藤井聡太竜王と佐々木勇気八段の竜王戦七番勝負は後半戦へ…昨年の経験踏まえ、王者が力戦志向で対応

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 藤井聡太竜王に佐々木勇気八段が挑む第38期竜王戦七番勝負は、藤井竜王が開幕3連勝を飾った。このまま藤井竜王が5連覇して永世竜王資格を獲得するのか、佐々木八段が初タイトル獲得へ巻き返すのか。各局の立会人らが戦いの軌跡を振り返るとともに、第3局担当の久保利明九段と新聞解説の斎藤慎太郎八段がシリーズ後半戦を展望した。(文化部 星野誠)

第3局の対局に臨む藤井聡太竜王(左)と佐々木勇気八段(右)(10月31日、京都市の仁和寺で)=西孝高撮影
第3局の対局に臨む藤井聡太竜王(左)と佐々木勇気八段(右)(10月31日、京都市の仁和寺で)=西孝高撮影

第1局…藤井竜王が横歩取りで巧みな立ち回り

 増田康宏八段 佐々木八段が振り駒で後手番になって、横歩取りという意外な選択をされました。ただ、藤井竜王が▲3六飛と引き、▲9六歩~▲7七桂とやや珍しい駒組みにしたことで、佐々木八段の経験不足がたたってしまった。作戦選択が悔やまれるところです。

【第1図】
【第1図】

 深浦康市九段 それだけ竜王がうまい立ち回りを見せたということになります。特に印象的な一手は△3五飛に対しての▲7六飛(第1図)です。後手の飛車のポジションが悪いという判断の下、▲8四歩△8二歩の交換を入れずに8六の飛車を1マス寄った。大事な初戦にもかかわらず非常に落ち着いた王者の一手で、挑戦者の焦りを誘発したと言えるでしょう。

 増田 終盤でも▲1一飛成として香を取るのが普通のところで、じっと▲3七桂と跳ねた手がありました。昔から、藤井竜王は決めるときは逃さないですが、それ以外はこういう手堅い手を好むんですよ。手厚さは健在でしたね。

第2局…読みの入った△6三玉、つけ入る隙なし

 佐藤康光九段 佐々木八段は何でも指せる。戦型も多彩で、藤井竜王は対策が大変だと思います。ただ、本局に関しては挑戦者にとって不完全燃焼の一局となってしまいました。

 三枚堂達也七段 佐々木八段が前期完勝した第4局と同じ角換わり早繰り銀をぶつけたのに対し、藤井竜王は以前と違う対策を取った。作戦選択の幅が広がったことで、挑戦者にとってはタイトル奪取がより難しくなったと言えます。

【第2図】
【第2図】

 佐藤 藤井竜王はつけいる隙のない、ほぼ完璧な指し回しでしたね。最終盤、▲8二飛の王手に対して△6三玉(第2図)とかわした一手は特に印象的です。替えて△7二銀なら千日手模様、△5一玉なら逆転していました。ぱっと見△6三玉は危険で普通はありえないのですけど、本局の駒の配置だと見事にしのいで勝ちになっている。

 三枚堂 時間があったので、藤井竜王が△6三玉を指したことに驚きはありませんが、将棋の作りにあった美しい一手でした。

第3局…挑戦者が四間飛車を指しこなすも、終盤で一歩及ばず

 久保利明九段 佐々木八段が角道を止めた四間飛車にしたのは予想外でしたね。ただ、タイトル戦の大舞台に持ってくるだけあって、振り飛車党の私から見てもしっかり指しこなしていて感心しました。

【第3図】
【第3図】

 斎藤慎太郎八段 1日目は藤井竜王の方が駒組みに苦心していた印象です。2日目の再開後、△6五歩から佐々木八段が仕掛けていったのは棋風が出たのかなと。本譜の△4四角打(第3図)まで読んで行けるという判断だったのでしょう。善悪は別として、2日制らしい深い読みで構想を練ったと言えます。

 久保 第3図で検討してみると、▲3五歩は先手にとって怖い変化が多く、難しい局面でした。ただ、そこで▲6三成桂と強く踏み込んだのが藤井竜王らしい一手です。

 斎藤 △同銀には▲5五銀で先手玉が相当詰まなくなります。佐々木八段も2時間33分の長考で△3八竜と勝負手を繰り出しましたが、あと一歩及びませんでした。

佐々木八段、先手番の第4局で流れ変えられるか

 第1局は振り駒で後手となった佐々木八段が横歩取りに誘導したが、事前研究を生かせず敗れた。第2局は佐々木八段が前期第4局で快勝した角換わり早繰り銀をぶつけたが、またしても藤井竜王に狙いを外されて完敗。佐々木八段が再び後手となった第3局は意表の四間飛車に構えたが、藤井竜王が中盤で抜け出して押し切った。

竜王戦七番勝負の展望を語る久保利明九段(右)と斎藤慎太郎八段(1日、京都市の仁和寺で)
竜王戦七番勝負の展望を語る久保利明九段(右)と斎藤慎太郎八段(1日、京都市の仁和寺で)

 両対局者と親交のある第3局新聞解説の斎藤八段は、「昨年、同じ顔合わせで竜王戦を戦っているベースがある」と指摘する。前期七番勝負は通算4勝2敗で藤井竜王が防衛したが、結果以上に挑戦者の健闘ぶりが光った。その原動力となったのが、佐々木八段の深い事前研究だった。「昨年の経験を踏まえて、今年は藤井竜王がうまく対応している。佐々木八段としてはまた研究の成果を発揮できるかどうか」

 第3局立会人の久保九段は、過去15回のタイトル戦を戦ってきた中で1局目を重視してきたという。「挑戦者として行く場合、1局目を勝ってやっと五分だという気持ちがある」。その点、3連敗スタートとなった佐々木八段は厳しい状況に追い込まれた形だが、竜王戦では渡辺明九段が3連敗からの4連勝で5連覇を達成し、初代永世竜王の資格を獲得した前例がある。「第4局は佐々木八段の先手番なので少し気持ちが楽でしょう。1勝すれば流れが変わる可能性もある」

 第4局は12、13日、京都市の京都競馬場で行われる。

 主催=読売新聞社、日本将棋連盟

 特別協賛=野村ホールディングス

 協賛=東急グループ、UACJ、旭化成ホームズ、あんしん財団、日本中央競馬会

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