都内の小中学校で「屋内プールシェア」の動き…熱中症対策で屋外プール廃止・管理担う教職員の負担軽減も
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東京都大田区は今年度から、区立小中学校の屋外プールを廃止し、近隣学校の屋内プールを共同で利用する「プールシェア」の整備を始める。猛暑による授業の中止を解消するとともに、教職員の負担軽減にもつなげる狙いがある。(高田悠介)

多くが築60年
区教育委員会によると、区内では公立小中学校(特別支援学校含む)全88校で、屋外プールを使用している。だが、その多くは築60年ほどが経過し、老朽化が進んでいる。プールを巡っては近年、猛暑の影響で熱中症になる危険性が高まり、授業を中止する回数が増加。プールの点検や清掃、水質管理を担う教員の負担増も課題になっていた。
こうした現状を受け、区教委は3月、学校プールの利用を見直す計画を策定し、共同で利用する「プールシェア」の導入を決めた。
計画によると、老朽化した小中学校46校の屋外プールは今後廃止し、小学校31校には、1キロ・メートル圏内にある「拠点校」に新たに整備する屋内プールを利用してもらう予定だ。他の小中学校13校は、民間のスポーツジムやスイミングスクールのプールで、残りの小学校2校は区営プールでそれぞれ授業を行う。
拠点校には中学校12校を指定し、屋内プールには、児童生徒の体格に応じて水深を調整できる可動式の床を備える。教職員の負担を減らすため、施設の管理や指導の補助を区水泳協会や民間のスポーツクラブに委託するという。
プールシェアの開始時期は未定だが、民間や区営のプールの利用校については施設側との調整が終わり次第、運用を始める方針だ。

一方、プールシェアの対象になっていない30校のうち、18校についてはプールの築年数が15年程度と比較的新しいため、大型の日よけを設置した上で、引き続き自校のプールを使う。残りの12校は地理的な理由で他のプールが使えないといい、今後、対応について検討を進める。
区によると、既設プールを維持管理するよりも、拠点校にプールを設けて複数校で利用した方が、半分程度の費用で済むといい、区教委の小野沢行平・教育施設担当課長は「プールシェアは、水泳の授業を維持できるだけでなく、経費の削減にもつながるため、メリットが大きい」と話す。
2024年に区営プールの利用を試験的に行った区立大森第五小学校の荻野友教諭(43)は「プールは他の学年も利用しており、授業が一度中止になると、日程の調整が大変だ。屋内ならその心配がなくなり、大きな負担軽減になる」と期待を寄せる。
世田谷、葛飾も
プールシェアは、都内の他の自治体でも取り組みが進んでいる。世田谷区は24年3月、区立小中学校のプールに関する利用計画を策定。今後、拠点校の小中学校7校に屋内プールを整備し、周辺の2~3校に利用してもらう予定だ。今夏から一部の学校で建設工事が始まるが、区は拠点校をさらに増やすため、計画の見直しを進めている。
葛飾区も、各学校が共同で利用できる屋内プールを区内に建設する予定で、28年10月から運用を始める。
鳴門教育大の松井敦典特命教授(水泳教育)は「水泳の授業はあくまで学校教育の一環だ。民間のインストラクターに任せきりにせず、教員がきちんと授業を主導していくことが重要だ」と指摘している。


























