準備に手抜かり、一手の悪手で将棋は終わった…ランキング戦1組3位決定戦 永瀬拓矢王座×木村一基九段

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第1譜

ランキング戦1組3位決定戦
(先)九段 木村一基×王座 永瀬拓矢
▲2六歩 … △8四歩 …
▲2五歩 … △8五歩 …
▲7八金 … △3二金 …
▲3八銀 … △7二銀 …
▲9六歩 … △3四歩 …
▲2四歩 … △同 歩 …
▲同 飛 … △8六歩 …
▲同 歩 … △同 飛 …
▲8七歩 … △8四飛 …
▲2八飛 … △2三歩 …
▲7六歩 … △4二玉 …
▲4六歩 … △7四歩 …
▲4七銀 … △7三桂 …
持ち時間各5時間
△0時間01分 ▲0時間05分 26手

3位決定戦

 1組3位決定戦。ランキング戦で初戦から2勝した両者だが、ここで負けると決勝トーナメントには進めない。文字通り、生き残りをかけた戦いである。

 「1組は本戦に出るためのクラス。この一番が急所だと思っている」と対局前の木村。準決勝の羽生善治九段戦の時の永瀬はひどく体調が悪い様子だったが、この日は元気に現れた。「まだたまに熱っぽい感じはあるのですが、対局には問題ありません」と永瀬。栄養ドリンクや栄養補助食品などをしっかり盤側に並べて戦いに向かう。

 過去の対戦は永瀬が7勝、木村が4勝。両者は2021年の第69期王座戦五番勝負でタイトル戦を戦っている。3勝1敗で永瀬が制したが、白熱した戦いが続いた。

 「永瀬さんは長引くのを苦にしない人。こちらが我慢しきれなかった」という木村に、「どの将棋も苦しく、勉強になりました」と永瀬。互いの力を認め合った感想が残されている。

 受け将棋の両者の棋風を考えれば、渋い展開も予想されたが、この将棋は思わぬ経過から早々に戦いになる。そこに注目してご覧いただこう。(鈴木宏彦)

対局室に入る永瀬拓矢王座=若杉和希撮影
対局室に入る永瀬拓矢王座=若杉和希撮影

第2譜

ランキング戦1組3位決定戦
(先)九段 木村一基×王座 永瀬拓矢
▲3六歩 … △1四歩 …
▲1六歩 … △9四歩 …
▲5八玉 … △6四歩 …
▲4八金 … △6二金 …
▲3七桂 … △6三銀 …
▲2九飛 … △8一飛 …
▲5六歩 … △5四歩 …
▲2二角成1 △同 銀 …
▲6八銀 … △2四歩 …
▲6六歩 … △2三銀 …
▲6七銀 … △3三桂 …
▲4五歩 … 
持ち時間各5時間
△0時間03分 ▲0時間13分 49手

同形相掛かり

 本局解説者の佐々木勇気八段は永瀬より2歳年下で、永瀬とは小学生時代から交流がある。これまでに指した練習将棋は数百番になると言う。

 「永瀬さんはいつも少し先を行く先輩でした。よく覚えているのは、それまで振り飛車党だった永瀬さんが、五段時代に居飛車党に転向した時のこと。当時、よく2人で研究会をやっていたのですが、矢倉、角換わり、横歩取りなど、相居飛車の定跡を永瀬さんは1か月くらいでマスターした」と佐々木八段。「普通、振り飛車党の棋士が居飛車党になるには何年もかかるはずですが、永瀬さんは一瞬でした。あの努力はすごい」と続ける。その努力の延長線上に今の永瀬がいるわけだ。

 さて、相掛かり同形が本局のテーマである。

 「相掛かりは未開分野が多いが、本局の同形はその中でも、ごく最近注目されるようになった戦形。昔は、千日手模様とされていた局面にあらたな打開策が提示されていて、どちらも、そこに興味を持って進めたと思います」と佐々木八段は解説を続けた。指了図からの後手の構想に注目。誘導した木村にはある予定があった。だが、永瀬にも永瀬の予定があったのである。(鈴木宏彦)

襟元を直す永瀬王座
襟元を直す永瀬王座

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