そびえる巨石謎多き庭
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阿波国分寺庭園 (徳島市)


本堂をぐるりと回って庭園の門をくぐると、地面から突き出すように立つ巨石が目前に広がる。板状の石が重なり合い、荒海にも見える景観を作り出している。
徳島市西部で、
石を立てる配置が多いのも庭園の特徴だ。本堂西側には、高さ約4・3メートルの立石がそびえる。武市
この名園は近年まで草木が生い茂り、荒廃が進んでいた。価値が見直されたきっかけの一つに、昭和を代表する作庭家・重森三玲(1896~1975年)の存在があった。
重森は1940年、徳島を訪れた際にこの庭園に魅了された。市に復元を依頼し、自身で実測調査も手がけ「日本庭園中での第一級品」と評した。重森のその後の作品にも影響を与えたとされる。こうした評価の高まりを背景に調査や整備が進み、2000年に国の名勝に指定された。
だが、庭園の謎は多い。以前は桃山期の作とする見方があったが、発掘調査では江戸後期に手が加えられた痕跡が確認された。同時期に改修されたのか、新たに造営されたのかは定かではない。作者も不明だ。
市教育委員会社会教育課で文化財を担当する宮城一木係長(44)は「庭園は歴史的背景がわからなくても楽しめる。それぞれの主観で自由に感じてほしい」と話す。「徳島の風景に似ている」「中国古代の理想郷を表現したのではないか」。近年は庭園愛好家が全国から訪れ、石の配置や作者の意図に思いを巡らせている。
現在は石材保護のために立ち入りは制限され、離れた場所から鑑賞する形となっている。日々の手入れは寺が担い、雑草の除去や芝の管理を続けている。青石は風化しやすく、扱いには注意が必要だという。
多くの謎を残したまま、存在感を放つ巨石の庭。「私は鳴門の渦潮のような荒々しさを感じます」と武市副住職。見る人の想像をかき立てる風景が、静かに広がっている。(南野々子)


























