画・ガイド会社は「Some Spice」と名付けた。新たな挑戦は今、始まったばかりだ。
文/三沢明彦
この人に会いに行くには
東北新幹線古川駅から陸羽東線で40分。鳴子温泉郷は五つの温泉地からなる。とろり、さらさら、ぬるぬる、泉質は多彩で、白濁、青、茶褐色など湯色もさまざま。名産品の鳴子こけしは首を回すと、キイキイと鳴るのが特徴。木地に漆を重ねる鳴子漆器も味わい深い。
齋藤さんが鳴子の魅力を伝えるツアー
は、詳しくは、ベルトラの「
日本を
(月刊「旅行読売」2024年10月号から)

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