美容師の間で「AIサロンモデル」の起用拡大、ただ…仕上がりは画像のものとはほど遠く
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美容師の間でカットモデルの画像を生成AI(人工知能)で作成、利用する動きが広がり、波紋を呼んでいる。美容院の検索予約サイトの自己紹介欄に掲載する美容師もおり、サイト側は「実際にカットしたと誤認させる」として「AI禁止」を掲げるが、歯止めはかかっていない。専門家は、景品表示法の優良誤認表示にあたる恐れもあると指摘する。(福元理央)
客は「うそをつかれた気分」
リクルートが2007年に開設した美容院などの検索予約サイト「ホットペッパービューティー」。美容院だけで全国6万5936店舗が登録され、最近1年間の予約件数は1億2023万に上る。各店舗のページには在籍する美容師やヘアスタイルカタログなどを掲載。カタログは「美容師が手がけた髪形、スタイル」を載せるのがルールだ。

だが、関西地方の美容院に勤める男性(30)は「AIで作ったものを載せている」と明かす。画像生成AIに<ツヤのある髪><緩いカール>などの指示文を入力し、1枚を1~2日かけて作るという。
大分県の男性美容師(48)も別の予約サイトにAIモデルを掲載する。「画像は来店のきっかけにすぎない。AIモデルの髪形を再現する技術があれば問題ない」と言い切る。
予約サイトの利用者からは不満の声が上がる。横浜市の女性(67)は5月、予約サイトを見て初めて訪れた市内の美容院で、担当した美容師から「AIを使っている」と打ち明けられた。仕上がりもサイトのものとはほど遠く、「うそをつかれた気分だ」と憤る。
モデル確保負担に
AIに頼るのは、美容師なりの事情もある。
冒頭の関西地方の男性がAIを使い始めたのは約2年前。客や街行く人にモデルを頼んでいたが、「ネットに顔を載せたくない」と断られるようになった。「AIならモデルに負担をかけずに済む」と話す。

AIモデルを作成・販売する「Sai beauty」を運営する「Sai」(大阪市)の片野正也社長(37)は「地方や郊外を中心に3500店舗以上から引き合いがある」と明かす。「地方ほどモデルが不足し、需要は高い」という。
美容師向けウェブメディア「ボブログ」を運営する「髪書房」の取締役矢作祐美子さん(48)によると、予約サイトが普及した2000年代後半以降、サイトに掲載されるモデルなどの画像の見栄えが美容院の集客を大きく左右するようになり、モデルの確保が大きな負担となっていったという。
そこに登場したのが生成AIだった。より目を引きやすい「かわいいモデル」で理想の髪形を作れるため、利用する美容師が増加。インスタグラムなどのSNSに投稿する美容師も少なくないという。
「AI疑い」増加
こうした状況にサイト側も対応に乗り出している。
ホットペッパービューティーは昨年2月、AI画像のカタログへの掲載・使用禁止を掲げた。リクルートは「カタログは利用者が美容院を選ぶ際の判断材料。情報が正しく伝わることを重視した」と説明する。「オズモール」(スターツ出版運営)も昨年4月から、AI画像の掲載を控えるよう店舗に要請している。

だが、あるサイト関係者は「利用者から『AIではないか』という問い合わせは増えている」と話す。AI製の疑いが強い場合は店舗に指摘し、同意の上で削除しているが「歯止めはかかっていない」という。
消費者問題に詳しい渡辺大祐弁護士は「美容師と髪形画像がひもづく形で掲載されていれば、その美容師が実際に施術した髪形だと消費者が誤認する可能性は高い。実際の技量を著しく超えた髪形や髪色がAIで表現されていれば、景品表示法の優良誤認表示にあたる恐れもある」と指摘する。その上で「掲載する際は『AI製』と明示するなど、消費者に分かるよう対応すべきだ」と訴える。
海外では…
海外では生成AI製のファッションモデルを広告などに起用する動きもあるが、問題も指摘されている。
英BBCなどが9月に報じた内容によると、中国発の通販サイト「
海外メディアによると、スウェーデンのアパレル大手「H&M」は今年、実在のモデルを基にAIモデルを作成し、活用する構想を明らかにした。権利をモデル本人に帰属させ、AIモデルが広告活動をした際も本人に対価が支払われるが、「ファッション業界で働く多くの人々を入れ替える可能性もある」と反発の声が上がっている。


























