「やってみたかった手」で勝ち切る…挑戦者決定三番勝負第1局 佐々木勇気八段×広瀬章人九段
完了しました
第1譜

挑戦者決定三番勝負第1局
(先)八段 佐々木勇気×九段 広瀬章人
▲2六歩 … △8四歩 1
▲2五歩 … △8五歩 …
▲7六歩 1 △3二金 1
▲7七角 … △3四歩 …
▲6八銀 … △7七角成1
▲同 銀 … △2二銀 …
▲4八銀 1 △3三銀 1
▲7八金 … △6二銀 …
▲4六歩 … △7四歩 1
▲4七銀 … △7三桂 …
▲6八玉 1 △6四歩 …
▲3六歩 … △4二玉 …
▲3七桂 … △6三銀 …
▲9六歩 …
持ち時間各5時間
△0時間05分 ▲0時間03分 27手

三番勝負始まる
激闘が続いた決勝トーナメントを勝ち抜いた2人。どちらも調子がいいだけに、忙しさも格別だ。広瀬は本局の前週3局の対局があった。その最後、7月26日の大阪対局が準決勝の山崎隆之八段戦である。熱戦を制して東京に帰ったのが同月27日。休む間もなく、29日には東京の将棋会館で挑戦者決定三番勝負第1局を迎えることになった。
厳しい日程は佐々木も同じだ。準決勝の佐藤康光九段戦に勝ったのが同月25日。広瀬―山崎戦で山崎八段が勝った場合はやはり29日に大阪で第1局が行われることになっていたから、関西遠征の準備もしながら対局結果を待つことになった。
「両者疲れはあるでしょうが、気持ちは張っているはず。第1局は準備期間が短いので、日頃の研究の積み重ねが重要になる。振り駒の結果も大きい」と本局解説の渡辺和史七段は指摘した。
記録係・木村友亮三段が振った5枚の歩は歩が2枚、と金が3枚。これで先手になった佐々木は一直線に角換わりを目指し、広瀬はそれに追随した。佐々木にはやりたい作戦があったのだ。それはやがて明らかになる。(鈴木宏彦)

第2譜

挑戦者決定三番勝負第1局
(先)八段 佐々木勇気×九段 広瀬章人
△1四歩 1
▲1六歩 … △8一飛 1
▲9五歩 4 △6二金 …
▲4八金 … △5四銀 1
▲2九飛 1 △4四歩 6
▲7九玉 4 △3一玉 …
▲5六銀 2 △6五銀 2
▲5五銀 … △4三角 …
持ち時間各5時間
△0時間16分 ▲0時間14分 42手

変貌
した佐々木
今年2月、佐々木は二つの大勝負を戦った。一つはNHK杯決勝の藤井聡太竜王戦、もう一つはA級残留をかけた順位戦最終局だ。「その二つの勝負に勝てたことで自分の中の気持ちが変わった」と佐々木。「少し前まではいい将棋を一生懸命指しても、なかなか勝ち切れない自分がいた。みんな強いから仕方ないという気持ちもあったが、それが変わった」と続けた。
少年時代から周囲に高く評価されてきた佐々木だが、周りを押しのけてでも一番になろうというタイプではなく、気の優しい一面があった。「バスケットボールでも、仲間を立ててゴールを決めてもらうスタイルです」と、高校時代から趣味のバスケを一緒にやっている渡辺七段は語る。その佐々木が今、初のタイトル挑戦に向けて燃えている。一番を目指す気持ちになったのだ。
先手は9筋の位を取って同形を外した。位を取らせて中央から動くのが後手の方針。△6五銀のぶつけから△4三角は定跡化された手順であり、広瀬自身、先後両方を持って指したことがある。佐々木はそれを承知の上で、あえてこの形に誘ったのだ。研究をぶつけようとしたのである。先手は次の△7六銀を防ぐ手が難しく、必然的に激しくなる。(鈴木宏彦)



























