【特集】セミナーハウスでのびのび学校生活…多摩大目黒
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多摩大学目黒中学校・高等学校(東京都目黒区)では運動系のクラブ活動が盛んだ。特に中学校男子サッカー部は全国大会で2度、ベスト8になるなど、都内有数の強豪として知られる。目黒駅から徒歩12分と都心にあるため、校庭に広い練習場を確保できないという制約はあるが、それを補っているのが横浜市青葉区に整備した約1万坪(3万3000平方メートル)の「あざみ野セミナーハウス」だ。生徒らのクラブ活動や勉強を支えるこの「秘密基地」を取材した。
週1回、学年別にセミナーハウスへ

東急田園都市線あざみ野駅。木曜日の午前8時5分、多摩大学目黒セミナーハウス行きの直行路線バスに、同じ年格好の生徒らが乗りこんでいく。セミナーハウスでの授業は中学生が対象。学年ごとに週1回、1年は火曜日、2年は木曜日、3年が金曜日と決まっている。だからこの日、バスに乗ったのは中学2年生だ。
駅から閑静な住宅街を抜け、小高い丘の上に立つセミナーハウスに着くまで約10分。バスの便は午前8時台の5分発、20分発、30分発、45分発の4本だ。学校は30分発までのバスに乗車するように指導している。最後のバスは「列車遅延時」などに利用する予備的なバスという位置づけなので、生徒も45分のバスを「遅刻バス」と呼んでいた。
帰りのセミナーハウス発も4本で、15時30分が始発で、次が16時発。さらにクラブ活動帰りに利用する18時30分発と19時45分発がある。中間や期末の試験1週間前になるとダイヤが変わり、16時10分が最終バスとなる。生徒に聞くと「目黒駅から学校へは歩きだけれど、セミナーハウスはバスで直行なので、徒歩0分。楽だし、とても便利」と喜んでいた。
2000坪の人工芝グラウンドでの体育

セミナーハウスの敷地には、バスケットコート2面分の広い体育館、冷暖房完備の教室・宿泊施設棟、ナイター照明設備付きの全面人工芝のグラウンド、テニスコートが整っている。授業には、教室・宿泊棟の4室及び体育館2階の2室で計6室を使う。授業内容は目黒校舎と同じものだ。
この日は2年A組からC組の約100人が授業を受けた。A組の40人は2時間目から体育だった。セミナーハウスで受ける体育の授業は2コマ連続となっていて、2時間目と3時間目があてられる。生徒は男女それぞれに分かれ、2人の体育教師が指導する。2000坪のグラウンドには縦60メートル、横90メートルのサッカーフィールドが設置されており、野球グラウンドとして使用する際もセンター94メートル、両翼81メートルと十分な広さが確保できる。
7年前に敷いた人工芝は、水はけがいいため雨天時でも使用でき、ケガも少ないという。セミナーハウスに常駐して27年になるベテランの管理人、飯田稔さんが週に1回、整備を行っている。
体育の井上卓三教諭は、この広いグラウンドを使って、生徒の体力と健康の増進に取り組んでいる。井上教諭は、合気会の本部道場指導員(内弟子)だった武道家で、男子生徒の体育もおのずと引き締まった雰囲気で始まる。授業では、まず20分間の準備運動で十分に体をほぐし、温める。井上先生に聞くと「準備運動は毎回みっちりやります。これだけ体をほぐしておけば、思わぬケガも防止できます。生徒も準備運動の大切さを体で覚えてくれます」という。1コマ目の授業はハードル走だった。2コマ目は、サッカーや野球、バスケットなどをグループに分かれて楽しんでいた。
3時間目が終了した12時10分からは、楽しいランチタイムだ。150席ほどある食堂は、またたく間に生徒で埋まる。パンや温かいホットドッグ、ハンバーガーなどが買える自販機が設置されているが、多くの生徒がお弁当を持参している。
目黒校舎にもカフェテリアが新設され、定食やカレー、麺類などが提供されているが、生徒に話を聞くと「他の学年がいないので、同級生だけで気を使わずに楽しく昼食が取れる」とセミナーハウスでのランチタイムを特に楽しみにしているようだ。
放課後は力いっぱいクラブ活動

午後の授業が終わり、ホームルームと掃除の後、用事のない生徒は15時30分発か16時発のバスで帰宅の途についた。残った生徒はこれからがクラブ活動の時間だ。この日、クラブ活動をしたのは、サッカー部とバスケット部、テニス部、護身道部。顧問がいないときは練習できないルールなので、試合が間近いバスケット部は、顧問がこのために目黒から駆けつけてきた。
同校で特に盛んなのがサッカー部だ。中学男子サッカー部は2011年と14年の全国大会でベスト8に入ったほどの強豪チーム。コーチ陣は、富士通川崎(現・川崎フロンターレ)出身の遠藤雅貴総監督を始め総勢7人。サッカー協会の公認コーチのライセンスを持つなど、指導歴も豊富な人材ぞろいだ。都内でも珍しい女子サッカー部もあり、アルビレックス新潟や横浜F・マリノスでプレーした元Jリーガーで、保健体育科の大西昌之講師が監督を務めている。
人気のサッカー部は部員も多く、毎日、セミナーハウスで練習している。中学2年も男子生徒のほぼ3分の1がサッカー部に所属しており、この日も体育館のロッカールームで素早く着替えると、決められた練習メニューを黙々とこなしていた。昼間の和やかな表情は一変し、そのまなざしは真剣そのものだ。
午後5時前になると、他学年のサッカー部員を乗せたスクールバスが次々到着し、練習の雰囲気はさらに引き締まる。部員らはバスから降りて、次々にコーチ陣に一礼し、グラウンドに入っていく。中高合わせて200人近い部員たちが顔をそろえ、ボールを追ってフィールドを走る様子は壮観だ。
週1回のあざみ野セミナーハウスは、都心の学校という立地のマイナス要素を補うだけでなく、生徒の心のリフレッシュや健康な身体作りにも役立つポジティブな環境だった。のびのびと勉強や運動に取り組んでいる生徒らの姿に、すがすがしい思いがした。
(文と写真:丸山典昭)
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