自治体の保養施設 廃止の波 立川や東村山 老朽化で改修負担大
完了しました

大型連休で旅行する人も多い中、多摩地域の自治体が、八ヶ岳(山梨、長野県)を中心とした自然豊かな場所に建てた保養施設を廃止する動きが相次いでいる。小中学生の林間学校に加えて市民らも利用できるが、老朽化が進み、多額の改修費がかかるためだ。(黒山幹太)
■■「役割終えた」
4月中旬、八ヶ岳の最高峰・赤岳(2899メートル)の麓にある山梨県北杜市の清里地区。都内で夏日となったこの日も、標高約1400メートルの避暑地らしい涼しい風が吹いていた。
木々の間で静かにたたずむ「立川市八ヶ岳山荘」は食堂や大浴場、客室を備え、大型連休中は多くの行楽客が利用する予定だ。近くにはすでに民間の宿泊施設に生まれ変わった日野市の施設や、閉鎖されて人影のない府中市の山荘もある。
立川市は4月、この山荘を来年3月に廃止する方針を明らかにした。酒井大史市長は27日の記者会見で「私が子どもの頃にはバンガローがあり、自然の中で飯ごう炊さんをした」と幼少期を振り返り、「時代の要請からすれば役割は終わった」と話した。今月の市議会に、設置の根拠となっている林間施設条例の廃止条例案を提出する。
市の報告書によると、小中学生の校外教育や生涯学習を目的に、山荘の管理棟や炊事棟などは1985年、客室や食堂がある本館は91年に完成した。1泊2食付きで立川市民は大人1人5000円、市民以外は7000円と、民間の施設と比べれば安価だ。
客室は126人を収容でき、93年度には最多の約1万8000人が宿泊したが、その後は学校と市民の利用は徐々に減少していった。2009年からは市民以外も利用できるようにしたが、24年度は計約9000人にとどまった。
これまでに市は施設の建設・改修のため累計で約21億円を投じてきた。外壁のひび割れや浴槽の漏水が確認され、継続的に使うには大規模改修が必要で、10億円以上に上ることから、指定管理者との契約が終了する今年度限りで廃止することにした。
東村山市も、北杜市の「白州山の家」を3月末で閉鎖。廃校になった小学校舎を活用して1977年にオープンし、2000年には新たな木造平屋の施設が開業した。素泊まり1泊1000円だったこともあり、南アルプス・甲斐駒ヶ岳の登山客の利用も多かったという。だが、市施設再編の一環で閉鎖が決まった。
日野市は21年に「八ヶ岳高原大成荘」を、府中市は24年に「八ヶ岳府中山荘」(いずれも北杜市)を廃止している。
■■多摩市は維持
一方で、保養施設を維持する自治体もある。多摩市は昨年度、1980年に開設した「八ヶ岳少年自然の家」(長野県富士見町)を2037年度まで運用することを決めた。
市教育振興課によると、主に小中学校の校外活動に使われており、現地の子どもたちとの交流や農林業の体験プログラムなど、長年培った地元とのつながりを重視して継続することにした。今後、ボイラーや電気設備の改修を行う予定。
保養施設をなくした八王子市の一部の小中学校の利用もあり、24年度の宿泊者数は約1万1700人と、コロナ禍前を上回っている。多摩市の担当者は「自然の中で宿泊して学べる貴重な場だ。使える施設は有効活用し、子どもたちの健全育成につなげたい」としている。


























