[特集]複数内定からの企業選び
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複数の社から内定を得られるとうれしい反面、どこに入社するべきか迷う。選考時の印象や先入観で選ぶのは後悔のもとだ。企業選びの基準や参考になる情報について、専門家に聞いた。(渡辺光彦)

就職支援会社「ポート」のキャリアアドバイザー
吉川智也さん(36歳)
内定を得た後は、面接では遠慮して聞けなかった質問もできるはずだ。気になっていた疑問をぶつけて各社を見比べよう。ただ、働く上で何を一番優先するのかという基準がないと、いくら情報を集めても決められない。まずは会社選びの基準を三つほどに絞り、優先順位をつけよう。
〈基準例。三つ程度に絞り優劣をつけよう〉
□自分の市場価値を高められる
□業界全体が成長
□希望する仕事ができる
□働く意義を見いだせる
〈内定後、人事やOB・OGに聞いてみよう〉
「何歳ぐらいで昇進するのか」「主流の部署はどこか」。昇進・異動のパターンがわかれば、希望の仕事がかなう目安もわかる。業界や自社の先行きについても本音を知りたい。仕事のピンチをどう乗り越えたかも聞きたい。
〈基準例〉
□上司や同僚の関係が良い
□社内行事や飲み会の頻度
□企業理念に共感できる
□倫理観がしっかりしている
〈内定後に聞いてみよう〉
「仕事はチームで動くのか。個人の裁量はどこまで認められるのか」「飲み会や社内行事にどのぐらい参加するのか」。社員3人以上と話せば実情はつかめる。社員の口調やトイレの清潔感などからも自分との相性を確かめよう。
〈基準例〉
□休暇や勤務制度が柔軟
□勤務地を選べる
□評価と給与に納得できる
□自分に合った福利厚生
〈内定後に聞いてみよう〉
休暇や残業の実態は今こそ聞ける。「無理だと思う初任地や業務はないか」「希望はどこまで反映されるのか」を確認したい。住宅手当は実家暮らしに支給されない場合がある。福利厚生は、中身が自分に合っているのか調べよう。

東洋経済新報社「就職四季報」の編集長
青地俊亮さん(34歳)
採用ホームページや企業説明会の資料は、その企業の良いデータしか載っていない。入社先を決める時は、企業にとって都合の悪いデータも合わせて検討しよう。業界研究本「就職四季報」の中から比較が容易で、就活生の関心が高い三つのデータを紹介する。
「初任給」に目が行きがちだが、長く働くなら「平均年収」と、その額に達する目安の「平均年齢」に着目しよう。メーカーでは工場で働く現業職と総合職などで賃金体系が異なる。「全従業員の平均」は実態を表さない場合がある。
〈2〉新卒の3年後離職率
基本的に、この数字が低い企業は長く勤められると考えてよい。業界ごとにばらつきがあるので、必ず業界の平均と見比べよう。慣習的に公開しない業界もある。その場合は「平均勤続年数」をチェックしよう。
〈3〉配属先(勤務地/部署)
「どこに勤務し、同期は何人配属されるのか」を想定できれば、入社時の心構えもできる。勤務地にこだわる人は、配属先が固定されるジョブ型採用や入社前に確約される採用枠を確認しておこう。

立教大キャリアセンター課長
阿部通明さん(52歳)
内定をキープしたまま就活を継続する際の注意点
・最優先の1社以外は内定を辞退する。辞退が遅れるほど企業は迷惑する。
・内定と引き換えに就職活動の終了を迫る「就活終われハラスメント(オワハラ)」は、政府が企業側に禁止を求めている行為だ。企業選びの判断材料にしよう。
・職業選択の自由があるので、内定承諾書の提出後に就活を続けても法的に問題はない。ただ、オワハラの材料にされないためにも、本命の選考が終わるまで提出期限を延ばしてもらおう。
内定辞退を伝える際のマナー
・メールやSNSだけでは失礼。採用担当者が読み漏らす可能性もある。電話で直接、内定のお礼とおわびの気持ちを伝える。
・就職を決めた企業名は聞かれても「個人情報なのでお伝えできません」と言えばいい。
・電話をした後に、改めて内定辞退の文言をメールで送る。後で「言った」「言わない」のトラブルが起きないようにするため。



























