就活のその先に…/読売新聞東京本社人事部採用デスク 石間俊充

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「就活コラム」は、就活の最新事情に詳しい記者や専門家が書き下ろしたコラムを掲載しています。

 採用担当のデスクになり3年目を迎えました。その間、多くの学生のESを読み、面接を担当し、意思決定の場面にも立ち会ってきました。そのなかで感じていることをお伝えすると、就活はすべて思い通りにいくことはほとんどないということです。それは学生側もそうですし、企業側にとってもそうです。

 スケジュールが合わなかったり、面接で予想外の展開になって、まさかの結果になってしまったり。だから、就活において「絶対に成功する」という魔法のようなものは存在しません。でも、失敗する可能性を少しずつ減らしていけば、各関門を突破し、内定する可能性は少しずつ高まると思っています。

 あくまでも参考ベースですが、実体験に基づき、以下、合格の可能性が高まるいくつかのことをお伝えしたいと思います。

*ES編

 心得その1・・・ESの設問と回答、合ってますか?

 そんな簡単なことなの?と思うかもしれません。けれども、ESの設問で求めている回答と、記入されている回答が合っていないESはしばしば見られます。例えば、「あなたが印象に残っている最近の●●について教えてください」という設問に対して、何十年も前の事案を載せているケースがそれにあたります。

 ESを読む立場からすると、それぞれのESをプラス評価していきたいと思って目を通していますが、求めている回答とずれている場合は、マイナスになってしまいます。奇をてらわず、設問に向き合って書いてくれれば、少なくとも減点にはなりません。

 心得その2・・・文字数、足りていますか?

 ESの回答欄で200文字書けるスペースがあるとします。分量はたっぷりあるのに、100文字足らずで終わっているもの、けっこう多いです。中身が素晴らしければそれでもいいのですが、そういう例は多くはありません。与えられた文字数分をなるべく使い、たくさん書き込むことが大切です。

 心得その3・・・生成AI使ってる?

 ほとんどすべての企業でそうだと思うのですが、企業側はすべてのESに目を通します。すると、ある設問に対して、同じ回答をしている学生が複数いることに気づくことがあります。偶然の一致とするにはあまりに不自然で、そうすると、チャットGPTなどの生成AIを使って作成しているのではないかと思ってしまいます。考え抜いて書いた言葉の方が、間違いなく人の心には刺さります。読み手は生身の人間です。きれいな言葉でなくても大丈夫。ぜひともみなさんの思いを、適切な言葉でぶつけてください。

*インターンシップ・面接編

 心得その1・・・雰囲気にのまれていませんか?

 インターンや面接のために会社に足を運ぶと緊張をしますよね。緊張するのは当然のことだと思います。アウェーにきた気分になりますね。そうした場で、いかに自分をホーム、自分の本拠地にいる気分にさせることができるかも大事なポイントです。

 周囲にどんどん話しかけ、周りを巻き込み、楽しそうにしていると、インターンでも面接でも、自分のありのままの姿を見せることができます。もちろん、面接直前まで自分のノートと向き合って心を落ち着かせるなど、それぞれの集中方法があると思います。

 少なくとも、そのインターンや面接でグループディスカッション、グループワークがある場合は、周囲の学生と積極的に会話をしてみるといいと思います。どんどん話しかけて自己開示をしていけば、まるで自分の本拠地にいるように振る舞うことができます。自分を「乗せる」手法、集中する方法を知り、それを実践すれば、雰囲気にのまれることは少なくなると思います。

 心得その2・・・ぶっつけ本番になっていませんか?

 優秀な学生がよく陥るパターンだと思うのですが、本命の企業しか受けていないためか、「経験値」が少ないと感じる学生もいます。就活には慣れも必要です。時間がなければ仕方ありませんが、もしも時間が許すならば、多くの企業のインターンに参加し、選考に参加してみてください。複数回こなすことで、経験値はアップしていきます。受験勉強やスポーツでも同じですよね。模擬試験を受けたり、反復練習をしたりして精度を高めていけば、本番では実力や実力以上のものを発揮できることもあります。

 また、練習だと思って受けていた企業の魅力に気づき、そちらの企業が本命になることだってあります。就活は「ご縁」の世界だともよく言われます。そのご縁をつかむためにも、ぜひとも多くの企業のインターン、選考に参加してください。

 心得その3・・・学生と社会人の「感覚」の差異

 コミュニケーション能力の高い学生が陥ることがあるのですが、友達感覚でインターンや面接に臨む方がいます。それはもちろん、自分を「乗せる」という意味では正しく、若手社員からの評判も良いケースが多いです。

 ただし、学生同士の感覚でやっていると、役員クラスの面接になるとそれが裏目に出てしまうケースもあります。学生らしさは失ってほしくはないのですが、企業の幹部にも学生感覚で接した場合、それが奏功するかどうかはわかりません。安全策で考えるならば、幹部クラスが出てくる面接では学生の持つ良さは失わないでいてほしいものの、一定の落ち着いたやりとりをすることが安全策ではあります。

 以上、計6項目の心得を書かせていただきました。

 いろいろな場でお伝えしているのですが、私たち人事部は採用活動を通して、学生のみなさんに内定してもらいたいという思いはもちろんもっていますが、それと同じくらい、学生から社会人へと人として成長してもらいたいと願っています。

 学生と社会人ではノリや感覚が違うこともあると思います。どちらが良い悪いではないのですが、多様な価値観を持ち、幅のある年齢層の人たちと接する社会人の方が、自分の思い通りにいかないことは多くなります。そうした思い通りにいかないことを乗り越えた先に、少しだけ大人になり、人への優しい視点も持てるようになるのだろうと思っています。

 就活は学生のみなさんにとって、思い通りにいかないことが多いかもしれません。悩み、へこたれそうになることもあると思います。けれども見ている人は見ています。よりよい自分へと成長するために努力することは、学生から社会人へと成長する一歩でもあります。成長した学生のみなさんと、ESや面接の場で会えることを心より楽しみにしています!

プロフィル
石間 俊充( いしま・としみつ
 1997年読売新聞に入社。東京本社社会部と教育部でそれぞれデスクを務め、2022年6月から現職。著書に、取材班デスクとして携わった「わいせつ教員の闇」(中公新書ラクレ)。学び直しの一環で早稲田大学大学院(MBA課程)修了。

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6196346 0 就活コラム 2025/01/09 16:00:00 2025/01/09 16:00:00 /media/2024/12/20241227-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

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