[記者が震えた竜王戦名勝負]<2>丸山九段の意地、藤井二冠を止める
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第33期 本戦3回戦 藤井聡太二冠-丸山忠久九段

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棋聖、王位のタイトルを得た藤井二冠は竜王戦でも挑戦権争いの本命と見られていた。本戦3回戦で立ちはだかったのは、名人経験者で竜王挑戦3回を誇る丸山九段。千日手指し直しという展開になり、長考派である藤井二冠は持ち時間を大きく削られ、苦労する。「時間戦略」も丸山九段の頭の片隅にあったはずだ。指し直し局で、丸山九段は完璧な指し手を披露し、藤井二冠を破った。終局後、ずっとうなだれていた藤井二冠。悔しさをあらわにした。強烈な闘争心を対局室に放ち、「強くなること」への執着を感じさせた。
対局の模様を8月20日から7回にわたって読売新聞に掲載された観戦記とともに振り返る。
第1譜

(先)棋聖 藤井聡太 × 九段 丸山忠久
▲2六歩 206 △3四歩 61
▲7六歩 … △8八角成 …
▲同 銀 … △2二銀 …
▲4八銀 … △6二銀 …
▲3六歩 … △6四歩 …
▲2五歩 … △3三銀 …
▲3七銀 … △6三銀 …
▲6八玉 … △5四銀 …
▲7八玉 … △4四歩 2
▲5八金右 … △8四歩 …
▲7七銀 … △9四歩 1
5時間(△1時間04分 ▲3時間26分)22手
千日手
「駒は一回しまうのですか」。真っすぐな瞳が話しかけてきた。とっさに言葉が出ず「えぇ」と小さく返すのが精いっぱい。50に手が届こうかという年で高校生の質問にドギマギするとは。そう、この青年は皆を魅了する空気をまとっているのだ。
最年少タイトルホルダーとなった藤井聡太棋聖の竜王戦本戦は、千日手と波乱の幕開けに。
先手となった丸山。得意の「角換わり」へと進むも「腰掛け銀」や「早繰り銀」ではなく、なんと「棒銀」を選択。めったに見ることのない「先手角換わり棒銀」に藤井も戸惑ったか、序盤から時間を使わされる展開となった。中盤、図から丸山が交換した銀を6五に打ち、△4三角▲7四銀△5四角▲6五銀が繰り返され、千日手が成立。先手の模様が良くも見えるが「▲1六歩は得をした一手。だが、その歩があるので▲1六角と出る筋がない。自信が持てなかった」という。
一度駒箱にしまわれた駒が、再び盤上で乾いた音を響かせる。再びといえば丸山のあいさつだ。朝、「お願いします」が大きく響いたが、2度目のそれも負けていない。気合みなぎる丸山が「一手損角換わり」へ誘導。得意戦法だ。(高野秀行)
=8月20日読売新聞朝刊より、肩書は当時


























