食生活改善企業が後押し 環境充実人材獲得切り札 低カロリー社食■和食弁当に補助
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東海地方の企業が、社員の食生活の改善に一役買おうとしている。社員食堂で低カロリーのメニューを提供したり、指定する弁当に補助を出したりしている。労働環境の充実にもつながることから、人材獲得の切り札としても注目される。(成田沙季)
■600キロ・カロリー以下 自動車部品メーカー・デンソーエレクトロニクス(愛知県安城市)の社員食堂には、午前11時半になると従業員らが続々と集まる。不動の人気を誇るのが一汁三菜の定食ランチだ。
同ランチの献立は日替わりで、月、水、金曜日は600キロ・カロリー以下、火、木曜日は750キロ・カロリー以下に設定されている。日ごとに制限カロリーを変え、食生活にメリハリや多様性を持たせる狙いがある。それでも、塩分は毎回平均3グラム前後に抑えている。
食堂で注文したメニューは記録され、社員は社内のイントラネットで1食あたりの平均摂取カロリーなども確認できるという。広報担当者は「健康を意識した環境作りに力を入れている。就活中の学生などにも広く知ってもらい、人材確保につなげたい」と話す。

■BMI低下 社食のメニューを工夫し、数値で成果を上げる企業も出てきた。
豊田合成(同県清須市)は、本社、工場、社員寮計11か所の食堂で、野菜約120グラム、たんぱく質約18グラムを含む2種類の健康食を提供している。健康食は定食が多く、日替わりだ。さらに、社員や管理栄養士らが月に1回会議を開き、健康食を食べた従業員の割合などを踏まえ、強化する栄養素などを話し合う。
同社によると、健康食を導入した2021年当時は肥満とされる体格指数(BMI)が25以上の従業員は全体の35%を占めたが、23年には31%に減少した。健康診断の結果などから、従業員の血中脂質や血圧の数値も改善しているという。
食堂がない企業も取り組みを強化している。豊橋鉄道(同県豊橋市)は22年3月から、希望者に対し、主に昼食時に内臓脂肪がたまりにくい献立の和食弁当を提供している。主菜、副菜は約90種類。組み合わせが毎日変わり、飽きないようになっている。1食あたり540円で、このうち140円を会社が負担している。担当者は「1人でも多くの従業員に食べてほしい」と話す。

■心身健康で 食生活の改善に向けた取り組みを進める企業が出てきたものの、実際には不規則で栄養が偏った食事を続けている人が多い。
ジム運営の「ティップネス」(東京)が今年6月に全国の20歳代以上の計300人に実施した調査によると、「健康的な食事をしたい」と回答した人は94・8%(283人)に上った。そのうち、「実際に健康的な食事を取れている」と回答した人は2割にも満たなかった。同社は「健康な食事のためには、個人の努力だけではなく、社会全体での支援や環境の整備が重要」とコメントしている。
こうした現状を踏まえ、経営者は社員の食生活を含めた、心身の健康で幸福な状態を意味する「ウェルビーイング」の考え方を浸透させようとしている。東海企業の経営者らが加盟する経済団体・中部経済同友会は、24年度の活動方針に「ウェルビーイング」の文言を初めて盛り込んだ。従業員の健康増進プランの策定などを促す。筆頭代表幹事の宮崎直樹氏(豊田合成会長)は「経営者は、社員が自分の会社でずっと働きたくなるように魅力を高める責任がある」と話していた。


























