今年度入試で人気を集めた東京都市大等々力と東京農大一…広野雅明<35>

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 今回は人気の共学校を2校紹介させていただきます。両校とも大学の「付属校」ではありますが、他大学に進学する生徒も多い進学校であり、魅力的なカリキュラムで人気を集めています。その人気の要因を考えてみたいと思います。

「ノブレス・オブリージュ」の理念を掲げる東京都市大等々力

東京都市大学等々力中学校の校舎
東京都市大学等々力中学校の校舎

 東京23区唯一の渓谷である等々力渓谷も近い東急大井町線「等々力駅」から閑静な住宅地を通って徒歩10分の地に、東京都市大学等々力中学校はあります。同校は、1938年に東横商業女学校として開校しました。何回かの校名変更や組織の改革を経て、東横学園中学校・高等学校となりました。2009年に武蔵工業大学が東横学園女子短期大学と統合して、東京都市大学と改称したことに伴い、東京都市大学等々力中学校・高等学校となりました。10年に共学部が開設され、16年からは全学年が共学となりました。同校は、東急の創業者でもある五島慶太氏が創設した学校法人「五島育英会」が運営していて、東急グループとも縁の深い学校です。

 教育理念は「高潔・英知・共生」。それを「ノブレス・オブリージュ」という言葉で表していますが、生徒自らが上記の言葉をさまざまな場面で実践しています。学校が大切にしているのは「自律と自立」。さまざまなプログラムを通して生徒を育てています。

 さて、2026年度入試の出願者数を見てみましょう。ここでは一部の入試のみの紹介となりますが、

 2月1日午前 第1回特選入試  昨年度281人⇒今年度391人
 2月1日午後 第1回S特選入試 昨年度552人⇒今年度640人
 2月2日午後 第2回S特選入試 昨年度678人⇒今年度806人
 2月3日午後 第2回特選入試  昨年度796人⇒今年度955人

 上記のように今年度の入試では各回とも大きく志願者数を増加させています。

 中学校では「S特選コース」と「特選コース」の二つが設置されています。S特選コースは、最難関国公立大学を目指し、文系であっても数学を捨てないカリキュラムが組まれています。特選コースは、横浜国立大学、筑波大学などの難関国公立大や早慶上理への現役合格を目指します。

 同校の特徴は、まずは学習面がしっかりしていることです。生徒は、学校独自の学習管理手帳「TQ(Time Quest)ノート」に、その日の予定や学習計画を記入します。これにより、朝のうちに一日の見通しを立て、時間を管理する力を高めます。これこそが自主性を高める基礎となります。ICTの活用も盛んです。学習支援アプリ「ロイロノート」を導入し、都内の学校で初めて「ロイロノート認定校」に選ばれています。全校生徒が1人1台のiPadを所持し、英単語学習アプリ「mikan」なども積極的に活用して学習効果を高めています。

 小テストなどを通して基礎基本を大切に学びます。自習室は午後8時まで、高3では9時まで利用可能ですので、学校だけで学習面が完結できます。理科の授業では実験を非常に大事にしています。

 そして、教職員と生徒の距離が近いことも特徴に挙げられます。前述の「TQノート」のチェックやコメントの記入で個々の学習状況を確認し、個人面談などを通して、一人一人の状況を把握しています。同校を訪問すると生徒たちが先生と仲がよく、質問や相談がしやすい雰囲気であることがよく分かります。

 中学では、英語のスピーチやレシテーションのコンテスト、希望制のイングリッシュ・サマーコースなどがあり、中3以降は希望制の海外研修・留学プログラムとして、夏休みなどを利用したオーストラリア語学及び医科学研修や、カナダ・ニュージーランドへの長期・短期留学プログラムなどもあります。生徒はさまざまな場面で主体的、自主的に活動しており、学校行事でのプレゼンテーション能力が高い生徒も多いです。

 保護者にとってありがたいのは、中学生は全員給食で、高校生も食堂などが利用可能なことです。中学では、イギリスのパブリックスクールの精神に基づき、食卓を囲みながらクラスメイトや担任との絆を深める「共食」を大切にしています。

 同校の学校説明会や公開行事には大勢の生徒が登場します。保護者や受験生本人が在校生と直接話ができる機会が多いことも特徴の一つです。実際に学校を訪問して、生徒と話すことで学校の様子がよく分かりますので、機会があれば直接学校を訪問していただければ幸いです。

緑のキャンパス広がる東京農業大学第一高等学校・中等部

東京農業大学第一高等学校中等部の校舎
東京農業大学第一高等学校中等部の校舎

 東京農業大学第一高等学校・中等部は、小田急線「経堂駅」から閑静な住宅地を抜けて約15分の地にあります。隣地には併設の稲花小学校や東京農業大学もあり、まさに文教地区です。東京農業大学とはさまざまな高大連携があり、「総合学習」などで大学の実験設備や農場を利用しています。

 東京農業大学は、1891年に旧幕臣の榎本武揚により、徳川育英会「育英黌農業科」として設立されました。1950年に、現在の母体となる新制の東京農業大学附属第一高等学校が開校、2005年に東京農業大学第一高等学校中等部が設置され、中高一貫教育がスタートしました。19年には系列の稲花小学校が開校し、25年には稲花小学校からの内部進学開始に伴い、高校の外部募集を停止し、完全中高一貫校となりました。

 まずは今年度入試の出願者数を見てみましょう。

 2月1日午前 第1回 昨年度286人⇒今年度417人
 2月1日午後 第2回 昨年度992人⇒今年度1017人
 2月2日午後 第3回 昨年度1019人⇒今年度1220人
 2月4日午前 第4回 昨年度640人⇒今年度798人

 2月1日の午前入試は、25年度入試で新設されました。第1志望の受験生が増加したことが大きな要因だったと思われます。27年度は第4回の入試が廃止され、3回の入試になります。同校の入試の特徴は、第1回と第4回は通常の4科目入試ですが、午後入試が算数と国語または算数と理科の選択制であることです。自分の得意科目を入試時に選択できます。稲花小学校(定員72人)からは60人以上が内部進学するようです。農大一中、一高の教育への信頼が厚いことを感じさせます。

 学校行事としては、全校長距離走大会、合唱コンクール、中等部のスピーチコンテスト「English On Stage」、イングリッシュキャンプなどがあります。さらに特徴的な行事として「稲作」があります。東京農業大学の教授の指導で、田植えから収穫、脱穀などを体験します。中2ではコメの科学的な研究、中3ではみそづくりを体験するなど、中高大連携の強みを生かしています。宿泊行事としては、中1で富士五湖宿泊研修や北海道自然体験研修があり、中2では奈良・京都、中3ではシンガポール・マレーシアへ。高1では広島平和研修、高2では生徒自身が行き先や目的を決める「共創型国内修学旅行」があります。

 特徴的な学びとしては、年間100以上の講座が放課後に開講される「一中一高ゼミ」があります。主要5教科の学習サポートから、農大一ならではのユニークな実学講座まで、普段の授業を担当している同校の教員が指導する講座が多数あります。数学×デザイン、STEAM教育講座、伝統芸能鑑賞、「 しょう を科学する」、プログラミングキャンプなどがあり、探究的な学びにもつながります。国際教育では、オーストラリア短期・長期留学、米シアトルでの企業訪問プログラムなど、多彩な留学プログラムが用意されています。

 現在、新校舎を建設中で、23年に第1期工事で完成した校舎には、広く明るいラーニングコモンズと実技教科の教室があります。陶芸用の窯などさまざまな体験が出来る設備も充実しています。26年冬に完成する第2期工事では、ホールや図書館、充実した理科の実験室が完備されます。

 同校には系列の東京農業大学及び東京情報大学への推薦権を利用した進学制度もあります。専願と併願を選ぶことができ、併願では、一定条件を満たせば、入学の権利を保持したまま他大学の受験も可能となります。これによって難関大学への合格者が増加するなど進学実績も良好です。

 同校には自然の樹木が多く、まさに緑のキャンパスです。四季折々の動植物が校内に生息しています。系列の東京農業大学には、隣接の世田谷キャンパスに、「食と農」の博物館・バイオリウム、新校舎の「NODAI Science Port」があり、厚木キャンパスには、広大な畑、果樹園、温室、家畜舎・バイオセラピーセンターなどが、オホーツクキャンパスには網走寒冷地農場やオホーツク臨海研究センターがあり、探究学習には最適な環境です。

 教育内容は年々進化し、進学実績も上昇して、学校の勢いを感じます。機会があればぜひ説明会などにご参加いただければ幸いです。

プロフィル
広野 雅明( ひろの・まさあき
 サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

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