塩釜神社でパワーチャージ…「日本三奇」神秘の釜も拝む

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東北総局長 金子亨

 昔からの心配性が年々ひどくなっている気がしてならない。不安を静めるべく、あちこちでお守りを買い求めるなか、昨年出会ったのが塩釜神社(宮城県塩釜市)の「うまくいく 御守(おまもり) 」だ。直球ど真ん中のネーミングに () かれてゲットしたが、この神社、パワースポットとしても知られているらしい。何かと気疲れする毎日。力を授かろうと4月に再び訪ねた。

塩釜神社に至る202段の階段。意を決して上ったが、これ以外にも参拝ルートがあるのでご安心を(宮城県塩釜市で)
塩釜神社に至る202段の階段。意を決して上ったが、これ以外にも参拝ルートがあるのでご安心を(宮城県塩釜市で)

別宮の「別」は「特別」の意味

 仙台市から車で約1時間。JR本塩釜駅近くの小高い「 一森山(いちもりやま) 」に、塩釜神社はある。すぐ隣には 志波彦(しわひこ) 神社が立っており、同じ敷地内に二つの大きな神社がある形だ。

 塩釜神社の創建年代は定かでないが、平安時代初期の文献にその名が記されているというから相当な歴史があることは間違いない。現在の社殿が 竣工(しゅんこう) したのは江戸時代の1704年。一方、かつて別の場所にあった志波彦神社は昭和9年(1934年)、現在地で社殿の造営が始まり、4年後に遷座されたという。

志波彦神社の境内。社殿は国費で造営されたという
志波彦神社の境内。社殿は国費で造営されたという

 塩釜神社の門を抜けると、正面にも右手にも拝殿があった。正面が「左右宮」で、右手は「別宮」。この別宮のほうがメインだという。別宮の「別」は「特別」を意味し、ここにまつられているのは、人びとに塩作りを教えたとされる主祭神「 塩土老翁神(しおつちおぢのかみ) 」だ。

塩釜神社の別宮(右)と左右宮拝殿。右手にある門から入る
塩釜神社の別宮(右)と左右宮拝殿。右手にある門から入る

 案内してくれた神社の職員によると、「正面の左右宮から参拝しがちですが、知っている人は別宮を最初にお参りします」との由。自分も左右宮からお参りしてしまった。次に来たときは別宮からにしよう。

「うまくいく御守」ネーミングの理由

 それぞれに神様がいる神社を巡り、樹木に囲まれてマイナスイオンが漂う敷地内を歩いていると、ここがパワースポットと言われる理由がわかるような気持ちになってきた。

 さて、次は「うまくいく御守」のネーミングの理由である。神社には昔から馬が奉納されており、昭和55年(1980年)に「金龍号」がやって来たのを記念して、新たなお守りを作ることになった。その際、九つの (ひづめ) の模様があしらわれたという。「馬」と、「 () 」。その語呂から「うまくいく御守」と名付けられたそうだ。

今年の「うまくいく御守」には蛇の飾りが取り付けられていた
今年の「うまくいく御守」には蛇の飾りが取り付けられていた

 これが好評だったことから、その後も毎年お守りが作られるようになったという。お守り袋の (ひも) に取り付けられた飾りのデザインが、 干支(えと) にちなんで変わるのが特徴だ。

  (たつ) 年だった昨年に買ったお守りを見てみると、確かに龍がぶら下がっている。1000円の初穂料を納めて受け取った今年のお守りには、金色に輝く小さな蛇がいた。金運ももたらしてくれるだろうか。

撫で牛に願いを

 塩釜神社には、力をもらえそうなものがほかにもあった。門前に寝そべる石造りの「 () で牛」。牛は撫でるとよく (よだれ) を出すことから、商売が牛の涎のように細く長く続くことを祈願して奉納された――と説明文に書かれている。

門前に寝そべる撫で牛。手を消毒してから撫でるのがエチケットだ
門前に寝そべる撫で牛。手を消毒してから撫でるのがエチケットだ

 とすると商売繁盛を願って撫でるのが正しいのだろうが、実際には自分の体のうち良くなってほしい部分を撫でる参拝者が多いそうだ。そこで改めて撫で牛を眺めてみると、顔と頭が特にテカテカしている。もちろん自分もそこを撫でた。

 広大な境内には至る所に桜の木が植えられている。およそ40品種にも及び、早咲きと遅咲きの桜があるため長期間にわたって春の花を楽しめるそうだ。海を望む庭園も美しい。202段の急な石段からなる表参道を上って体も鍛えた。さて、茶店で甘酒でも飲んで帰るか……などというわけにはいかない。行きたい場所がもう1か所あるのだ。

海を望む庭園。四季折々の景色が楽しめる
海を望む庭園。四季折々の景色が楽しめる

芭蕉も拝んだという「四口の神釜」

 向かったのは、塩釜神社から歩いて10数分の 御釜(おかま) 神社。塩釜神社が管理するこの神社には、「日本三奇」の一つに数えられる「四口の 神釜(しんかま) 」がまつられている。

ひっそりとした御釜神社。鳥居の左手にある建物内に神釜がまつられている
ひっそりとした御釜神社。鳥居の左手にある建物内に神釜がまつられている

 その昔、塩作りに使われたというこの鉄製の釜は、風雨や天日にさらされる屋外にあるにもかかわらず、釜の中の水はあふれることも () れることもないとされる。江戸時代には、世の中に変事があるときの前触れとして釜の水の色が変わると言われていたそうだ。かの松尾芭蕉も拝んだとされるこの神秘の釜、自分も見ておかねばなるまい。

 境内の案内板には、この釜が「塩釜」の地名の由来とされていると記されていた。これはぜひとも釜をカメラに収めたいところだが、ご神体ということで残念ながら撮影はNG。しかし「 釜守(かまもり) 」と呼ばれる女性が神社におり、100円を納めれば見ることはできるというので、受付にいた釜守さんに硬貨を渡す。100円でいいのかという気もする。

木戸の向こうに神釜があると思うとドキドキする
木戸の向こうに神釜があると思うとドキドキする

 神釜に導いてくれた釜守さんが、普段は施錠されている木戸を開けた。円形の釜が四つ、地面にはめ込まれたように存在していた。縦に二つ、横に二つ。直径はいずれも1メートルほどだろうか。中になみなみと入った水は海水だという。この水が増えも減りもせず、変事の前には変色するのか――。伝説を知ったうえで見つめると、不思議な力を持つ釜のように見えてくる。未来 永劫(えいごう) 、色が変わらないことを願うばかりだ。

 いやはや、すっかり堪能させてもらった。これにてパワーチャージの小旅行は終了。新しいお守りを手に入れ、うららかな春日和に写真を撮ることもできた。すると空が曇ってきて、やがて小雨が降ってきた。これもお守りのおかげなのだろうか、うまくいった一日であった。

プロフィル
金子 亨(かねこ・とおる)
 1971年、東京都町田市生まれ。94年入社。編集局の様々な部署を経て2024年6月から現職。最近は起床後、小さなお札を手に一日の平穏を祈り、朝食後には初詣の際に買った熊手に向かって祈り、自宅を出た後に近くの小さな神社に参拝してから出社する毎日。朝からなかなか忙しい。

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6585952 0 We Love みちのく 2025/05/01 12:00:00 2025/05/01 12:00:00 /media/2025/04/20250425-OYT8I50081-T.jpg?type=thumbnail

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