熱海駅から車で5分の被災地、川のせせらぎが聞こえる静けさ…風景見た住民「魂が抜けたよう」

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 静岡県熱海市伊豆山を襲った土石流災害から3日で2年。被災地では警戒区域の指定が9月に解除されるのを前に、2日、自宅の修繕に向けた避難者の一時立ち入りが始まった。ただ、少しずつ復興の道筋がつけられていく一方で、帰還するかどうかを迷う被災者もいる。節目の日を前に被災地を歩いた。(貞広慎太朗)

今も警戒区域に指定されている土石流災害の被災地(2日、熱海市伊豆山で)
今も警戒区域に指定されている土石流災害の被災地(2日、熱海市伊豆山で)

 晴天の日曜日。観光客でごった返すJR熱海駅から車でわずか5分の被災地は、川のせせらぎや鳥の鳴き声がはっきりと聞こえるほど静かだった。人の立ち入りが制限されてきた警戒区域には雑草が茂り、一部の住宅はブルーシートで覆われたまま。一帯はあの日から時間が進んでいないように見えた。見た目は大きく変わらない家でも「魂が抜けたよう」とつぶやく住民もいる。

 市によると、警戒区域内の住宅32棟は電気や水道などのインフラ設備が復旧すれば、9月以降の帰還が可能になる見込み。ただ、被災した住民たちの胸中は複雑だ。修繕のため自宅を訪れた男性(75)は「2年たつが、みんなの事情がばらばらで、家を直せる人もいれば帰れない人もいる」と明かした。

 避難住民の話を聞き、帰還に向けた意向をくみ取ってきた「熱海市伊豆山ささえ いセンター」の原盛輝センター長(51)も「被災者の心はそのときどきで変わり、帰還しない判断に変わる人もいる。今後も対話を継続し、支えていきたい」と語った。

 土石流災害を巡っては、被害を拡大させた盛り土の責任の所在が明らかになっておらず、市の復興事業に対しても「市民の声が反映されていない」などと批判も根強く、復興のペースは上がらない。

 市によると、この日は23世帯54人が立ち入りを申請。小学生の2人の子どもらとともに市内で避難生活を送る会社員(42)は、「このままだと子どものふるさとがどこなのかわからなくなってしまう。2人には伊豆山で育った記憶を残していきたい」と語り、早期の帰還を願っていた。

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