花火大会、冬こそ見たい…夏だけじゃない夜空の大輪

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 花火と言えば夏の風物詩という常識が変わりつつある。オリオン座などが彩る夜空に、色とりどりの花火が打ち上がる。そんな花火大会が人気となっている。空気が乾燥して水蒸気が少ないため、空が鮮明に見えるなど、冬ならではのメリットは多い。寒い季節のイベントとして注目される「冬花火」に迫った。

澄んだ空気や終了時間の早さ 利点

 昨年12月20日午後6時半。クリスマスツリーのイルミネーションが青や白色に光り輝く中、「ジングルベル」など季節にちなんだ曲とともに、海に浮かぶ船から何発もの色鮮やかな花火が打ち上がった。

 名古屋市港区の名古屋港ガーデンふ頭で2015年から毎年12月後半に開催される花火大会「ISOGAI花火劇場」。キッチンカーが集まるエリアには、かに汁や豚汁、熱かん、ホットレモネードといった体が温まる食べ物や飲み物も並ぶ。

 サンタクロースの帽子をかぶって鑑賞する家族連れの姿も。厚手のロングコートを着て訪れた同市の会社員岩崎亜未さん(34)は「空気が澄んでいるからか、夏より冬の方がきれいに見える。ロマンチックな雰囲気も好き」と白い息を吐きながら笑顔。約40分間の打ち上げ後、会場は大きな拍手に包まれた。

 前身の大会は同港管理組合などが主催し、一定の成果を上げたとして一度終了。だが、夏よりきれいに見えて、台風などの急な悪天候にも見舞われにくく、地域振興にもなる点から、地元有志らが復活させた。

 運営に携わる一般社団法人「ISOGAI花火劇場」の代表理事間瀬基夫さん(72)は「今では名古屋の『冬の風物詩』と言ってもらえるようになった。冬にしか見られない景色を楽しんでほしい」と話す。

 32年間にわたり毎年、全国100か所以上の花火大会を訪れる横浜市の花火写真家、 金武武かねたけたけし さん(62)は、「冬花火」のとりこになった一人だ。金武さんは、「大会の終了時間が早いので、近くで家族と夕飯を食べたり、友人と酒を飲んだりもできる。夏に比べて混雑しにくいのも利点」と語る。早い日没で終了時刻も早く、鑑賞後の時間に余裕が生まれるメリットは大きい。

猛暑の季節 避けるケースも

 花火大会が夏の風物詩として定着したのは江戸時代だ。国立歴史民俗博物館の新谷尚紀名誉教授(民俗伝承学)によると、享保18年(1733年)夏に隅田川で行われた水神祭が由来と伝わる。当時、 飢饉ききん や疫病が流行。8代将軍徳川吉宗は、犠牲者の鎮魂などを祈願するために、隅田川の川開きに合わせて花火を打ち上げた。以降、夏の川開きに合わせて花火を打ち上げるのが恒例行事となった。

 近年は熱中症や台風などの天候不順が起きやすい夏を避けるケースも目立つ。栃木県小山市の「小山の花火」は7月下旬に開催されていたが、熱中症対策で昨年は9月下旬に変更された。多摩川河川敷で8月に行われる「世田谷区たまがわ花火大会」と「川崎市制記念多摩川花火大会」は、2017年の落雷事故を受け18年から10月開催になった。

寒さや人手確保が課題

 海外では、冬の開催も多い。米国や英国では年越しイベントの一環で、中国では春節(旧正月)で打ち上げられる。

 ただ、降雪で夜空が見えにくかったり、寒さで長時間の鑑賞が難しかったりするなど、日本海側は不向きだ。「日本三大花火」で有名な新潟県の「長岡まつり大花火大会」や秋田県の「 大曲おおまがり の花火」は夏場に実施される。

 また、年間を通して花火大会を行うには、人手の確保など課題はある。花火の製作だけでなく、アイデアを練る時間や機材のメンテナンスも必要だ。日本煙火協会(東京)の専務理事河野晴行さん(75)は、「人も時間もまだたりない」と話す。

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