【特集】生徒がワクワクしながら自分の才能を発見する「STEAMラボ」…東星学園

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  東星学園中学校・高等学校 (東京都清瀬市)は、「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」採択校としての活動の一環として、2025年夏に課外プログラム「Tosei STEAM Lab」をスタートさせた。デジタル技術を使ったものづくりやコンテンツ制作を通して「アイデアを形にするワクワク感」を体験し、自分の中にひそむ「タレント(才能)」を発見するきっかけになると期待されている。ラボ1年目の活動の様子や手応えについて担当教諭、生徒に取材した。

プロ級の機材が使える「デジタルものづくり」環境

ラボの運営を担当する科学部顧問の福士教諭
ラボの運営を担当する科学部顧問の福士教諭

 「Tosei STEAM Lab」が始まったのは25年度の2学期。企画広報センター長の いきたく 教諭はその狙いについて、「本校は『On Becoming a Person(真の自分に出会う)』をモットーに、生徒たちが、自らに与えられた『タレント(能力や才能)』を見いだし、育む教育を目指しています。ラボもその一つで、デジタル関連のタレントを見いだす場として設けました」と話す。

 まずは中高生が興味を持ちやすい「ものづくり」に着目し、プロの使用にも耐える性能のハイスペックPCや3Dプリンター、レーザー加工機などをそろえた。「自分のアイデアを形にする『ワクワク感』は、学びへの前向きな姿勢も促すと考えています」

 ラボの運営を担当する2人の教員は科学部の顧問で、週2日の同部の活動日に合わせ、関心を持った生徒が自由に参加できる形で運営している。顧問の福士忠教諭は「科学部員15人のうち、ラボ参加者は現在6人。部外の生徒は2、3人が常時参加しています。このほかにも、友人に誘われてのぞきに来る生徒や、作りたいものがあって時々参加するという生徒もいます」と語る。

 福士教諭らも機材を使って作品を試作し、理解を深めた。ラボの設立を控えた夏休みには、お披露目として「講習会」を行い、30人ほどの生徒の前で実演してみせたという。「教員が楽しめなければ生徒も楽しくないと考え、お面や実際に音が出るトロンボーンなどをネットの資料を参考に作ってみました。ほかの教員も関心を示し、授業のプリント確認の印とするスタンプを作った教員もいます」

20回試作したクリッカー、バザーで完売

試作を繰り返し、やっと完成したショートケーキ形のクリッカー
試作を繰り返し、やっと完成したショートケーキ形のクリッカー

 ラボで活動中のある高3女子は、イラストを描くのが趣味だ。学習用のiPadのメモアプリを使って、丼物やパスタ料理など、身近な食品をモチーフに絵を描きためている。そうした作品で「アクリルキーホルダーを作りたい」と思い、ラボに参加した。

 活動を始めて間もなく、指先で押したり回したりして遊ぶ小型玩具の一種である「クリッカー」のことをSNSで知り、「イチゴのショートケーキのデザインにしたらかわいいのでは」と、作品作りに取りかかかった。CADソフトの3Dデータ作成では、クリッカーの本体である「スイッチ」がピッタリはまる「くぼみ」の形に苦労したという。「0.1ミリ単位でサイズを設定するのですが、出力すると微妙な誤差があったり、固まる過程で少しゆがみが出たり……。結局、1か月ほどかけて20回近く試作しました」と笑顔で話す。

 手のひらサイズの作品だが、3D出力には1時間近くかかる。そのためプリントは下校時刻後に顧問が代行し、翌日出来栄えを確かめるという作業を繰り返した。苦労のかいあって納得のいく3Dデータが出来上がり、油性ペンで色を塗るなど手作業で仕上げた。完成した作品は、秋に生徒の家族や地域住民を対象に行った「東星バザー」に20個出品して完売。「バザーで商品が売れたことで、モチベーションが上がりました」と喜ぶ。

生徒がアイデアを出してつくった様々な作品
生徒がアイデアを出してつくった様々な作品

 この生徒は、レーザーカッターやUVプリンターを使ってアクリルキーホルダーもつくり、自分のバッグに付けて愛用している。また、ハンバーガーのバンズや具材を組み合わせる「立体パズル」作製にも取り組んだという。

 高2の男子生徒は、「自分のプログラミングのスキルを学校に役立てたいと考え、ラボに参加しました」と話す。彼は小学生の頃にプログラミングを始め、中1でPCを自作した。簡単なゲームやプログラムなどを試作した経験もあるそうだ。

 昨年度秋の東星バザーに参加した時、会場の情報のわかりにくさや動線の問題など「効率の悪さ」が気になり、「ウェブサイトを通して改善ができるのでは」と教員に提案。「ぜひやってほしい」と背中を押され、取り組みの場としてラボを紹介された。

 現在、今年度のバザーを目指し、福士教諭らとサイトの内容を相談中だ。会場マップで販売品がわかるようにすることや、アンケートフォームで来場者の意見を集めて改善策につなげることなどを検討しているほか、将来的には「会場の混雑状況がリアルタイムでわかるようにしたいと思っています」。

 この活動を始めてから、普段見ているウェブサイトの構造を意識して調べるようになり、知識が深まった。「将来はやはり、プログラミングに関わる仕事に就きたい」と話す。

意欲高まり広がる視野、育まれる自主性

アイデアを出し合いものづくりに励む生徒たち
アイデアを出し合いものづくりに励む生徒たち

 ものづくりに対する生徒たちの意欲は、より高まっていると福士教諭は感じる。「ある鉄道好きの高1生は、『電車の主電動機を、実際に動かせる3D模型にしたい』と取り組み始めました。文化祭『ヨゼフ祭』に向けたアイデアも出ています。例えば『探究学習旅行』の成果発表のコーナーで、雲仙岳の地形を3D出力して展示したいとか、英語劇に使う小道具を作りたいという相談が来ています」

 活動の幅が広がることで、生徒が科目やジャンルを超えた視野を持つことも期待できる。「例えばクリッカー製作は、生徒がアートのセンスを最新テクノロジーに結びつけた成果です。自分の表現が豊かになり、周囲に認められるという経験は、自主性や積極性が育つきっかけにもなるでしょう」

 当面の課題は、ラボの存在を学校全体に広めること。「スタート間もないこともあり、多くの生徒がまだ『すごい機械があるらしい』程度の認識しか持っていません。具体的に何ができるのかをもっと広め、興味を持って参加する生徒を増やしたい。活用法を紹介する講座も行うつもりです」

 26年度からの活動に向け、ラボではカメラやマイク、オーディオインターフェースといった動画・音声コンテンツ制作の機材も買いそろえた。「行事で流すオリジナルの音楽や動画の作成など、できることが広がります。ほかの分野でも、生徒の『やってみたい』という思いを全力でサポートし、形にする仕組みが本校にはあります。ぜひ、いろんな夢にチャレンジしてほしいと思っています」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:東星学園中学校・高等学校)

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