何百年も日本人の暮らしに寄り添い続ける金魚…金魚すくいの需要激減、観賞用高級品種に活路

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 古くから日本人に親しまれてきた金魚。養殖業界では高齢化が進み、コロナ禍で金魚すくいの需要が激減するなど危機に立たされている。産業存続に向けて、産地での取り組みが進む。

フナが突然変異、流通200種以上

 金魚の伝来は諸説あるが、室町時代に中国から入り、現在の堺市に伝わったのが定説だ。高級品で一部の富豪に珍重される程度だった。

 金魚専門店「金魚の吉田」(東京)社長の吉田信行さんによると、庶民に広がったのは、江戸時代。大きな戦乱がなく安定した時代を迎え、全国で養殖されるようになった。金魚飼育書「金魚 養玩そだてぐさ 」が刊行され、金魚を入れたおけをてんびん棒からぶら下げて売り歩く商人が登場した。

 鎖国が終わり、日本の金魚は海外に渡る。日本郵船が発行していた英文広報誌「THE TRAVEL BULLETIN」の1927年11月号で、1878年に初めてアメリカに輸出されたエピソードが紹介されている。

 戦後になり、各地に金魚専門の卸売市場が誕生。平成に入ると、制限時間内にすくった数の多さを競う「全国金魚すくい選手権大会」や大規模品評会「金魚日本一大会」が始まった。

 「実は金魚は野生のフナが赤色に突然変異したもの」と話すのは、広島大教授の大森義裕さん(ゲノム科学)。現在流通しているのは世界では200種類以上。国内では体形別に4種類に分けられる。細長くフナに近いワキン型、 寸胴ずんどう のリュウキン型、卵形のオランダ型、同じく卵形だが背びれがないランチュウ型だ。体の色や頭部のコブの形など、細かい特徴を組み合わせて多彩な品種を生み出している。

 大森さんらは2019年、金魚の全遺伝情報(ゲノム)の解読に世界で初めて成功。脊椎動物の進化の解明や、人の遺伝病の原因究明、治療法の確立に役立つ可能性が期待されている。大森さんは「金魚の研究は始まったばかり。金魚から謎が解けるかも」とほほえむ。

縁日での需要戻らず観賞用に活路

 ただ、養殖業界を取り巻く環境は厳しい。生産者の高齢化や後継者不足、ライフスタイルの変化による需要の低迷が響く。

 日本で最も古い金魚養殖の歴史を誇る奈良県大和郡山市の養殖業者は26経営体で、最盛期の昭和50年代の5分の1に落ち込んだ。コロナ禍で、縁日が相次いで中止となったのも追い打ちになったという。

 同市の主力品種は、金魚すくいでおなじみのワキンの幼魚コアカだ。2018年の販売数は5515万匹だったが、24年には4300万匹となり、回復の兆しはない。

 そこで同市は、県や漁業組合と手を組み、観賞用の高級品種の育成強化に力を入れる。リュウキンやランチュウといった単価が高い品種を育てる生産者に対し、親魚の仕入れや餌代を補助する制度を創設した。

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